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アナタの本当の姿は?  作者: kame
大学4年生
279/339

【第279話】文化祭3

「Ladies and gentlemen!! 今夜はお集まりいただきありがとうございます!! 今年も一杯ですねー」


 わたしは、ステージの上から観客席を満遍なく見渡しながら言う。奥のほうまで詰まってますね。


「里奈さん里奈さん。今年の出演者はサプライズってことになってるんですけど、今年は誰が出演してくれるんですか?」


 文化祭実行委員の一人がわたしと一緒にステージに立っている。予定ではステージに立つのは実行委員の一人だけでわたしは余分ですからね。KB18の依頼だといっても、メインは実行委員の二人なんですよ。てっきり、わたしだけで司会やるものだと思ってたんですけど、打ち合わせしたら二人でということだった。


「んー、勿体ぶるものでもないから言うけど、KB18が来てくれてます!!」

「おぉっ!! 一昨年にも来てくれたKB18が!?」

「はいっ!! 今年も来てくれました!!」


 おおっ!! っと観客席の方から盛り上がる声が聞こえてくる。一応、少しだけ噂はわざと流していたようですけど、実行委員の情報の扱い方が今回は相当上手かったですね。確定となるような情報は流さず、大きな話題とならず、大学内でのみの語られるような信憑性が薄いと感じるような情報だけ流すといった力加減が相当上手いと思う。


「これ、聞いた訳じゃないけど、うちの大学に会いたい人がいたから受けてくれたって話だよね」

「そうなんですか?」


 それは初耳なんですけど。あのアイドルグループが会いたいうちの大学の人って誰だろう?


「これも聞いた話なんだけど、今回の出演は先方から言ってきたそうなんだよ」

「へぇ」


 まぁ知ってますけどね。どういった経路で今回の出演が決まったかは。


「つまりは、グループのうち誰かがうちの大学を気に入ったか、大学に会いたい人がいるかだと思うんだよ俺は」

「なら大学を気に入ったでいいんじゃないですか?」

「いや、俺は大学に会いたい人がいるに一票だな」

「わたしはどっちでもいいですけど」

「里奈さんあんまりアイドルに興味ない?」

「ファンの人には申し訳ないですけど、興味はないですねー」


 特に男のアイドルには。と付け加えておく。


「あー、里奈さん実は男ですもんね」

「その通り」


 男性アイドルファンの男性を否定するつもりはありませんがね。というと、観客席のほうから驚く声が聞こえてくる。上の方には知られてますけど、わたし男だって知らない新入生もいますからね。


「まぁわたしの性別はどうでもいいとしてそろそろ登場してもらいましょうよ」

「どうでもいいこと・・・? まぁどうでもいいか!! じゃぁ登場してもらいましょう!! KB18の皆さまです!!」


 何、わたしが性別をどうでもいいことっていったら呆れたような顔でこっちを見るんですか。



 *



「おつかれさまでーす」

「「「おつかれー」」」


 KB18の控室にわたしと一緒に司会をした人と入る。ふと思ったんですけど、わたしが女の恰好ですけど、ここにいるの結局男だけですね。KB18の人がイケメンなので男だらけにしてはむさっ苦しくないですね。


「なんで里奈さんそんなに落ち着いてるんです?」


 俺物凄くビビってるんですけど。とさっきまでステージの上で堂々としていたのに急にびびりだしている。さっきまでと別人みたい。ちょっと面白い。


「ちょっとなんで笑ってるんですか」

「あれ? 出てた?」


 ちょっと笑ったのが漏れてたみたい。


「いやー同じ人間なんだし、そんなに緊張する必要ないんじゃない?

 この人達の場合はちょっとぐらいタメでも全然問題ないし」

「そう言い切る里奈さんが怖い」


 そう言われてもね? わたしこの人達のスキャンダルに巻き込まれたりしてるし、敬う必要なんかないかなって、思ってたりもするんですよね。まぁわたしがスキャンダルに巻き込まれたリン本人だなんてここにいる誰も知りませんけど。


「印象第一なアイドルがそう簡単に怒ったりしないって」


 タメ口ぐらいなら全然大丈夫でしょ。とKB18に目線を向けてみる。


「そうそう!!タメでいいよ。というか俺らとそんなに変わんないだろ?」

「そうですけど!! そうですけど、国民的アイドルですよ!?」


 そういうものですかね?



 *



 ーーーブブブ


 少しKB18と話しているとわたしの携帯が鳴った。祐樹用の携帯だけど。リン用は鞄の中だし、スマートウォッチのほうに通知が来てないから何も来てないと思うけど。

 わたしはかけてきた人の名前を見て、頭を傾ける。これまた珍しい。


「里奈さん鳴ってるよ」


 わたしが取らないのを見て言ってくる。うん。取るけどなんだろう。


「はい。鈴木です」


 通話にスワイプして電話にでる。勿論地声に戻してる。


「「「うわっ!?」」」


 何で皆さんそんなに驚いているんですかね。


『なんか騒がしいけど大丈夫?』


 電話口から相手が聞いてくる。


「まー大丈夫。で、絵里奈(えりな)はどうした?」


 そう、電話をかけてきたのは俺のイトコである絵里奈だ。折角だからと連絡先は交換していたから、連絡が来るのはいいんだけど、なんでだろう?


『ちょっと相談があるんだけど、これから時間取れない?』

「今から?」

『そう!! ちょっと切羽詰まってて!!』


 んー


「それはいいけど、どこで?」

『今、みすずと一緒にいるから佑樹の大学の近くで!!』

「わかった。着替えたら行く」

『着替えたら? え?「鈴木先輩今日女装してステージしてたんですよ」なるほど。そのままでもいいよ!! 見てみたい!!』


 龍ケ崎さんの声が聞こえて、絵里奈が俺の姿に興味を持ったっぽい。なんか目的変わってない?

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