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アナタの本当の姿は?  作者: kame
高校二年生
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【第58話】夏休み5

「ふんふーん」


 わたしは手に持った巾着袋を小さく振りながら歩く。正直気分がいい。


「なんでそんなにリンは機嫌いいの?」

「ボーナスが出た」


 そう。アルバイトのわたしにもボーナスが出た。

 その額、わたしの月給の約二ヶ月分!!月給は不安定だからきっちり2ヶ月分というわけじゃなくて、大体二ヶ月分ってところ。


「それでその浴衣買ったの?」

「ん」


 そう。ちょっと奮発した。実は水色の浴衣なら持ってたけど、少し大人っぽく紺系の浴衣を買ってみた。

 深い赤の簪も一緒に買って、今日は少しヘアアレンジにも挑戦している。やりすぎるとウィッグ内のキャップが見えるかもしれないからほどほどにだけど。

 多分、地毛でやるよりは簡単だと思う。外してから自分でしっかり見ながらセットできるからね。


「じゃー今日奢ってー」


 わたしも浴衣買ったら余裕なくなった!!と赤系の浴衣に身を包んだ遥さんが顔の前で手を合わせる。多分今日の分ぐらいはあるんだと思うけど・・・任せたまえー。これでもわたし彼氏ですからね。全然大丈夫ですよ。


「遥さんの浴衣は映えますね」


 あと、赤って結構攻めてる気になりませんか?あまり目立つことをしたくないわたしとしては中々勇気のいるカラーなんですけど。


「意外と赤の浴衣はいるよ。あと寒色で水色の人も多いかなー」


 そうなんですか?わたし夏祭りとか行く機会が無いもので今何が流行なのかあまり知らないんですよね。ファッション雑誌は読みますけど、結局は自分の趣味で買ってしまうので詳しくないんですよね。水色の浴衣は姉さんのお下がりですし。


「じゃいざいかん!!」

「浴衣限定応援上映!!」


 レッツゴーとわたし達は映画館の中に向かって二人でカランコロンと下駄の音をさせながら進む。

 まぁ映画館は絨毯なんで音は鳴らないんですけどね。



 *



「あー、良かった」

「良かった」

「新作カットをここで出してくるとは・・・」

「新作決定だって」

「リンは知ってたでしょ?登場人物の所に名前あったし」

「ぴゅ~」


 知ってても知らない。それが企業秘密ってやつなのです。

 一緒に映画館から出てくる人達は疲れ切っている。そりゃねぇ・・・相当声出してましたからね。皆さん。


「いいなぁいいなぁ公開前に見れるなんて!!」

「ストーリー順に録ってると思わないように」


 キャラが死んだシーンの後に死ぬ前のシーンのアテレコなんてこともあったから、頭の中にあったストーリーがわけ分からなくなったことが何度もある。

 そもそも動画じゃないときだってあるから声優だから先にアニメを見れるわけじゃない。


「そういや、あっちの公園で夏祭りやってるらしいけど行く?」


 そこそこに広い公園で屋台が開かれ、ステージを行ってから、川から打ち上げ花火を行うというのがさっきの応援上映の最後に宣伝が入っていた。だから遥さんを誘ってみる。


「行くいくー」


 じゃー行こう。



 *



「ゲソでゲソー!!」


 わたしはあのアニメのキャラの声で言いながら、さっき買ったゲソにカブリつく。この焼かれたタレとゲソの旨味にゲソの弾力のある触感が混ぜ合わさって何本も食べたくなる。とりあえず4本買っておいた。

 ソーダとゲソ、他にもたこ焼きに焼きそばを屋台で買って、ベンチはもう何処も空いてなかったから公園を囲うわたしの腰ぐらい高さの石垣に座って二人で夕食にする。一応両親に晩御飯は外で食べてくるとは連絡入れておいた。


「本当にそっくりだね」


 そりゃ声真似はわたしの特技の一つですし?おかげで職にもありつけているわけで、この声さまさまです。


「りんごあめ食べる?」

「パス」

「じゃー私の分だけ買ってくる」

「いてら」


 遥さんがここから見えている屋台のりんごあめを買いに行った。

 わたしりんごあめは苦手なんですよね。



 *



 ――ひゅ~ドーン


 打ち上げ花火始まった。公園内の灯りと屋台の電気が落とされ、ほどほどに暗くなった空間に花火の光が入ってくる。

 りんごあめを片手にわたしのいる方へと向かってくる遥さんが、丁度打ち上がる花火を背にわたしの方へ向かってくる。



 色とりどりの花火の光で照らされた赤い浴衣の彼女は幻想的で、更にりんごあめに花火の光が反射した。


「キレイだ」


 わたしに人を褒める語彙力は無い。でも、キレイというのが今の彼女にはぴったりな言葉なのではないだろうか。


「へぶっ」

「あっ」


 ちょっと、遥さん。人が見入っているところで転ばないで下さい。せっかくの空気が崩れたじゃないですか。

 わたしは転んだ遥さんの側に駆け寄り手を貸して立ち上がらせる。


「鼻緒が切れちゃった」


 あらら。肩貸しますから少しこっちに来て下さい。



 *



 わたしは持ってきてあった巾着袋の中から10センチぐらいの黒の紐と財布から5円玉と取り出して、5円玉の穴に紐を通して、遥さんの元々鼻緒が通っていた穴に差し込む。後は鼻緒と紐を結んで・・・と


「完成」


 まぁ応急処置だけどね。買い直すなり、修理に出すなりして下さい。


「紐なんて良く持ってたね」

「自分用」


 念のため持ってきておいて正解だった。

 さてと、応急処置のまま色々歩くのもなんだし、座って花火でも見ようか。


「ありがと!!」


 ちょっと遥さん、ここまだまだ人いますから!!百合とか思われちゃうから今は抱きつかないで!!



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