【第29話】レクリエーション1
「えーと、ひとまず何するんだっけか?」
レクリエーションンをやるとは聞いたが、細かく何をするのか聞いていない。
「えーと、学校からバスで移動して、合宿所に到着後、登山で山頂でお昼。
下山したら、各班で夕食を作って食べる。夜には希望者で花火。一応寝るときは男女で部屋が別れるんだって」
遥さんが事前に渡されたタイムスケジュールを見ながら教えてくれた。
その紙俺貰ってないんですけど。班に一枚?
「晩御飯を作るって何作ればいいんですか?」
ツバサちゃんが聞いてきた。
「まぁこういうのって大体カレーじゃないかな」
失敗してもカレー粉で味を誤魔化せれるし。
「まぁうちには鈴木君がいるから無問題」
遥さん諦めるの早すぎませんか。
「鈴木先輩料理できるんですか?」
渋谷さんが聞いてきた。
「ほぼ毎日作ってるよね?」
「あー・・・ほぼ毎日だな。親が帰ってこねぇから」
むしろ会社にもってこいという無茶苦茶な親だ。
しかもリンでという注文付き。癒やし・・・癒やしを・・・と言われるが、実際は女装した息子なんだが。
「じゃぁ先輩お願いしますっ!!」
もしかして一年組は料理できない組・・・?
「あはは・・・その通りです」
さいですか。
*
「んー」
長時間のバス旅が終わり、背筋を伸ばす。
今から持ってきた荷物をそれぞれの部屋に放り込んでから再集合の予定だ。
それにしても登山か・・・そんなにきつい山じゃないとは聞いているけど、めんどうだな。
俺基本インドアだから。
「じゃっまた」
遥さんが渋谷さんを連れて部屋へ向かう遥さんに軽く手を振ってから俺とツバサちゃんも部屋に向かう。
部屋に荷物を放り込んで、昼飯の弁当を小さめのリュックに詰めて背負ってから鍵を閉める。
鍵は無くさないように、合宿所待機の教師に渡しておく。
通常は別の班の男子と四人部屋になる予定だったが、人数の関係で俺達だけ二人部屋だ。一年側が人数が少ないらしい。
「登山したことありません・・・
鈴木先輩はしたことありますか?」
「んー、一回だけかな」
昔、親の取材旅行に連れて行かれて富士山は登ったことがある。
*
――ズッ
「おっと」
遥さんが転けそうになったのを支える。
「ありがと」
「昨日の雨で滑りやすくなっているから気をつけてね」
――ズルッ
「きゃっ」
・・・ツバサちゃん。言ったそばから転ぶ?
「まったくあんたは!!」
と、渋谷さんがツバサちゃんの手を取って引き上げる。服は・・・大丈夫そう。
そんな様子を持ってきておいたコンデジでパシャリと一枚。
一応一眼レフも持ってるけど、高価すぎるものは持ってくるの禁止と言われたからコンデジにした。
これでもスマホと接続できるモデルだから、皆に送信も簡単だ。
スマホで撮ってもいいけど、折角だからね。山頂で電波があるようなら送信しておこう。
*
一度ツバサちゃんが転んだ以外は問題なく山頂につく。
そこで、持ってきておいたレジャーシートを取り出して一休憩。
ぐるっと徐々に登ってくるクラスメイト達が見える。
合宿所のサイズとバスの貸し切りの関係もあって2クラスずつ分けて実施されているから、そんなに人数はいない。
見回していると、早乙女さんとアカネ君の班がやってきた。二人と一緒の一年の子達は肩で息をしている。
「やほ」
「おつかれー」
そういいながら俺達に合流した早乙女班。
一年生は一年生で、「あの先輩達体力化物っ」とか言ってる。まぁアカネ君はほぼ毎日アイドルとしてトレーニングしてるし、早乙女さんはなんだかんだイベントでは走り回ってる。
見た感じインドア系の二人にはちょっときつかったかもしれない。
そんな様子を見ながら、早乙女さんが少し大きめのカバンから折りたたみの椅子を取り出して座る。更にカバンから携帯ボンベと小さいポットを取り出して、水筒から水を取り出して温め始めた。
もしかしてアウトドア慣れてます?
「・・・えっと、いいんだっけ?」
「許可貰ってるから大丈夫!!
てなわけでインスタントコーヒーならあるけど、いる人?ミルク無いからブラックOKな人限定だけど」
俺と遥さん、アカネ君と早乙女班の男子が手を上げた。
早乙女さんはさらにカバンから紙コップを取り出す。じ、準備がいいですね。
「装備あるねぇ」
「ちょっとアニメに影響されて買い集めた」
キャンプも数回行ってきたぜー。と早乙女さん。
まだまだ寒いのに頑張るなぁ。
話を聞いていたのかツバサちゃんが寄ってくる。ここ最近たまに見てたけどツバサちゃんオタク趣味オープンだから気になったんだろう。
「アニメってあれですか」
「それそれ。装備がゆるかったからキャンプはハードだったけど、楽しかったよ」
薪とか買わずにそこら辺で集めて鋸もないから力ずくで折って、寒いからガンガン燃やしてさぁー。と思い出を語ってくれる早乙女さん。すごく生き生きとしてる。
相当楽しかったみたいだ。
「確かこの山の南側にキャンプ場があったような」
「そうそう。そこ行ってた。一泊300円だからやっすいし」
興味あるなら連れていくけど?と言われた。
「寝袋とかの初期投資がなぁ・・・」
「あー、確かにそれは最初あたしも悩んだなぁ」
キャンプって大人の趣味だからなぁ・・・




