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アナタの本当の姿は?  作者: kame
高校二年生
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【第42話】声紋

 姉さんに連れられて姉さんの大学の構内を歩いて研究室へ向かう。

 そこに行くまでにも中々に面白そうなサークルが見えた。なんだろう。あの壁に絵を描いている集団は。

 あと、演劇サークル?の人も発声練習をしているのか良く声が聞こえてくる。


 芸術系の姉さんの大学は面白そう。

 もう後1年もしたらわたしは志望校決めて勉強しないといけないんだろうなぁ・・・声優でご飯は食べていけると思うけど、やっぱり大学は出ておきたい。

 ただ未来のビジョンはわたしにはない。漠然と大学は出ておかないととは思ってるけど、どの大学とも考えていない。

 遥さんと同じ大学というのも少し考えたけど、人に影響されて決めるようなものじゃない。そもそも遥さんの学力にわたしがついて行けない。


「よーこそー。我が研究室へー」


 姉さんが扉を開くとそこはスタジオだった。

 はい?ここが研究室?


「防音とか録音環境とか考えたら結局こういった形に落ち着いたんだってさ」


 教授が言ってた。と姉さんは肩を竦める。

 でも・・・


「事務所のスタジオのほうがいい」

「あはは。まぁあっちのほうが機材はいいのが入ってるね」


 機材が少しグレードが低い。まぁそれでも相当高額機材にはなるんだけど。


「他の人は?」

「今日は土曜だし出てきてないんじゃないかなぁー」


 姉さんがパソコンを立ち上げている。きっとそこに解析ソフトが入っているんだろう。

 その間にわたしは他の機材を見て回る。


 本当にスタジオでよくみる機材ばかり置かれている。


「あっリンそこのマイク取ってー」

「ん」


 箱に入っているコンデンサーマイクを姉さんに渡す。

 結構高いマイクなんだろうけど、普段の収録で見慣れたマイクだ。


「・・・なぜにギター?」


 機材の隙間にギター?が置かれていた。


「あぁ、それベースよ。教授の趣味。ここでレコーディングして動画サイトに上げてるんだってさ」


 へー。これがベースなんですね。実はあんまりギターとベースの形の違いは分かってない。

 でも、中々楽しそうな教授じゃないですか。

 それにしてもこのスタジオの光景・・・あぁ、あの人か。いや、でも待って。あの人女装して動画撮ってる人なんですけど?

 顔出しはしていないけど、いつもロングウィッグで何かのアニメのコスプレしてることが多い。

 ベースでギターパートを弾くというスタイルの人でまぁまぁ動画サイトでも人気のあるベーシストだ。



「よしっ準備出来た」


 そのマイクで何か喋ってみてー。との事なので、とりあえずリンの声で喋ってみる。


「その日、わたし達は目撃した。」


 アニメの台詞だ。アニメの内容としてはお金持ち一家に使える使用人たちによるご主人様の盗み見アニメ。ギャグアニメで結構面白い。


「やっぱりかぁーリンの声って分析かけても女って判断されるんだけど」


 年齢に身長はあってるんだけど、性別だけが違うなんて。こんなことあるのか・・・と姉さんは色々過去ログを見ているんだろうか、カチカチとキーを押している。


「やっぱ過去ログでは声帯を手術した人ぐらいしかいないわ」


 えっと、つまりはわたしの女声って機械をも騙せる女声ってこと?


「その通り。次は地声で」


 あまりリンの姿で地声は出したくないんですが、まぁ実験ですからね。


 ――ガチャ


 わたしが声を出そうとすると研究室の扉が開いた。まだ声を出す前で良かった!!

 杉本さんが部屋に入ってくる。


「あれ?麻美居たんだ」

「まぁねー、丁度いいサンプルもいることだし、声録らせて貰ってるの。ゆーやは?」

「俺はこの前のレポートの再提出食らった」


 サンプルって・・・まぁ確かにそうかもしれませんが。


「あれ?リンちゃん?」


 杉本さんがこっちに気がついた。


「どうも。おじゃましてます」

「いらっしゃい。サンプルってリンちゃん?」

「そそ。というわけでリンは声よろしくー」


 地声って言わないだけいいか。


 とりあえず適当にアニメの名言を地声で言っておく。

 杉本さんが驚いた顔でこっちを見てくる。両声類なんて今時珍しくもないでしょう?


「おー、その声は男ってでるわ」

「うわっまじ?」


 二人して分析結果を見てますけど。男のわたしの地声ですからね。男として分析されないとおかしいと思うんですけど。


「じゃぁー本題。この台詞私の声で喋って」

「ん」


 姉さんの声なら声を習得する時にまず目標とした声だから少し自信がある。

 書かれていた姉さんの出ていたアニメの台詞を幾つかマイクに向かって喋る。


「おぉぉ」


 リンもこっち来てと言われて姉さんの後ろから画面を覗き込む。


「こっちが私の声で、こっちがリンのさっきの声」


 前に私の声は録ってあったの。と比較画面を見せられて・・・


「・・・すっげぇ。別人でこんなに同じになるなんて・・・」


 杉本さんの言うようにその比較はほぼ同じに見える。

 所々強弱が違うけど、正直これぐらいならお手本があれば真似出来そう。


「リンの声真似は機械をも騙せるか・・・」


 いざとなったら収録代役お願いね。と姉さんに言われた。


「いやだ」


 自分の仕事は自分でして下さい。


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