【第88話】修学旅行4
「本当に飯島さんと鈴木君?」
イベントが終わり駐車場の先生の車の前で先生から再度確認された。頷いておく。
もうバレたならバレたで広められないようにするスタンスだから下手な嘘で塗り固めるつもりはない。そもそも変態的な考えでリンをやっているわけじゃないし。
「秘密で」「お願いします」
まだ遥斗は軽い。女装より男装の方がリスク低いですからね。
早乙女さんが、やっちまったぜという顔をしていたが、遅かれ早かれ気が付かれたとは思う。
「それにしても二人とも別人じゃない。
性別間違ってんじゃない?」
・・・先生がそれをいうのはどうなんですかね。まぁたまにわたし達もそう思う時があるのでいいんですけど。
それわたし達じゃないとスクールハラスメント?だったかな?になるので気をつけてくださいね。
「ところでリンちゃんに少しお願いがあるんだけど」
「何?」
出来ることなら聞きますけど。
「その別人になるレベルのメイクを教えてっ!!」
はぁ。別にソレぐらいなら・・・
先生、変装してないんじゃなくて出来なかったんですね。
*
「まさかの過去であんなことがあっただなんて・・・」
「そうそう。それであの健気さ、尊い・・・」
晩御飯はホテルで出ないから食べて帰ることになっている。帰り道の途中にあった焼肉屋で先生と一緒に食べる。
先生と一緒というのは嫌ということはない。というか、先生わたし達のこと生徒として扱わずにオタク仲間として扱うことにしたらしい。まぁ見た目は完全に別人ですからね。
今はソシャゲの話してますし、生徒とするような話じゃないですよね。
「あっ店員さん。ハラミとカルビ、塩タン追加で、あとサンチュと海ぶどう」
先生も車ということでアルコールは抜きだから、わたし達と同じ食べ放題メニューにしてある。
同じソシャゲはやっているが、わたし達のステージまで進んでいないと思われるアカネ君は話がちんぷんかんぷんだろうけど、一応話に入っている。
フレンド登録してるからアカネ君のイン率とランクは分かってるから、どの当たりかは大体把握してる。アイドルは忙しいからそこまでイン率高くないからね。
「あれ?でもこのキャラのイラストレータって・・・」
先生がなにかに気が付いたように公式ページを開いてなにかを調べ始めた。
「もしかして遥斗君が描いた!?」
「あー、バレましたか」
そう。この今話していたソシャゲのキャラは遥斗が描いた。
これはうちの事務所に来ていた話で、遥斗にどうかなと回されたやつだ。で、そういった案件だからこそ・・・
「で、声優が悠里ちゃんかぁー、この子色んな声が出せるから引っ張りだこだよねぇ」
わたしが声をあてている。
「遥斗君は悠里ちゃん本人と会ったことある感じ?」
「あー、ありますよ」
3人からわたしに視線が集まる。言うつもりはありませんよ。
*
3人をホテルで降ろして、車内でリンから着替えてレンタカーを返してホテルに戻ってくると、華岡先生にちょいちょいと呼ばれた。
「ホテルにカラオケあるんだけど他の3人も誘ってやらない?」
「はい?」
なぜここで教師にカラオケに誘われたのかさっぱりわからないのですが。
「あっちのカラオケ一緒に行くような友達、オタじゃないから中々アニソン歌えなくて」
だからって生徒を修学旅行中にカラオケに誘うのはどうなんですかね。
まぁ他の人に聞いてみてOKだったらやりましょうか。確かここのホテルのカラオケって部屋単位での値段だったはずだし。
*
「~~♪~~♪」
遥さんが前クールで覇権を取ったアニメのOPを歌う。そこに先生も加わり、遥さんは男声パートを歌い始める。先生盛り上がってるなぁ・・・
「それにしても今日はごめん」
早乙女さんが謝ってきた。
「ん?」
俺はドリンクを飲みながらなんのことだろうと首を傾げる。
「あたしのせいで先生にバレて」
あぁ、それか。
「まぁ遅かれ早かれ気が付かれてたと思うからいいよ」
リン用のSNSでは既にフォローしあってるし、イベントでも結構会ってたからいつかは気が付かれてたんじゃないかと思う。
遥斗は一度怪しまれたし、なにかきっかけがアレば気が付かれていたと思う。
「デュエット歌いましょう!!デュエット!!」
でも、まぁ先生も楽しそうだしいいんじゃないかな。




