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アナタの本当の姿は?  作者: kame
大学4年生
281/339

【第281話】文化祭4

「あっ、昨日の服明日返すね」


 メイド喫茶のシフトに入って昨日服を貸してくれた女子に伝える。ちゃんと洗って今は陰干し中だから、明日には乾いてると思う。


「別に急がなくても良いよー」


 そうは言ってもですね、わたしも似たような服を持ってるから、混ざりそうだし早めに返したい。


「そういえば今日はどんな服できたの?」

「え? あー」

「もしかして、家から女装!?」


 なんでそんなに嬉しそうなんですかね。


「今日は朝から里奈さんだったぞ」


 更衣室で一緒になった赤崎が勝手に答える。わたしが更衣室に入ったらわたしの顔を見てなかったのか、更衣室間違ってませんか? と言ってきたけどね。素の声で答えてやったけど。


「どんな服着てるの?」

「えーと、今日は普通の服?」


 なんちゃって制服でも、露出がある服でもなく、その辺の女子大学生が着るような服で来た。なんかもう、どうせなら最初からこっちで良いかなって。


「きっと可愛いんだろうなぁ」

「いや、普通の服ですよ?」



 *



「お帰りなさいませ。お嬢様方」


 新たに二人が入ってきてわたしが対応する。女性と見た感じ女性が二人で手を繋いでやってきた。というか、両方ともわたしの知り合いだし。


「あれ? 祐樹何してんの?」

「ここ、うちの出し物だし。絵里奈こそどうしてここに?」


 わたしが対応したのは、昨日わたしが教えたメイクを自力でがんばったであろう絵里奈だ。うん。ほぼほぼ出来てるかな。


「みすずの大学の文化祭だからね。ちょっとお邪魔してるのよ」


 もうみすずの所には行ってきたけどね。と絵里奈が教えてくれる。まぁ、一人だったら、龍ケ崎さんに会いに来たで全然いいんですけど、絵里奈の隣にいる人がちょっと問題なんですよね。


「絵里奈、里奈さんと知り合いだったのか?」


 絵理奈の隣にいた見た感じ女性の人から男声が聞こえてくる。その姿で分かってましたけど、大藪さん何女装してるんですか。



 *



「どうせ、身を隠すためでしょ?」


 メイド服から着替えてきて、絵里奈達が座った席に座る。ちょうどわたしのシフトが終わったから、急いで着替えてきた。


「分かってんじゃん」


 ズゴーと、ジュースを飲みながら言う絵里奈。


「それで両方ともが女子なんだ」


 見た目百合ですねぇ。まぁよく大藪さんも躊躇なく女装しますよね。


「? よく分かんないけど、あたしが男装は難しくない?」


 それなりに胸があるよ? といった感じで、絵里奈が自分の胸をちらりと見下ろす。


「まぁやりようはある」


 さすがに大きすぎると無理ですけど絵里奈ぐらいならなんとかなるかな。わたしの専門じゃないんですけどね。男装の専門は遥さんですね。


「んー奥が深いねぇー」


 奥が深いって言っていいんだろうか・・・?

 まぁ絵里奈は今の状態でも結構変装出来てるからいいとして、わたしは大藪さんのほうに視線を向ける。ぎりぎり許容範囲って感じですかねぇ・・・元がいいから何とかなってる感じ。


「昨日の里奈さんにやってもらったのを参考にしたんだけど、どうだろうか」

「ぎりぎり?」

「やっぱり? あたしもちょっと手を入れたんだけど、うまくいかないのよねー」


 普段は撮られる側ですからね。絵里奈はともかく、大藪さんは自分でメイクすることなんか殆ど無いんじゃないですかね。


「後で直す」

「まじで!? 助かるわー」


 ただ単にわたしが、気になるから直すだけですけどね。



 *



「こんにちは」


 遥さんがわたしが大藪さんにメイクをしている部屋に入ってきた。遥さんも遥さんで学部の方で出店してましたからね。いつも一緒ってわけじゃないんですよ。


「昨日はどうも」

「あっ、絵里奈ちゃんも来てたんだ」

「えぇ遥は店番終わったの」

「何事もなかったら終わりかなー」

「何事かがあることもあるんだ」

「スタッフのメイクが大きく崩れたときかなぁ・・・私の学部、お化け屋敷だから」

「あたしお化け屋敷きらーい」

「いけると思ってたんだけどいけないんだ」

「ちょっと怖いのよねーホラー映画は全然いけるんだけど」


 二人が話すのを聞きながら、大藪さんのメイクが終わった。うん。満足。


「そういやさ、二人のことって今日の週刊誌なんだよね」

「そうそう!! 発売されなかったらいいのに」

「あはは。そこそこ騒がれてるっぽいけど、二人はここで居ても大丈夫なの?」

「まぁ、大丈夫なんじゃない? 今日はスマホの電源も切ってるけど」


 絶対友達から色々来てるって。とめんどくさいという表情を隠しもしない絵里奈。まぁそのめんどくささは分かる。


「こんな週刊誌見ると、昔とられたのを思い出すなぁ」


 大藪さんが、昔のことを思い出すように明後日の方向を見ながら呟く。


「そういえば、昔撮られたんだっけ?」


 絵里奈が、呟いた声を拾って大藪さんに聞き返す。まぁあの時は社長の働きで早期で沈静化したけど、それなりに騒がれましたからね。否定論がいろんなところから上がった後に、出版社の倒産とかいうこともあったからだとは思いますけど。あの時社長がちょっと怖かった。


「あぁ、リンさんと撮られたんだよなぁ」

「リンさんって・・・あれ? 前祐樹が玲奈ちゃんに言われてなかった?」


 大藪さんと話していた絵里奈がわたしに聞いてくる。


「あー・・・似てるんじゃない?」

「リンさんの変装姿と里奈さんの姿って髪以外一緒なんだよなぁ・・・」


 何これ、わたしもしかして疑われてますか・・・?



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