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アナタの本当の姿は?  作者: kame
高校二年生
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【第45話】新人1

「こんにちは?」


 わたしが仕事の為にビルに入ろうとすると、入り口の前でうろうろとしている人がいたから声をかけてみた。


 わたしよりも小柄で茶色のセミロングの人はビクッと震えてからわたしの方に振り向いた。細い赤縁眼鏡がアクセントになっていてすっきりとした印象のある顔だ。それとなくこの前わたしに告白してきた須藤さんに似ている。でも須藤さんじゃ絶対にない。

 年齢は・・・わたしと同じくらいかちょっと下。


「あ、えっと私怪しいものじゃなくて!!」


 いや、わたしは何も言ってない。ハスキーな声だ。


「うちの会社に何か用?」


 このビル丸々一棟うちの事務所の建物で、アニメ部門がここに揃っている。他にも芸能部門でもビルがある。あっちにいけばそれなりに芸能人とも会える。

 おっかけならあっちだと思うんだけど。


 なんか、ぱぁっと笑顔になった。

 え?なんか喜ぶようなことあったっけ?


「この事務所の方なんですねっ!!

 今日からお世話になる須藤と言います!!よろしくお願いします!!」


 うん?こんな時期に新人とは珍しい。そして名前は須藤ね。親戚かなにかかな?


「どこの部署?」

「えっと、声優です」


 あーそういや今日から録るアニメに新人の子がくるとか言ってた気がする。

 流石に脇役全員わたしがやるのは他の声優にも申し訳ないし、新人のチャンスを潰すことにもなるし、学校もあるから結構仕事量は絞っている。


「なら付いてきて」


 とりあえずお父さんの所でも連れて行こう。あそこならお父さんがどうにでもしてくれると思う。



 *



「あぁ、須藤君ね。聞いてるよ」


 おぉ。お父さんが仕事してる。いつもわたしだけだと癒し~とか言って抱きついてきて仕事してないのに。


「リンは須藤君を社長室に連れて行ってあげて、社長には僕から連絡しておくから」

「ん」


 基本的にわたしは収録の30分前には入ってるから余裕はある。


「リン?さんってどういう人なんですか?」


 来る途中まで色んな人に声かけられてましたよね。と須藤君。まぁね。それなりに事務所内だと有名かな。


「それなりに知られてる」


 エレベーターで最上階まであがる。一応社長室ということで最上階にあるけど、社長はよく原画室で原画を描いてることが多い。そして作監からよくダメ出し貰ってる。


 ――コンコン


 社長室の扉を叩くが何も反応なし。

 扉は・・・開いてる。不用心な気もするけど、まぁこの前指摘したら盗られる物なんてないって言ってた。

 やっぱり今日も原画室かな。もう勝手に入って待ってよう。


「適当に座ってて」


 応接セットのソファーを勧めてから、脇にある給湯室でお茶の用意をする。冷たいのでいいよね。


「冷たいお茶でいい?」

「は、はいぃぃ」


 急に社長室に連れてこられて緊張してる。

 わたしの時はうーん・・・姉さんが居た上に、たまに親の弁当を届けに来てよく一緒に食べてた人だったから緊張なんてしなかった。それにあの時は監督の急なコンテ修正で登場人物が増えて声優が足りなくて急遽といった感じだった。

 あの時は本当に上から下まで大騒ぎだった。でもその分いい作品に仕上がって評価されたけど。


「どうも遅れました。社長の遠藤(えんどう)です」

「ひゃ、ひゃいっ!!」


 ガチャリと社長室の扉が開いて社長が入ってきた。わたしは給湯室から少し顔を出して覗き込む。


「あっリンちゃんもありがとう。俺コーヒーね」

「ん」


 社長はいつもコーヒーなのでそれは最初から準備してる。


「あっ、これ俺の名刺ね」

「レ、レイヤーですか?」

「あっ、ゴメン!!それオフの名刺だった」


 でた。社長の小ボケ。それ新人には突っ込めないようなボケだから止めるように前から言ってるのに。須藤君はよく突っ込んだほうだと思う。わたしが見たことあるのは固まったまま動かなくなるというのがほとんどだった。

 一応社長もレイヤーだけど、仕事が忙しくてそんなにイベントには参加していない。自宅からSNSへアップする程度だ。

 わたしの時?そもそもわたしは社長がレイヤーというのは先に知っていた勢なんで。


「どうぞ」

「うん。リンちゃんありがと」


 アイスコーヒーとお茶を用意して持っていくと、社長がいつの間にか資料を持って須藤君の前に座っていた。


「ねぇリンちゃん」

「はい?」

「これ見て」


 そういって資料のある部分を指差してわたしに見せてくる。履歴書だったんですね。これ。


「ここ男って書いてるんだけど、本当?」


 こそこそと話しかけられる。社長が指差していたのは性別の欄だ。そこにはしっかりと男にマークが付けられている。


「ん。本当」


 そう。この須藤君。男の子だ。確かに一見だとわからないけど、そこらかしこに男だと判断できる材料がある。

 だからわたしは最初から須藤君呼びだ。お父さんはわたしで見分ける力が鍛えられたからかお父さんもしっかり見分けてた。


「そうか・・・リンちゃんと同じ扱いで良いのかな?」

「さぁ。わたしはそもそもここでは男と公言して女装しているわけですが」


 リンの方が女性社員受けもいいんで。

 男と公言しているから事務所のお手洗いは・・・普通に女子トイレ使ってます。普通に女性社員に連れ込まれたんで。


「えーと・・・」

「ごめんね。ちょっと確認させてもらっていいかな?」

「は、はい」

「君の心は女の子ってことでいいのかな?」


 その言葉に須藤君ははっえっあっ!?と慌てる。


「い、いえ、あっすみません。

 こんな格好してますけど、ちゃんと心も男です」


 この格好はいつもの癖で!!すみません!!と須藤君は息を荒げた。

 まぁうちは服装は何も言わない会社だけどね。癖ってそんなに女装してるの?


「おーけぃ分かった。

 リンちゃん。須藤君のことよろしくね」


 え?よろしくって言われても何したらいいんでしょうか?


「声優の仕事教えてあげて」

「ん。了解」


 じゃぁ早速スタジオに行こっか。


「えっ?へっ?それだけですか!?」

「うん。だって俺達そういうの慣れてるし、というわけで初仕事いってらっしゃーい」


 さぁさぁお仕事しますよー

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