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アナタの本当の姿は?  作者: kame
高校二年生
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【第51話】司会のオシゴト2

 ステージの準備をしているスタッフに混じってステージの上に立ち、既に入場している観客を見回す。

 結構人が入っている。というか社長はそんな端にコスプレ姿で座ってていいんですか?コスプレ会場は別にありますよ。


 今回の仕事は天の声による司会。まぁ段取りとか色々資料を見ながらだからそんなに難しくはないだろう。

 さて、一仕事しますか。



 *



「皆さん。こんにちはー!!」

「「「こんにちはー!!」」」


 みなさんノリ良いですね。

 わたしはステージの脇からマイク片手に会場を覗いながら声を上げた。


「本日、天の声で司会をさせて頂く悠里です。よろしくお願いします」


 男女の声を入れながら自己紹介。最近の自己紹介のときの方法が声を頻繁に変えながらというのがデフォルトになってる気がする。

 その声に会場中が一瞬静かになってわっと沸く。前のときもそうだけど、両声類なんてもう珍しくもないと思うんだけど。

 今日の出演者だって結構な人数が出せると思いますが。


「それでは、出てきてもらいましょう!!今日の主演者方です!!」


 さてと、あとは出て来る出演者に合わせて適当に・・・って台本に本当に適当にって書いてるだけじゃないですか!?え?なんですか。この丸投げ感!!

 ガサガサと他の紙を取り出して、出演順と演目を確認。よし。これでなんとかなる!!

 探すときはちゃんとマイクは切りましたよ。



 *



「最初はVoice(ボイス)Researchers(リサーチャーズ)です。

 4人組のグループですが、今日は一人来れなかったとのことで3人での参加です。ではよろしくお願いします」


 えぇ。最初から遥さんたちの番ですよ。未だにランキングにある人気者ですからね。声研究者という意味らしいです。近藤が考えました。

 三人がステージに立った。近藤と柊さんは控室で見たとおり女装と男装で、遥さんは遥斗で使っているメガネとわたしから貸したウィッグで軽く変装している。


『皆さんお疲れ様です。ボイスリサーチです』

Voice(ボイス)Researchers(リサーチャーズ)です。なんでメンバーが名前間違えるんですか』

『英語無理っ!!』

『私も無理だから!!私が流暢に言える英語ってこれだけだし』

『なんでこの二人はここで漫才始めたのか』


 ちなみに遥さん、近藤、遥さん(男声)、近藤(女声)、柊さんだ。

 この歌いはじめの前のフリータイムのネタは学校で考えてた。近藤に英語の発音を教えたのはわたしだ。わたしのは翻訳サイトの音声をそのままコピーしただけだけど。

 その声の入れ替わりに会場がおぉっと言った感じで沸いた。


『では、何故か未だにランキングに乗り続ける私達のデビュー作歌おうと思います!!

 一人少ないんですが・・・その人の担当箇所はごめんなさい。ありません・・・』


 歌のイントロが始まった。

 ・・・んー贔屓かもしれないけどね。うん。音響担当の方に近づく。この音響の人、うちの事務所の人だから顔見知りだ。歌っておーけー?と小さく聞いてみる。

 ステージ上の人に聞かなくていいの?と聞かれるけど、今一瞬遥さんと目があった。そして頷かれる。

 こりゃ彼女にも期待されてることだし、いっちょやったげよう。近くにいたプロデューサーも頷いているしね。


 *


「~~~」


 わたしが動画で使ったそのままの声で歌うとステージ上の遥さん以外が止まる。会場の人たちは何が起こったのか把握していない。今回の音源に休みの人の音声が入っているとでも思ってるんだろうけど、今回は完全にオフボーカルの音源だ。

 音入り完璧ですね。音響さん!!


 わたしの歌った歌詞のあとは十数秒ぐらい間奏がある。今のうちにステージに駆け上がる。

 いやだってさ、一人だけ裏で歌うのって寂しいし。


「お休みの人の代わりは私が歌いますねー」


 わたしがステージに上がったことで今さっきの声がわたしの声だったことに会場中が沸いた。



 *


「「さっきはありがとうございます!!」」


 近藤と柊さんがわたしの控室でお礼を言ってきた。

 あの後の司会はそのままステージ上でやった。一つのグループだけ出て他のグループで裏に引っ込んだら不公平すぎるんじゃないかと思いまして。別に天の声だろうとステージ上だろうとギャラは一緒ですからね。


「鈴木君がいないから微妙に歌のタイミングがわかりづらかったんで、あんな完璧にコピーしてもらえるなんて!!」


 いや、まぁ本人ですからね。遥さんは後ろ向いてぷくくと笑わないでください。


「悠里!!おつかれー、おー、君たちも一緒だったか、ちょうどよかった」


 そう言いながらノックもせずにわたしの控室に入ってきたのは社長だ。コスプレゾーンを堪能してきたらしい、首からかかる一眼レフにはいろんなコスプレのデータがおさめられていることだろう。ステージの途中から消えてましたからね社長。

 ノックもせずに開くのはたとえ同性同士だとしてもマナー違反ですからね社長。

 それにしてもちょうど良かったとはどういうことなんだろうか。


「僕はこういった者です」


 そういって社長が取り出したのは・・・またコスプレの名刺じゃないですか。


「おっと、ごめんつい癖で」


 癖でコスプレ名刺を出さないでください。

 いそいそと再度社長が取り出したのは、うちの事務所の代表取締役という名刺だ。結構フランクだけど社長なんですよね。この人。


「えっ!?社長さん!?」

「はい。悠里の所属する事務所の代表取締役してます。いわゆる社長ですね」


 急に大物から名刺を貰い焦る3人。まぁ最初は緊張しますけど、事務所内じゃフランクすぎてすぐに緊張なんてなくなりますよ。


「社長さんが私たちに何でしょうか?」


 それなりに声優やアイドルやと知り合いのいる遥さんが再起動をはたして社長に聞いた。


「君たちうちの事務所からデビューしてみない?」



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