【第69話】クリスマス
「「「クリスマスなんてくそくらえ!!」」」
クリスマスを控えた金曜日、恋人のいないクラスメイトが集まって叫んだ。中には女子も混じっていて、もうお前らで集まって遊びに行けばいいじゃないか。
そんな独り身の叫び声なんか関係なくクラス中から浮ついた気持ちが伝わってくる。
そんな雰囲気を味わいながら、俺はスマホでメッセージを遥さんと送りあう。メッセージの内容としては事務所から貰った所属アイドルのクリスマスライブのことについてと冬の祭典の準備についてだ。
クリスマスライブについては、言葉通りそのままで同じ事務所所属のアイドルがクリスマスにライブをするからとチケットを事務から貰ったから遥斗と行こうという話をしている。
冬の祭典についてはいつものイベント通り、俺が売り子として参加するのと、どれくらいSNSで先に宣伝するかといった話し合いだ。しすぎても良くない。
「鈴木も一人だよな?なっ!!」
ちょっ、片山君。遥さんとやりとりしていた時に急に声をかけて来ないでっ!!見られたか?
「えー、と」
「もしかして鈴木に彼女が・・・」
言い淀んだところで片山君がまさかといった顔で俺を見る。確かに普段の俺はモテる要素はないと思いますけどね。
「なんだとぉ!!」
そんなに驚かなくてもいいじゃないですか。
*
「くっ独り身で今日は遊びに行くぞ!!」
「「おぉっ」」
あいつら元気だな。
授業が終わり放課後、俺は遥さんとのメッセージのやりとりを再開する。一応授業はしっかり聞く。ソシャゲのイベントを除いて。
――ブブッ
『今日どっか遊びに行かない?』
『いいけど。どこに?』
『ちょっとキーホルダー取りに行きたい』
『り』
遥さんが欲しいって言ってたキーホルダーは・・・あぁー駅前のゲーセンかな。
「じゃーまた来週ー」
遥さんがクラスメイトに声をかけて教室から出ていく。
さてと、俺も行くかな。
*
ゲーセンもクリスマス仕様で、あちらこちらにクリスマス用のポスターが張られ、BGMもクリスマス仕様だなぁ。
「来た来た。こっちこっち」
遥さんがUFOキャッチャーの前に陣取りながら俺を呼んだ。
もう始めてるんだ。
「どう取れそう?」
「んー、タグ引っ掛けなら取れるかな」
遥さん操作上手いからな。どんだけやりこんだのか知らないけど。
*
「取れたよー」
そういって俺も挑戦していた台まで来て報告してくれる。
遥さんの手には二つキーホルダーがある。
「あれ?二つ?」
「はい。どーぞ。おそろいってね」
まぁヲタバレしたくないなら付けにくいキーホルダーだけどな。貰えるなら貰う。
キャラのデフォルメラバーキーホルダーだからなぁ。
「ライブって明後日だっけ?」
「そうそう」
「何が必要かな? サイリウムは確定として・・・」
「冬だけど一応タオルかなぁ」
それ以外は意外と何とかなるし。今回は結構前の方だからオペラグラスも必要ないと思うし。
「りょーかい」
*
「皆ー今日は集まってくれてありがとー!!今日のクリスマスライブ楽しんでいってねー!!」
「「「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」」」
ステージ上にいる女性アイドルが声を張り上げると観客が答える。
今日はこの女性アイドルの単独クリスマスライブに来ている。アリーナを埋め尽くす観客の所謂カップル席と言われる所にわたしと遥斗はいた。
「今日のこのチケットって激戦だったんじゃないのか?」
「あの人うちの事務所の人だから、事務所の人がチケットくれた」
クリスマスライブ楽しんで来てね。といった感じで渡された。
ステージ上に居るアイドルは声優も兼任するアイドルだから遥斗も知っているアイドルの一人だ。だから渡してくれたのかただ単に彼氏、彼女がいる人に渡して回っているのかは不明だ。
いる?と聞かれたから遥斗に確認して欲しいと伝えたら貰えた。
「リンの事務所って色々くれるよな」
「んーまぁ一応大手だし?」
芸能事務所としてもアニメーションとしても大手だから色々付き合いとか伝手があるんじゃないかな。
「俺達も楽しもうぜ!!」
スチャッと悠斗がサイリウムを取り出した。
おーけぃわたしも楽しみますよ。わたしもカバンからサイリウムを取り出した。
*
「「おぉぉぉぉぉ」」
わたし達はライブ帰りに街のイルミネーションを見に来ている。
わたし達の行動範囲から外れているからなかなか来ることのなかったイルミネーションまで来てみた。街路樹に付けられた電飾が道を煌々と照らして綺麗な光の道が出来ている。
多分長い時間シャッターをあけて写真を撮れば、街路樹の間を走る車のヘッドライトが光跡となってキレイに撮れるんだと思う。ただその場合街路樹のイルミネーションはどうなるのか知らないから崩れるかもしれないけど。スマホじゃ無理だから家に置きっぱなしの一眼とか持ってこないと撮れないと思う。
わたし達以外にもこのイルミネーションを見るために足を止める人があちこちにいる。
「キレイ」
遥斗がイルミネーションを見るために上がった歩道橋の端から、色を変えながら点滅しているイルミネーションを見ながらポツリと言った。
うん。綺麗だ。




