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アナタの本当の姿は?  作者: kame
高校二年生
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【第62話】打ち上げと二日目

「舞台の成功を祝ってかんぱーい!!」


 何故か早乙女さんが音頭をとって、20人という大所帯で文化祭の打ち上げだ。

 停電というトラブルもあったがなんとかなった。クラスの人数はもっといるが、これない人を除いて20人になっている。


「それにしてもブレーカー落ちるなんて思いもしなかったな!!」

「だなー」


 本当に停電は予想外過ぎた。


「今回のMVPの二人と主役二人はじゃんじゃん食べちゃって!!

 科学部からお詫びとしてちょっと貰ってきてるから4人分はそこからだすから。

 というわけで科学部からはお詫び貰ってるから攻めないように」


 早乙女さんどうやって科学部から貰ってきたんですかね・・・一応俺達高校生なんですが。お金のやりとりはまずいような。

 パチンとウィンクされた。


「・・・はぁ」


 早乙女さん科学部からは貰ってないな。多分ポケットマネーから出すつもりなんだろう。結構CDが売れて懐が温かいとは言ってたし。

 あとで渡しておこう。多分クラスメイトの中で一番俺が稼いでるし。


「すみませーん。ここからここまでお願いします」


 メニューのおすすめと書かれている始めから最後まで頼む。時々違う店だが声優仲間と食べに行くときはこういった頼み方はしないが、今日は人も多いし大丈夫だろ。



 *



「早乙女さん、はい」


 一万円札を早乙女さんのカバンに突っ込みながら声をかけた。


「えっ、すずっちは奢りだけど?」

「まぁまぁ」


 本当は貰ってないだろ。と押し付ける。


「あははバレた?」

「高校生で金のやりとりするはずないからな」

「それもそっか。一応科学部の知り合いと口裏合わせはしたんだけど」


 土下座されたけど、流石にお金は貰ってない。と早乙女さんは肩を竦めた。


「別に自分が損する必要はないだろ」

「そりゃそうなんだけどね。やっぱりあれで一瞬終わった感があったじゃん?だから向こう側から何かしてもらったって事でイーブンだと思ってもらおうと?」

「皆気が付いてたけどな」

「え」


 せっかく奢るつもりだったのに・・・と早乙女さんは頭をかいた。

 まぁ受け取っておいてくださいな。



 *



「なぜ俺は女子の制服を渡されたんだ?」


 文化祭二日目、守山さんに女子の制服を渡された。ご丁寧に黒のロングウィッグまで一緒だ。えーと、どういうことでしょうか。


「お願い!!演劇部で一人風邪で休んじゃって!!代役お願い!!」

「いやいや、演劇部他に人いるだろ!?」

「居るけど、その人の役がちょっと特殊で・・・」

「それこそ、俺みたいな素人がするもんじゃないだろ!?」


 本当になんで俺に!?


「その役両声類で引っ掻き回す役なんだけど、本当の両声類にお願いしたいなーと」


 それを言ったら遥さんに近藤、柊さんも出来るんだが。

 というか意味不明だな。その役どころ!?


「鈴木君って色々声出せるでしょ?だからお願いっ!!」


 その声だけ録音したのを流すつもりだったんだけど、折角だから!!と守山さんに頼み込まれた。

 むぅ・・・



 *



「俺だけど・・・」

「私だけど・・・」


 ステージの上で声を使い分けながら二人の恋路を引っ掻き回す役回りのキャラを演じる。

 というか練習1回しかしてないんだけど!!あと、声には自信があるけど動きには自信がない。

 眼鏡は予備として持ってきていたシャープな眼鏡に変えてあるから、簡単に男だとは思われないと思う。


 ステージ脇の待機している別の演劇部の人達が俺の方を口をぽかんと開けて見てくる。

 いや、だから両声類はもう珍しくもないだろうに。



 *



「凄いわ!!鈴木君演劇部入らない!?一回の練習であそこまで出来るなんて!!」


 守山さんがハイテンションで絡んできた。

 まだ俺着替えてないんで女子制服のままなんですけど。


「バイトあるから演劇部は無理だな」


 頑張って口調がリンにならないように意識して守山さんに言葉を返す。

 スカートとウィッグを被るとスイッチが入りそうになって困る。


「助っ人、助っ人で!!」

「今回限りだって」


 本当俺はあまりステージには立ちたくないんだ。

 というわけでおさらば!!



 *



「あっち行こ!!」


 着替えに行こうとしたら遥さんに捕まり、そのまま文化祭を回る。別に女装のまま回るのは構いませんが、少し髪のアレンジだけさせて下さい。

 流石に渡された黒のロングウィッグだと守山さんに見つかる可能性があるので・・・演劇ではストレートだったんでポニーテールにしておけばいいですかね。


「遥さん髪留め持ってる?」

「あるよ。はい」

「ありがと」


 遥さんからシュシュを借りてポニーテールにする。今日は女装するつもりもなかったから乾燥対策のリップぐらいしか持ってきてない。あとコンタクトを持ってきてないから眼鏡は必須だ。


「微妙にリンっぽいね」


 まぁ同一人物ですし。とわたしは肩を竦める。誰に聞かれているかわからないから声には出してないけど遥さんには伝わったっぽい。


「で、あっちはツバサちゃんのクラス」

「うん。ちょっと覗きに行こー」


 りょーかいです。ツバサちゃんはわたしに気が付いてくれるかな。

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