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アナタの本当の姿は?  作者: kame
高校二年生
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【第36話】黄金週間1

 俺が朝起きて、リビングに向かうと珍しく電気がついていた。親のどっちかがいるんだろう。

 俺が起きる前に起きているなんて珍しい。


「おはー」


 リビングへ続く扉を開け声をかけると


「「リンで出直してきなさい(こい)」」


 息子に言う言葉か?冗談だよな・・・?

 珍しく母さんも父さんもいる。本当に珍しい。


「本当に着替えたほうがいいか?」

「えっ着替えてくれるの?」

「ハリーハリー」


 冗談だよな・・・?


 *


「今日は休みなんだ」

「流石にゴールデンウィークは休みだ」


 コーヒーを飲む父親。仕事は俺の所属している事務所のアニメーション部の部長で経営陣の一人でもある。

 日々追われるスケジュールと仕事で中々家で会うことはないが、事務所ではよくあっているから久しぶりという感覚はない。

 基本リンで会ってるから父さんとしては男の俺に会うのは久しぶりだろうけど。


「母さんも?」

「そうねー私も休みよー」


 だからリン、一緒に買い物いきましょっ!!と元気のいい母さんは仕事は俺の所属している事務所のアニメーション部デザイン課の作画班の一人だ。俺の声当てするキャラも結構描いてきている。

 買い物行くのはいいけど、リンで?いや、別にいいけど。ちょっと欲しい服があるから買ってくれるかなぁ。



 *



 ――ピンポーン


 お母さんと出かけるために着替えているとインターホンがなった。


「はーい」


 わたしのメイクを見ていたお母さんが出ていく。今のうちに服を着替えよう。本当は着替えてからメイクしたいところだけどお母さんが居たから着替えるのは後回しにしてた。

 今日の服はお母さんの希望で所々にフリルの付いた可愛い系の服。トップスは白で、スカートは濃いめの赤。

 あとは薄めのグレーのカーディガンを羽織って、ホワイトデーで遥さんと渡しあったネックレスをつける。実は結構な頻度でつけてる。

 ウィッグはメイクの前に着用済み。メイク前につけるのは、ウィッグのない状態でメイクするのがなんか違和感あるから。


 ふぅ・・・よし。完璧。


 ――バタバタバタ


 階段を駆け上がってくる足音が聞こえる。

 その足音はわたしの部屋の前まで来ると・・・


 ――バンッ


「彼女いるなら言いなさいよっ!!」


 ドアを開け放ちながら、お母さんが叫んだ。

 その後ろには引っ張られてやってきたであろう遥さんがいた。

 あのインターホンは遥さんが押したのか。というか今日来るって連絡あったかな?


「おは」

「おはよう」


 とりあえず遥さんに挨拶。


「言わなくても知ってると思ってた」


 実際うちの事務所でわたしの恋愛事情はそれなりに有名だ。少なくとも声優と監督陣には遥斗の存在は知られている。

 冬の祭典であったのもあるし、ちょくちょく遥斗と映画に行った時に舞台挨拶でステージに立った時に目が合ったり、楽屋に連れこまれたりと遥斗を事務所内で知っている人は多い。


「えっ?遥斗くんって彼氏なんじゃ?」


 えーと、お母さんはわたしが同性愛者といいたいのでしょうか?

 あと遥斗の存在は知ってるんですね。


「違うの?」

「違う」


 見るのは良いけど自分はBLにはならない。


「でも、遥ちゃんが佑樹の彼女で、遥斗くんは・・・?」


 一人宙ぶらりんじゃない?とお母さん。

 遥さんは後ろでクククと笑っている。ネタバラシしないの?


「遥斗はあれ」


 遥さんを指差す。


「ん?」


 遥さんはにやりと口角をあげて、


「どうも、男装して遥斗と名乗ってます」


 遥斗の声でお母さんに向かって言った。


「ひょっ!?」



 *



「遥ちゃんが遥斗君で、佑樹がリンでカップルで・・・なんか面白いわねっ!!」


 お母さんはわたしと遥さんを交互に見る。

 確かにわたし達の関係は見る人が見れば面白い関係だと思われるとは思うけど、本人を前にして言うことかな?


「でも、今の感じを見てたら百合にしか見えないけど」


 座っているわたしを後ろから抱きつく形でわたしの頭の上に遥さんが顎をのせている。

 頭が重いんですけど。言わないけど。


「リンって抱きつくといい匂いがするし、ウィッグごしでも感じる体温が気持ち良くて」


 あぁ、寝そう。と遥さんは体重をわたしにあずけてくる。ほとんどわたし達体重同じだから、抱きつくのは良いとして体重をあずけるのは止めてほしい。


「で、どうした?」


 連絡もなく遥さんがうちに来るなんて珍しい。


「・・・少し匿って」

「へ?」



 ===>



 家から逃げるように鈴木家に来て、鈴木君のお母さんが出てきて挨拶したら鈴木君の部屋に連れて行かれた。

 鈴木君はリンの姿でいたけど、その姿をみて私はほっと一息ついたのは事実だ。


「えっと?匿ってとは?」

「うーん・・・

 従姉弟がうちに来てるんだけど、どうやらその娘昔一回見た遥斗に一目惚れしちゃったみたいなの。

 で、私が遥斗というのは着替えを見せたから信じてくれたけど、私に付き纏うようになって面倒で・・・」


 同性に何度も告白されても私は同性愛者じゃないっての。とリンに愚痴る。


「だから逃げてきたと」

「うん。梨花にはここにいるって教えてるし問題は無いと思う」


 流石にあの娘もここは・・・おっとフラグ立てるところだった。


「じゃぁ私達と一緒に買物行きましょ!!」


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