【第44話】告白されました
「好きです。つきあってください」
は?
遥さんからなんか一年生から鈴木君にだってと渡された手紙にあったように体育館裏に行くと一年生の女子に告白された。
いや、なんで?俺、惚れられるようなことした覚えないし、この子も知らない。
手紙には名前書いてなかったし、会った時に名前を聞いたけど須藤 未來というらしい。
「あのレクリエーションの時の鈴木先輩の料理姿を見て、おっこれは!!料理できる系男子いい!!って思いまして
私、料理出来ないから出来る人捕まえようと思って」
ざっくばらんという子だな。
裏で何考えてるか分からない子よりは俺はこういった子の方が好みではあるけど・・・
「俺彼女いるからごめんね」
「えっ!?先輩みたいな地味でいかにももてなさそーな人に彼女がいるんですか!?二次元ですよね?」
「決めつけるんじゃねぇ」
二次元には嫁しかいねぇよ。
それに遥さんはちゃんと彼女だ。たまに逆転することもあるけど。
「えっうそっ」
須藤さんは口元を押さえる。
「・・・わざとらしい驚き方をしない」
惚れ惚れするぐらい隠す気のないわざと驚いていますといった動作に俺は息をはいた。
そんな俺の様子をみて須藤さんは驚く演技を止めてんーと考えてから口を開いた。
「鈴木先輩の彼女って誰なんですか?」
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「俺と付き合って下さい!!」
別のクラスの友達からなぜか私宛に渡された手紙にあったように武道館の裏に来たら、一年生の男子生徒から告白された。
まさか鈴木君へ預かったラブレターを渡したその日のうちに私も渡されるなんて思ってもみなかった。
呼び出した男子生徒は鈴木君とは真逆のタイプでがっしりした体型にスポーツ刈りのいかにも屋外の部活でしっかりと日焼けした肌だ。
身長は180はあるんじゃないだろうか。私のタイプじゃない。
「飯島先輩に一目惚れしましたっ!!」
「えーと、惚れてくれるのは嬉しいんだけど、私彼氏既にいるから・・・ごめんなさい」
やっぱりいますよね。と肩を落とす男子生徒。
まぁ彼氏居なくても私は断ったと思うけどね。だってタイプじゃないし。あとまだ名前教えてもらってない。
鈴木君の方はどうなったかなぁー
鈴木君へのラブレターを私に渡してきた彼女がそのままラブレターの差出人なら、鈴木君のタイプじゃないけど鈴木君って性格重視だからどっちに転ぶか分からない。
絶対に大丈夫だと思うけどね。
ちらりと鈴木君がいる方をみて鈴木君と目が合う。
体育館と武道館の裏って一直線だから見えるんだよね。
「そういえば、飯島先輩の彼氏って誰なんですか?」
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「えーと・・・」
答えるのは良いけど、果たして信じてもらえるか・・・
明らかに俺と遥さんって不釣り合いだしなぁ。
「やっぱりいないんですねっ!!」
「いや、いるから!!」
いるって!!今いる体育館裏から武道館裏で告白受けてる遥さんが見えていたから指差してみる。須藤さんが振り返る。
実は始めの時から見えてた。向き的に遥さんからもこっちが見えているはずだ。
遥さんも告白?受けてるみたい。でも時々目が合ってた。
「えっ、飯島先輩とですか!?」
「あれ?知ってるんだ」
そんなに遥さんはスクールカースト上位ってだけで別学年にまで知られるようなことはしていないと思うんだけど。
「そりゃぁもう。あっちにいる男が私の幼馴染で飯島先輩に一目惚れしたからって色々調べるのを手伝いましたから」
まさか幼馴染で恋人の二人にそれぞれ告るなんて・・・と須藤さんは頭を押さえている。
本当にまさかだな。
というか遥さんのこと調べてたときに俺の情報は出なかったんだ?
「鈴木先輩と一緒に屋上で弁当を食べているという情報はありましたが、5人組と聞いていたのでただの友達の集まりかと・・・」
男女の間にも友情はありますし。と須藤さん。俺も男女でいたら恋人という思考はしていないが、そういった目で見る人がいるというのは知っている。俺達が付き合うまではリンと遥斗で普通に男女のヲタ友だったし、男女の友情は成立することは間違いない。
それぞれが本当は同性だと思っていたから本当に男女の友情と言って良いのかわからないけど。
「お陰で幼馴染のあいつと恋人同士だと勘違いされる毎日なんですよね」
あいつは本当に腐れ縁なだけですし。と須藤さん。そこに恋愛感情は感じない。本気で腐れ縁なんだろう。
あっ、向こうの男子が遥さんの目線がこっちをむいていることに気がついて振り向いた。
*
「なんで未來いるんだ!?」
「あんたこそなんでここにいるのよ」
はいはい。
二人の行動がよく似てるってことで良いじゃないか。




