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アナタの本当の姿は?  作者: kame
高校二年生
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【第81話】水族館

「わぁぁぁ」


 遥さんがわたしの隣で声をあげた。


 今日は遥さんとわたしで水族館にやってきている。

 今回のチケットは家で取っている新聞の抽選で当たった。若い二人で行ってきなさいと母親からチケットを貰い遥さんを誘ってやってきた。


 昔行ったことのある沖縄の水族館ほどでないにしても近場の水族館に大きな水槽があったのか。と水槽を見上げる。

 目の前の水槽の中では数多くの魚が泳ぎ、そのゆったりとした動きにこっちの体感時間もゆったりと流れていくように感じる。ウミガメが浮上していく。その動きに合わせてわたし達の視線も上に移動していく。


「フラッシュはダメなんだっけ」

「ん」


 水槽の手前にそういった注意書きの立て札がある。館内の照明は適度に落とされていてフラッシュがオートだと多分光る暗さになっているから注意が必要だ。他のお客さんがフラッシュ光らせてたから多分あれはオートのままなんだろう。


 遥さんが隣で自分のバイト代で買ったデジカメをピピッと操作してから水槽をパシャリと一枚。そしてわたしをパシャリと一枚。


「なぜわたしを撮る」

「折角だし」


 分からない。まぁ遥さんなら全然いいんですけど。


「あっち触れるんだって!!」


 ほほぅ。行ってみますか。



 ===>



「うわっ」


 ついぶにょぶにょした感触に声を上げてしまった。

 えーとなんだっけ。このナメクジの大きい奴。えーと、ナマコだ。ナマコ。やっと思い出せた。


 リンの方を見るとヒトデをツンツンとつついていた。相変わらずリンは動作も可愛いな!!リンが同級生の男子だなんて誰が信じるだろうか。少なくとも私と早乙女さん、ツバサちゃん以外は学校のメンバーではリンの正体は知らないから可愛い女子としか思われてないと思う。


 リンこと、佑樹だけど、ちょこっと抜けているところも可愛い。今日なんてもうクラスメイトには私達が付き合っていることを暴露したし、今回はイベントじゃないから素でもいいというのにリンで来ちゃったし。いつもこっちだったからつい癖で。と頭をポリポリとかいていた。私もどっちでいくか迷ったけどね。



 *



「クラゲかぁー」


 暗くした照明と小窓のような水槽に入ったクラゲのコーナーに来て、ライトアップされたクラゲの水槽を覗き込む。

 ひらひらゆらゆらという効果音が似合いそうなぐらい揺れるように動くクラゲは癒やし効果としては結構あるんじゃないだろうか。

 隣りにいるリンもそのクラゲを見ながら視線がふらふらと動いている。クラゲよりもリンが可愛い。


「そういやさ、クラゲで思い出したけど、ドラマしてたよね」

「あー、少し見た」


 私は録画してあるのを一気に見た。


「やっぱりドラマで女装と、日常でしてるのを比べるとダメだとはわかってるんだけど、比べちゃうよね」

「それは比べるものじゃない」


 明らかにリンの方が似合ってるもん。

 比べるもんじゃないっていうのは分かってるんだけど、ついついね。


「あれは美形がしているからまだ形になってるんであって、わたしみたいなのがしてもああにはならない」


 リンが饒舌だ。少し思う所でもあったんだろうか。

 まぁあっちは美人系でリンはクール可愛い系だからジャンルが違うよね。テレビで女装しているのを見る限りでは、イケメンがすると美形にはなりやすいと思う。


「メイク次第」


 どんなのにでも出来る。とリンは指をわきわきとさせている。

 確かにリンのメイク術は凄いからなぁ。流石いくつも顔を持っているリンだ。

 えーと、佑樹にリン、悠里、振袖のモデル、確かゆるふわ系の茶髪ガールというのもあったはず。本当にいくつも顔を持つ男だ。

 顔のパターンが女子に寄っているのはそっちのほうが作りやすいからだとは思うけど。



 *



 ふらふらと二人で館内を巡って、最後にお土産コーナーに立ち寄った。


「あ」


 リンがスタスタとウミガメのぬいぐるみを見つけて近寄って、ぬいぐるみを撫で回し始めた。

 意外とリンってああいうの好きなんだよね。見た目的にリンだから全然違和感ないし。


 私もリンの触っているウミガメのぬいぐるみに手を触れて・・・


「おぉ」


 これは気持ちいい!! リンが撫で回すのもよく分かる。


「・・・買う」


 リンが買う決心をしたらしい。値段もちょっと私には勇気のいる値段だけど、あれだけ仕事をしているリンなら全然問題のない値段だと思う。

 実際リンの給料は聞いたこと無いけど、アニメの出演本数に最近ではラジオまで出ているから結構貰っていると思う。


「いる?」


 一緒に買うけど。とカードを取り出しながらリンは聞いてきた。あぁリンはもうカード使ってるんだ。


「問題ないなら」

「全然問題ない」


 そういってリンは私の触っていたウミガメのぬいぐるみも手に会計に向かっていった。



 *



「ふふっ」


 私はリンに買ってもらったウミガメのぬいぐるみに顔を埋める。あぁ、気持ちいい。

 それに女の子の格好だったけど、私の彼氏だ。彼氏からの贈り物と思ってもにやけが収まらない。


「お姉ちゃん。気持ち悪い」


ちょっと!!梨花酷くない!?

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