【第28話】2年生
「2年生でもよろしくね」
張り出された紙を見て遥さんと同じクラスに名前があり、一緒に横で見ていた遥さんがやったね。といった感じで言った。
実際嬉しい。他にも屋上組と岡崎君、早乙女さんもいる。俺と関わったことのある異性装組とオタク組が揃い踏みだ。
「よろしく」
「はるさんにすずっち、同じクラスだねー」
・・・すずっちとは俺のこと?
声が聞こえてきた方に向くとイベント会場であった早乙女さんがいた。
「はるさんとは私の事?」
「そ、どっちの時に呼んでも間違いないっしょ?」
「あー、確かに」
んーまぁ分からなくもない。早乙女さんは張り出されている名簿を見て、「一緒なクラスか、よろしくっ」と言った後に落ち込んだ。
・・・どうした?
「山崎くんがいない」
「あっ・・・」
「いいし、あたしは別に山崎のことなんか!!思ってないし!!」
「「ツンデレ乙」」
*
「じゃー今年もよろしくー」
2年でも担任になった華岡先生軽っ。
今日はたいした授業もなく、既に入学式を終えている1年生に対しての部活動紹介がある。
俺は帰宅部だから、部活動紹介は全く興味がない。
遥さんも帰宅部だ。漫研も一応あるけど、私隠れだし。といって入ってない。
特に今日は何も用事がないから、同じ時間に教室を出る。
「今日うちくる?」
「いく」
遥さんを誘ってみると即答で返ってきた。
まぁうち来ても本読んでるか、漫画描いてるかだけど。
真新しい制服に見を包んだ学生が固まって体育館に向かって歩いているのを横目に、散りかけた桜並木を歩く。
もう少し前なら綺麗な桜並木だっただろうが、今は花も落ちて緑の葉がちらほらと見える。
「あっ」
遥さんが何かを見つけたようだ。
「あれ、ツバサちゃんじゃない?」
指を指した先を俺も見ると、ズボンにブレザーのうちの男子制服を着たツバサちゃんだ。
あれ?ひょっとするとはっきりと男子の格好したツバサちゃんを見るのは初めてかもしれない。コスプレしてない時はユニセックスの服の子だし。
多分流石に今日はメイクしてないと思うけど、普通に可愛い。スカートとリボンに変えれば普通に女子で通りそうだ。
ちなみにうちの学校の制服は、ズボンとネクタイが男子で、スカートにリボンが女子となっている。
「うちの高校だったのか」
「みたいだねー。ライン送っとこ」
写真付きで。とパシャリと撮る遥さん。
「どれぐらいで気付くと思う?」
「一ヶ月ぐらい?」
俺達がそれぞれ性別が違うこと教えたこと無いけどな。
「毎日写真送ってたら数日かなー」
おっ、ツバサちゃんがキョロキョロとし始めた。
写真の角度から割り出そうとしてるんだろうけど、俺達の周りには他の生徒もいるしわからないだろう。
「『同じ学校なんですか!?』だって、『いぇっす!!』っと」
探してみてちょーだい。と遥さんはにやにやとスマホを眺めていた。
*
別の日、課題をやっていなかった近藤と早乙女さんに課題を教えながら教室でスマホをいじっていると、廊下の方から教室を覗き込む男女の二人の一年生の姿が見えた。
学年はネクタイとリボンの色で違うから、一応分かる。まぁ覗き込んでいる一人はツバサちゃんだから一年生って分かるんだけど。
あれから何度か遥さんがツバサちゃんの写真を撮っては送っている。
ようやく学校にも慣れて探検がてら探していると言った感じだろうか。
「やっぱりいない?」
「うーん・・・いない」
と二人は一年生の教室の方に戻っていった。
「あれ?あの子ってここなのか」
早乙女さんがツバサちゃんに気がついたのか聞いてきた。
「らしいな」
部活に入ってない俺達じゃ接点なんて滅多なことじゃないだろうけど。
*
「レクリエーション?」
「そ、帰宅部連中にも別学年に接点を持ってもらおうってことで今年から始めるんだって。
3年は修学旅行に行くから1,2年で一泊二日の林間学校をするらしい。
あーめんどー」
おい、教師。思ってもいいけど口に出すな。
「内容としては2人ずつで4人班作って、移動して飯作って食って、寝て、飯作って移動する以上っ、
やろーども喜べ、班は男女混合だ」
大雑把すぎませんかね。
男女の班ということで、さらっと俺と遥さんで班を組んで提出しておいた。
あとで抽選で1年生の班と合わせられるらしい。
*
「まぁそんな予感はしてた」
「あ、あはは」
いざ、顔合わせとなって集まると、まぁ見事にツバサちゃんと、ツバサちゃんと教室を覗き込んできていたツバサちゃんの幼馴染という少しつり目が特徴的な渋谷 真奈ちゃんがそこにいた。
何となくツバサちゃんと一緒になる予感はしてた。
「「よろしくお願いします」」
「「お願いします」」
さてはてどうなるかな。
部活をしていない別学年とはどうしても出会わないので無理矢理合わせます。