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アナタの本当の姿は?  作者: kame
大学4年生
289/339

【第289話】クリスマス1

 いよいよだ。正直いつもより早く起きてしまった。まだ、外が暗い。ただ、もう一度寝れないぐらいに目が覚めている。


「よいしょっと」


 ベッドから起き上がって、椅子に掛けておいたパーカーを着る。いつもより時間早いし、この時間から動いて遥さんが起きちゃうから、静かに移動して椅子に座ってパソコンを立ち上げる。今日の晩御飯で作る予定のローストチキンのレシピでも再確認しておこう。流石に二人で丸々一匹は食べられないから足だけだけど、おいしいのを食べたいからな。

 天気予報も確認。今日は洗濯物外に出しても大丈夫だろうか。ダメっぽいな。

 ついでに、メールも確認しておこう。まぁ昨日の晩も確認して特になかったから、こんな朝っぱらからメールが来るなんて事はないだろうけど。


「ん?」


 新着メールにインフルエンザ流行中といったメールがあった。もうすでに何人か休んでるらしい。事務所でインフルはやってるのか。予防接種も事務所負担でやってるんだけどなぁ。



 *



「おはよー」


 遥さんがいつもの時間に起きてきた。俺はキッチンで朝食の準備中だ。


「おはよ。そろそろ出来るから待ってて」

「分かったー」


 と、言いながら遥さんは洗面所に向かっていく。顔を洗うんだろう。と考えながら俺はフライパンの上に卵を割って落とす。ここからは時間との勝負だ。半熟卵にしたい。


 ーーーブブブ


 俺のか、遥さんのスマホかわからないが、こたつに置かれたどっちかのスマホが震えている。ちょっと今俺手が放せないんだけど。


「はいはーい」


 洗面所から顔をタオルで拭きながら遥さんが出てきた。電話は遥さんに任せようか。俺のスマホが鳴ってたとしてもリン用のスマホじゃない限りは遥さんの事知ってる人ばかりだし。


「はい。飯島です」


 遥さんが遥斗の声で電話に出る。ということは事務所関連かな。おっと卵もいい感じだし皿に移してっと。


「え? あー、はい。大丈夫だと、思いますけど」


 ん? なんか遥さんが言葉を詰まらせている。どうしたんだろうか。と考えていると、遥さんがスマホを片手にキッチンへやってきた。


「リンに電話だってさ」


 ん? リンに? というか相手誰?


「祐樹のお母さん」


 ・・・リンである必要ないじゃん。


「はいはい。何ですか」


 まぁ声変えるぐらいなんでもないから変えてあげるけどさ。別に減るものじゃないし。


『あっ、リン? ちょっと助けて』

「何があった?」


 どういうこと?



 *



「はい。次」

「これでよしっと。母さん確認」

『おっけー次お願い』


 母さんに遥さんの描いた原画を送信して、母さんに確認してもらっている間に、遥さんには次のカットを描いてもらう。いつもより早く描いてるから粗があるところは俺が直していく。俺もいくつかの原画を描く予定だけど、こっちはそこまで急ぎじゃない。


「それにしても半分がインフルでダウンって大丈夫なんですか?」


 遥さんが通話をつないでいる母さんに聞く。事務所でインフルエンザ大流行中らしくて原画班だけで考えると半数近くがインフルでダウンしてしまったらしく、色々スケジュールが崩れまくっているらしい。


『大丈夫じゃないわ・・・だから二人にヘルプだしたのよ』


 クリスマスは二人とも休みにしてたのに。本当にごめん。と母さんが言ってくる。だから最初から俺達のシフトがクリスマスが休みになってたのか。


「そこまで切羽詰まってるんですね」

『えぇ・・・集まったらまたインフル感染する可能性が高いからうつってない人は在宅でやってもらってるの』


 二日でパンデミックとか笑いものにならないわ。とハハハと母さんのほうから乾いた笑い声が聞こえてくる。


「予防接種してなかったっけ?」

『してるんだけど、ダメだったみたいね』


 あー、しかも年末のこの忙しいときに!! とがりがりと頭をかく音が聞こえてくる。なんか荒れてんなぁ・・・


『というわけで、二人が頼みの綱だからお願い!!』


 本当に人が足りないの。と母さんが真剣な声が頼んでくる。


「多分、依頼頂いたのは今日中には終わりそうですけど」


 遥さんが手を動かしながらも、見込みを答えている。やっぱり遥さん早いな・・・俺だと同じ分量するのに2,3日はかかるんだけど。


『本当っ!? 助かるわ!!』

「はい。描いておきますね」

『祐樹も遥ちゃんのフォローよろしくね』

「はいはい」


 もちろん手伝いはするさ。



 *



「ココアだけどいる?」

「もらうー」


 リビングの炬燵で作業している遥さんのためにココアを用意する。ちょっと想定外のクリスマスになってるけど・・・正直、ロマンチックなところに行くより、俺ららしいといえばらしいクリスマスな気がするのは気のせいだろうか・・・大体この時期は冬の祭典の事前準備でばたばたしてることも多いし。


「はい」

「ありがと」


 遥さんの目線は液タブに向いたままで、ふーふーとココアを冷ます。俺もその向かい側に座って同じようにココアを冷ましながら飲む。そしてそのまま液タブへペンを走らせる。

 元々プロポーズは家でするつもりだったけど・・・どのタイミングでしようかな。細かいのは正直決めてない。晩御飯前? 後? と考えてたら間違えて描いちゃった。このカットさっき描いたし。はぁとため息ついてから途中まで描いたのを削除する。といっても念のため別フォルダに移すだけだけど。


「間違えた?」


 俺のため息が聞こえていたのか遥さんが聞いてきた。


「カット間違えた」

「あー、どんまい」


 まぁ、別事考えていたからなんだけどな。

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