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アナタの本当の姿は?  作者: kame
高校二年生
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【第32話】レクリエーション4

「そういえば、なぜ鈴木先輩って化粧水持ってるんですか?」


 えっと、あー。どうしようか。


「おしゃれに気を使う男子なら持ってるだろ」


 アカネ君は確実に持ってる。

 あと近藤は・・・微妙だな。柊さんに言われてつけている可能性もあるけど、詳しくは知らない。


「それはそうなんですけど。

 鈴木先輩って言ったら悪いですけど、おしゃれに気を使っているようには見えないんですよね」


 もさ眼鏡ですし。とツバサちゃんは俺の姿を見ながら言った。

 確かに俺の普段は目立たないのを意識している。別にモテるつもりもなかったからなぁ。


「じー」


 わざと声で言いながらツバサちゃんは俺の顔を見てくる。

 しばらく見ているとあれ?と首を傾けた。


「えっと・・・」

「先輩、眼鏡のけてもらっていいですか?」

「素顔は風呂で見てるだろ」

「コンタクト外していたのでほとんど見えてません。今はまたコンタクト入れて見えるんでお願いします」


 どうする・・・正直眼鏡を外したらリンと言われる気がして仕方ない。

 遥さんにバレたときだってそうだ。この黒縁眼鏡でない眼鏡をしていてリンではないかと思ったって後から聞いた。


「ちょっと知り合いに似てる気がするんですよね・・・」


 でもリンさんって女の人だしなぁ・・・とツバサちゃんはうーんとリンの顔と俺の顔を脳内で合わせようとしているのか頭を捻っている。

 ごめんなさい。リンさん女の人じゃないんです。


 ――ぽんっ


「一ヶ月持たなかったね」


 あっもう諦めた感じですか、遥さん。

 別にヲタ側の人にはバレた時点で隠さないということにはしてるけど、あっさり白状するのも面白くないんですけど。

 でも・・・


「遥さんのクレープ奢りだな」

「えー、どっちかというと期限というより今回は鈴木君の化粧水が原因じゃない?」

「じゃぁ俺の奢りか!?」

「へへっゴチになりまーす」

「畜生・・・」


 ツバサちゃんを置き去りにして話を進める俺達。

 どれくらいでバレるかで賭けをしていた。一ヶ月以内なら俺の勝ち、一ヶ月以上バレなかったら遥さんの勝ちだ。

 ただ、バレた原因が俺のだから俺の負けになった。解せぬ。


「えっと、先輩?どういう話ですか?」


 ツバサちゃんは急に意味の分からない話をし始めた俺達に困惑している。

 俺が眼鏡を外すと、ツバサちゃんが「えっ!?」と声を上げそうになるのを口を押さえて留める。ウィッグなしでも分かってしまいますか。


「まぁこういうこと」


 リンの声に変えて答えた。

 ツバサちゃんの目が何度もまばたきする。んなアホな!!という気持ちが伝わってくるが本当なのだから仕方ない。

 少しぼやける目で遥さんに目線を送ると、承知したとばかりに遥さんはスマホを構えた。


 ――カシャッ


 遥さんがスマホで写真を取ってツバサちゃんのスマホに送信。ピロンと着信音が鳴ったツバサちゃんのスマホには今の写真が表示される。送信者は遥斗。

 遥さんは遥斗専用の携帯を持ってないからラインのIDは共通だ。

 一年生組とは連絡先は交換していないから、遥さんがツバサちゃんの連絡先を知っているはずがない。


「っ!?」

「ごめんごめん。俺女なんだよね」


 にししと遥斗の声で遥さんが畳み掛けた。

 一応落ち着いたみたいだから、俺はツバサちゃんの口から手を離す。


「まじですか・・・」


 遥斗さんが女性だったなんて!!と頭を抱えて蹲るツバサちゃん。えっと、どういうこと?


「遥斗さんと色々猥談しちゃってるんですけど!!」


 そ、それはご愁傷様です。


「あははーネタとしては美味しかったよ」


 遥さんは全然気にしないよーとむしろ女子の会話の方がエロいからとフォローなのかフォローじゃないのか分からないフォローをしていた。


「ぐぬぬ・・・」



 *



「えっと、翼はなんでそんなにテンション低いの?」


 朝食の席でツバサちゃんがテンション低くもそもそとご飯を食べている様子を見て、渋谷さんがツバサちゃんに聞いていた。


「まさかの事実に気付かされて、未だにショックを受けてるとこ」


 まさかの中学生の時に猥談したのが女性だなんて・・・と昨日の晩、ベッドでずーんと沈んでいた。

 遥さんがクククと笑っている。


「別人だと思っておいた方が楽だよ」


 何かを察した早乙女さんがぽんぽんとツバサちゃんの肩をたたいてアドバイスしていた。


「うー」



 *



「ツーバサちゃん!!」


 レクリエーションから帰宅して、週末の土曜日、遥斗が待ち合わせしていたツバサちゃんの後ろから肩を叩いた。ツバサちゃんはとあるアニメの女子制服を着て駅前で待っていた。


「遥斗さんっ!!リンさん!!」


 あれ?レクリエーションの時とテンションが違う?

 まぁ別の姿でテンションが違うのは良くあることだからどうでもいいけど。


「本当に先輩方なんですか?」


 まだ疑うようにツバサちゃんがこちらをじろじろと見回している。


「信じられない?」

「はい・・・」

「そっか、じゃぁまぁ良いか。信じなくても良いけど一応先輩だからね。

 困ったことがあったら相談してくださいな」


 出きることなら手伝うからと、元の声に戻して伝えていた。もちろんわたしも手伝えるなら手伝うからね。



 *


「まぁたあんたはそんな恰好して!!」

「うげぇー」


 ――野生の渋谷さんが現れた。


 さっとツバサちゃんはわたしの後ろに隠れる。えっと、どういう状況ですか?



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