【第40話】合コン1
『リーン、今日の晩暇ー?』
急に姉さんから連絡が来た。
今使ってるスマホはリン用じゃないし、電話に出た時普通に素の声だったはずなんだが。
というか今学校で昼休みだし。電話のために少し離れたけど遥さん達とご飯食べてたところなんだが。
姉さんもこの学校の卒業生だし、時間を狙ってかけてきたんじゃないだろうか。
「暇と言えば暇だが?」
リアタイで見たいアニメもあるけど録画で過去ログ漁りながら見るのも嫌いじゃないから余程のことがなければ夜は時間をあけることは出来る。
『じゃぁリンで7時にうちまで来てー』
「何すんだ?」
そんな7時に呼び出されることなんて今までなかったと思うんだが。
『合コン♪人数合わせでねー幹事枠でタダ飯だよー』
だから、お願い来て!!と頼まれる。
人が集まらなかったんだな。
「はいはい。7時な」
『うん。よろしくー』
姉さんの部屋までは大体電車で1時間半だから・・・放課後そんなに余裕ないな。
まぁ特にすることもないし、さっさと行けばいいか。
「どうしたの?」
「姉さんから今日の晩うちに来てーだってさ」
あと合コンの数合わせだって。と遥さんに伝えておく。一切後ろめたいことはしていません。
というかリンとして参加だから相手が出来るはずがございません。
*
約束の時間の30分前についてしまった。
とりあえずインターホンを押すと、姉さんが出てきた。
「リン、丁度良いところに!!」
「は?」
部屋に連れ込まれる。
姉さんの部屋は風呂トイレ別の少し広めの1DKだ。声優の給料とまだ学生なんだから出させろと言った親の折半で住んでいる。
セキュリティもしっかりしたところだから更に高くなっているが、有名声優の給料から考えると安いほうだろう。
わたしですら親の扶養から外れるぐらい貰ってるし。ちゃんと本名の方で色々納めてますよ。
まぁお金の話はいいとして、連れ込まれた姉の部屋に他に人がいる。
ずーんという効果音が似合いそうな感じで落ち込んでいる女性だ。
「私なんて・・・私なんて・・・」
「姉さん。この人は?」
「あー、今日の合コンってね。知子が振られたからその元気付けなのよ」
ネガティブスイッチはいっちゃってますけどね。
「というわけで、リンのお得意のメイクで化けさせて!!」
私の方でやろうとしたんだけど、私よりメイク上手いリンが来てくれたし!!と自信満々に言われましても・・・
「ひとまず顔上げて下さい」
顔見ないとどんなメイクにするか全く決まらないんですけど。
*
「はーい。じゃぁ飲み物何にしますかー?生の人ー」
女子陣からも男子陣からも手が上がる。
「リンは?」
「メロンソーダ」
今回未成年はわたしだけですね。わたしはソフトドリンク一択ですよ。
お酒は飲んでみたい気持ちはあるけど、20歳までは我慢します。
姉さんが仕切りながら少しおしゃれな居酒屋で慰め集会と言う名の合コンが始まった。
意外と男集団がイケメンだ。遥斗とは・・・うーん。イケメンのジャンルが違う。わたしとしては遥斗の可愛い系イケメンのほうが好き。今回のイケメンは男臭さを全面に押し出したイケメンたちだ。
「リンは未成年なので、おにーさん、おねーさん方はのませないよーに」
飲ませた方も捕まるんで。と姉さんは忠告してくれた。
「じゃぁまず俺から!!杉本 裕也です!!趣味は地下アイドルのライブですっ」
・・・それ合コンで言っていいことなんだろうか。
パロメロのライブでこんな感じの人を見た記憶がある。
「じゃっ次私!!鈴木 麻美です。声優やってます」
知ってまーす。といった視線が男女両方から集まる。まぁ姉さんはオープンですからね。
その後も自己紹介が続く。知子さんは・・・うん。男性陣の視線を集めたけどネガティブモードのままだった。可愛く仕上げたのに。
「鈴木 凛。皆からはリンって呼ばれてる。麻美さんと被るからリンって呼んで」
「あーリンちゃんって、イベント会場で麻美に裏に連れて行かれる子でいい?」
杉本さんが聞いてきたから頷いておく。
ネットで話題になってるぐらいだから地下アイドルのライブが趣味の杉本さんなら知っていてもおかしくはない。
他の男性陣もあぁ、そういやリンちゃんみたいな画像見たことあるといった反応を返してくれる。えっと、思ったよりわたし有名人になってます?
「麻美とどういった関係なの?姉妹?」
名字一緒だし姉妹かな?と杉本さんが聞いてくる。
えーと・・・姉さんはなんて説明してるんでしょうか。
「リンは、一応親族の一人だよー詳しくはまた後でね」
「おーけぃ」
姉さんの説明に、とりあえずそれで杉本さんは納得してくれたけど・・・姉さんのこと呼び捨てですか。
・・・なるほどぉ。




