【第41話】合コン2
「うっぷ・・・」
姉さん飲み過ぎですよ。
もどすほどじゃないけど、気持ちが悪そうだ。
「とりあえず水飲んで下さい」
お冷くださーい。と店員に頼む。
さすがにここでわたしの炭酸飲料を渡すわけにはいかないだろう。
そんなに姉さんお酒に弱いと思ったことはないんですけど。たまに声優仲間で食べに行くときはケロッとしてますし。
とりあえず今は水飲んでください。
結構男女間で話が盛り上がっている中でも気が沈んだままの知子さんを元気付けようと頑張りすぎてるんですよ。
途中から知子さん姉さんを見て笑っていた。
酔っ払っていて気がついていなかったかもしれませんが、あれはこの場が楽しいというより姉さんが面白いと思われていたと思う。
「うあーリーン」
なんで酔っ払ってわたしに抱きついてくるのか分かりませんが、安静にして下さい。
*
「大丈夫?」
杉本さんが声をかけてきた。
「ここまで酔ったのを見たのは初めて」
とりあえず店は引き上げ、二次会行きたい人は二次会へ行った。
姉さんと未成年のわたし、あと付き添いとして杉本さんが付いてきた。
わたしは姉さんに肩を貸す。とりあえず姉さんの部屋に行きましょう。
杉本さんは・・・どうします?
酔っぱらいの女の子の部屋に男が来る気はありますか?わたしは除外です。そもそも家族ですし。
「ゆーやもおいでよぉー」
姉さんはとりあえず自分の足で立って下さい。
「えーと・・・」
杉本さんは悩んでいる。普通拒否じゃないんですかね。
いやでも、今は無いけど遥さんが酔っ払った場合、わたし家に連れて行くかもしれない。連れて行ってそのままおじやとか作っているかも・・・
「一つ確認」
わたしは一本指を立てて杉本さんに聞く。
「杉本さんは麻美さんの彼氏ですか?」
居酒屋で時々付き合っている雰囲気が伝わってきたのですが。
「あ、あぁ。付き合ってる」
まぁお二人の首元のネックレスってペアですもんね。2つがキレイに組み合わさって一つの形になるやつ。
ちなみにわたしと遥さんのはペアネックレスではなく同じものを付けているおそろいです。
「ふむん」
わたしは杉本さんの目が真剣な目をしているのを確認して頷いた。
「では、杉本さん。今後共姉をよろしくお願いします」
まぁ姉さんとの関係ぐらいは話しておこう。
「は?」
いや、なんで杉本さん固まるんですかね。
「いや、麻美には弟しか居ないって聞いてたから・・・」
なるほど。確かに聞いていない妹らしき者が出てきたら驚きますよね。
「妹さんもいたんだなぁ・・・」
あぁ、気が付きませんか。
んー・・・家に連れてきたら教えるとしますか。それまでは勘違いしていてもらいますか。
「あはは。では姉もこうなので」
お先に失礼しますね。
*
「うー頭痛いー」
「おはよ」
結局、酔っ払った姉さんを放置するわけにはいけないから、昨日わたしは姉さんの部屋に泊まった。
まぁ広いし一人暮らしだけどソファーだってあるし寝るところには困らない。
メイクだけは落としたけど、すっぴんで外を歩くつもりはないから、帰る前に適当にカバンに入っているメイク道具で整えるつもり。種類は少ないけど、まぁなんとかなる。
「おじや作ったけど食べる?」
「食べる」
うん。食欲はあるようだし問題ないか。
「今日学校は?」
「金曜に呼び出しといて聞く?」
もちろん土曜休み。
「じゃあ学校見学ってことでうちの学校来ない?」
まぁメイク道具貸してくれるなら行きますが。
服が昨日着てきたリンの服だからリンでしかいけないけど。
✳
ぶらぶらと姉さんに案内されて大学を歩き回る。
カタログで見たことはあったけど、実際見ると、全然サイズ感が違う。
学校自体は休みのはずなのに開いていた食堂で姉さんにうどんを奢ってもらう。
「で、なんで急に大学見学?」
今まで何回も来ているが、大学に入ることはなかった。
「えーと、私が今専攻してるのって音響なんだけど、今声紋についてやってて別の人物が出す全く同じ声の場合どうなるかっていうのをしようとしてるんだけど」
「同じ声を出せる人がいなかったと」
「そうそう。私たちもある程度は変えれるけど、リンって全く同じ声出せるじゃん?」
声真似は時々やってるけどそんなに同じ声だとは思ったことはないけど・・・
「前、ナギサの代役頼んだとき誰も違和感持ってなかったけど?」
それはマイクとスピーカーの問題もありましてね・・・
いや、まぁいいです。研究に付き合ってあげるので研究室案内してください。
ちょっとわたしも自分の声が科学的にどうなってるか気になる。
声紋ってたしか指紋の声バージョンですよね。わたしのリンの声と地声ではどうなんだろう?
ちょっと楽しみ。




