表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アナタの本当の姿は?  作者: kame
高校二年生
34/339

【第34話】渋谷さん2

「ま、真奈・・・?」


 待ち合わせしていた駅前に渋谷さんを連れて行くと待っていたツバサちゃんが声を上げた。


「どう?」


 わたしはわたしの後ろに隠れようとする渋谷さんをツバサちゃんの前に出す。

 今ツバサちゃんの見ている渋谷さんはツバサちゃんに負けず劣らず可愛いという仕上がりだ。


 たった一週間しかケアしてないけど、前と見違えるほど肌はきれいになったし、枝毛もなくなった。渋谷さんの努力の賜物だろう。

 というか今までしていたのが合っていなかっただけではないだろうか。

 おそろしいぐらい効果があった。

 その間、ツバサちゃんと一緒に登校していたのにツバサちゃんは気が付かなかったの?


 まぁメイクで結構変わっているのもあるかもしれない。

 とりあえずわたしがやってみたかったたれ目メイクをやってみた。

 渋谷さんはあまりメイク道具は持ってなかったから適当に百均で集めてきて、渋谷さんの家でメイクしてあげた。


「可愛い!!」


 おおぅ。ツバサちゃん大胆。渋谷さんに抱きついた。

 渋谷さんの顔が真っ赤に染まる。


「大胆だねぇ」


 遥斗も同じぐらい大胆な時あるけど?

 抱きついてきたり、キスしてきたり相当大胆だと思うんだけど。


 もう一つ言うなら、今日のツバサちゃんは男の格好だから渋谷さんに抱きついているのが画になる。

 逆のほうがもっと画になるだろうけど今、ガチガチになっている渋谷さんには無理かな。


 ツバサちゃんが男の格好なのは、遥斗のコーディネートだ。


 ちょっとコーディネートさせてと言ったらあっさりとOKを貰い遥斗がどうしても女の子っぽくなるツバサちゃんを苦労してかっこよくした。


 だから今、抱き合っているこの二人、美男美女でとても画になる。

 カメラカメラ・・・ない。スマホのカメラでっ・・・なんで二人共急に離れたんですか。撮らさせてくださいよ。


 ――ブブブ


 わたしのスマホの着信音だ。メールだから中身を確認。

 遥斗もわたしのスマホの着信音に釣られたのか、スマホを確認する。


「ごめん。バイトが入った」

「俺もバイトに呼ばれた・・・」


 わたしに遥斗も続く。

 遥斗もいやそうな顔だが、きっとわたしも嫌そうな顔をしていることだろう。


「「だから二人で遊びに行ってみたら?」」



 ***



 リンさんも遥斗さんもいなくなった。

 僕達を着飾っていなくなるなんてどういうことだろう・・・


 多分リンさんが服からメイクまですべてコーディネートしたと思う幼馴染の真奈の姿を見て、僕は少し緊張する。

 今の真奈はいつもよりも大人しく見える。きっとベージュ系のゆったりしているトップスと黒の足首まであるロングプリーツスカートというのもあるんだろうけど、一番はやっぱり目だと思う。

 真奈は昔からつり目できついイメージを持たれていた。実際正確はそこまできつくないんだけど、そのつり目で睨んだ睨んで無いで喧嘩になることも多かった。

 多分つけまつげがポイントなんだと思うけど、僕はほとんど素で女子に見えることもあってメイクはあまりしないから詳しくは分からない。


「変じゃないかな・・・?」


 真奈が自信なさげに聞いてくる。


「ううん。かわいい」


 今の真奈はとても可愛い。それは本当のことだ。リンさんって凄い。


「これ、リンさんの服なの」


 へぇ、リンさんの・・・あれ?リンさんって鈴木先輩だったような・・・

 リンさんが真奈と同じサイズなのに驚くべきなのか、真奈がリンさんと同じサイズだったことに驚くべきなのか微妙だ。

 あとすっかり忘れてたけど、僕を着替えさせた遥斗さんも飯島先輩だったはず。

 なんであの人達、あんなに違和感ないんだろう。リンさんが男子更衣室に入るほうがおかしいって思ってしまう。


「えっと、リンさんからこれ貰ったけど・・・」


 そう言って真奈が取り出したのは、とある個展の入場チケットだ。

 開催者には僕も見覚えがある。有名な漫画の作者の名前だ。

 個展もやってるという話を聞いたことがある。チケットも結構な倍率で入手困難というレアチケットだ。


「これってあのチケットだよね・・・」


 この漫画はアニメ化、映画化もしているような有名作品だから真奈も知っているはず。


「リンさんから貰ったって、リンさんなんでそんなのくれるんだ?」

「さぁ・・・でも、貰う時4枚持ってて、私に2枚渡してくれた感じ・・・行っておいでって渡してくれたけど、行く?」

「行くけど、こんなレアチケを4枚ってリンさん何者なんだ・・・」


 本当にリンさんって何者・・・?



 ***



「このチケットどうしたんだ?」


 貸したウィッグに変えた遥斗が、今わたしから渡した個展のチケットの出処に付いて聞かれた。


「んー、先生に貰った」

「えっ?先生って・・・もしかして!?」

「そう。この先生」

「え゛っ!?」


 わたしはチケットに書かれている主催者の名前を指差す。

 実は姉経由で知り合った。結構仲良くさせてもらっている。

 作画時に沸いた声のイメージをデータとして残しておきたいということで、何度か自宅にもお邪魔している。

 その声から声優を探すといったこともしているようだ。たまーに悠里宛にオファー依頼があることもあり、取るかどうか迷ってると社長から愚痴られた。

 先生には声優とは言えてない・・・完全に言うタイミングを逃している。初めて会った時は本当に無名の時だったし。

 前自宅に行った時に、いつもしてもらってばかりだから何かしてほしい事ある?と聞かれて、チケット欲しいなーといったらぽんとくれた。関係者用がまだまだあるって言っていた。

 友だちの分と言って余分に3枚くれたから近藤達誘おうかなとは思ってたけど、丁度良いから渋谷さんに渡しておいた。


「あっ二人が動き始めた。行くよ」

「ん」


 わたしはロングウィッグに変えたし、遥斗はわたしから貸したいつもと違う色合いのウィッグにしたし、尾行しますか。

この二人、デートの尾行をするのが好きなようです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ