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アナタの本当の姿は?  作者: kame
大学4年生
268/339

【第268話】オープンキャンパス

「二人とも久しぶりー」


 大学のオープンキャンパスで協力学生として遥さんとともに呼ばれたから仕方なく大学に来て、集合場所になっている食堂に行くと、同じく協力学生となっている大崎さんと会った。


「久しぶりー」

「おひさー」


 一ヶ月とは言わないけど半月はあって無いから久しぶりでいいだろう。夏休み前はほぼ毎日会ってたし。


「あーそういえば、鈴木君を大津先生が探してたよ?」


 ん? なんだろう? 少なくとも呼び出しされるような事は大学ではやってないと思うんだけど。成績だって赤点はないし。


「準備室だってさ」

「りょーかい。ちょっと行ってくるわ」

「行ってらっしゃい」


 本当に何で呼ばれたんだろう?



 *



「あれ? なんで里奈になってんの?」


 遥さん達の元に帰ってくると、遥さんに言われた。まぁわたしが今里奈の姿なのはその通りですし。


「でもなんで?」


 大崎さんが気になったのか聞いてくる。


「オープンキャンパスはこっちで案内してくれーだってさ。鈴木には男子高校生の案内係をしてもらうつもりだから、そっちの方が見栄えが良くなって入学希望者も増えるはずだから!!っだってさ」


 大津先生の声に変えて経緯を伝える。いやほんと案内役の性別なんてどっちでも良いと思うんだけど。確かにもっさい男子が案内するよりは女子に案内してもらったほうがいいだろうってのはわかるけど。だったら最初からわたし呼ばなかったらいいんじゃないかって思うんだけど・・・


「メイク道具は?」

「持ってた」


 鞄にいつものリンの癖でメイク道具は入ってた。ウィッグと服については演劇部から大津先生が借りていた。


「あー最近あっちの姿ばっかだったもんね」

「だねー」


 レコーディングした後も何度かリンとして事務所で仕事をして、北原さんに仕事の邪魔にならない程度絡まれつつ何日か連続でリンの姿ままだったからそっちの感覚が抜け切れていない。だからかポケットに入れてるスマホもリン用のだった。これはさっき着替えるときに気が付いたけどさ。


「そんなにあっちの姿で出かけてたんだ」

「まぁ仕事もあったし?」

「あーなるほど!!」


 大崎さんはポンッと手をならした。大崎さんは俺達の声優業も知ってるからな。


「協力学生の人はこちらに集まってくださーい!!」


 食堂の一角で講師の一人が声をあげた。まぁわたし達は移動しなくてもいいぐらいの場所にいるから動かなくてもいいかな。というか講師の横には学長がいる。こういったことにはよく顔を出しているんだろうか? というか今わたしと顔合いましたよね?



 *



「えーと君って男だと聞いたんだが」


 色々説明が終わって、人が移動を始める中、学長がわたしたちのほうにやってくるとわたしに聞いてきた。そういえば毎回文化祭で会うから学長とはわたし里奈の状態でしか会ったことないんですよね。多分わたしが男だとは大津先生から聞いたんだろうけど。


「はい。男です」


 少しだけ地声に戻して答える。ひょっと学長が声をあげる。結構年をとっていてもそういった感じの声が出るんだとわたしは思う。


「あっ、ちなみに今日は大津先生の要望ですので」


 今日はわたしの意思じゃないですよーと一応アピールしておく。まぁ断ってないわたしもどうなんだって思われそうではあるけど。


「あぁ・・・大津君か・・・」


 学長も大津先生の趣味は知ってるんですかね? というよりわたしこの姿で学長のお孫さんと何度も接触してるのは大丈夫でしょうか? 一応男なんですけど。


「大丈夫です。真里まりはお姉ちゃんだと思ってるから今後もそう接してもらえると助かる。毎回楽しそうに話してくれるからな」


 そう嬉しそうに学長が話してくれる。真里ちゃんの話をする様子は、ただの孫バカのお爺ちゃんに見える。


「ま、まぁ嫌ならやめてもらってもいいし、今回に関しても私に言ってくれたらやめさせるが?」

「別にどちらでもいいですよ」


 正直姿なんてどっちでもいいです。と肩を竦めて学長に言っておく。


「そ、そうか。なら時間もないしそのまま頼めるか?」

「はい」


 全然問題ないですよー。



 *



「あれ? 飯島さんも協力学生だったんだ」


 オープンキャンパスも終わって、遥さんと校内を歩いていると声をかけられた。この声は・・・わたしここ最近聞き飽きるほど聞いている声なんですけど・・・

 ちらりと遥さんがこっちを見て反応していいかと目線で聞いてくる。まぁいいんじゃない? と頷く。わたしこの姿で文化祭でステージに立ってるし、男だってステージ上で言ってるから、わたしが祐樹というのは教えても全然かまわないし。


「北原さんも協力学生だったんだね」

「そうそう。朝に食堂にもいたんだけど、気が付かなかったなぁー」


 そういった話をしながら北原さんの視線はわたしの方に向いてくる。多分知らない人だーとでも思って・・・


「もしかして里奈さんですか!?」


 あー、やっぱり北原さんこの姿の事知ってますか・・・



 *



「里奈さんって男って聞いたんですけど・・・」


 まじですか? と北原さんがわたしの全身を嘗め回すように見ながら聞いてくる。


「どっちだと思う?」


 ふふふ。といいながら北原さんの方に向く。男なのは文化祭のステージで話しているし、一応文化祭で色々情報はばらまいているから知っている人なら正体にも気がつくんじゃないかな。


「えー? 分からない!!」


 といってから北原さんは、あっとわたしの方を見る。きっと文化祭の時に言っていたわたしの情報でも思い出したんじゃないかな。


「鈴木さん・・・?」

「せいかーい」


 飴ちゃんをあげよう。とカバンに入れてあったのど飴を渡す。一応わたしは声優なわけで、のど飴ぐらいは常備してる。


「へ、いやっ本当ですかっ!?」


 本当なんですよねぇー。

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