【第259話】温泉旅行3
「おぉ」
「すごっ」
脱衣所で服を脱いで、露天風呂に出るとまず視界に入ってきた絶景に俺とアカネ君が声を上げた。いや、だって本当に絶景だったからつい声が出てしまった。夕日で照らされた木々と静かに流れる渓流の赤と青のコントラストがとても綺麗だ。
「時間帯もちょうどいいですね」
「ちょうど日没か」
旅館についてから、お茶飲んだりしてたら結構時間が経ってたな。体は露天風呂に来る前にあった室内の風呂で洗っているから、早く露天風呂入ろうか。
*
「おっと、先客がいたか」
アカネ君と一緒に露天風呂に入っていると、二人の男性が入ってきた。あれ? この男性二人組の片方・・・湯気と眼鏡かけてないから少しボケてるからはっきり見えないけど・・・いや、まぁいいか。素の状態であったことある人じゃないし放置でいいか。
「宏君、ここは景色がいいんだよ」
「そうですね」
入ってきた年を取っている方の男性が若い男性に声をかけている。ちなみに俺が知っているのは年を取っている方の人だ。この露天風呂も結構広いから、まぁ近づくこともないだろう。
「華岡先生、お背中お流ししますよ」
「あぁ、頼む」
はい。初老の男性は華岡先生のお父さんでした。えーと確か議員だったはず。まぁ先生って呼ばれることもあるか。華岡先生と被るな・・・まぁいいか、どうせ絡むことはないだろうし。
「うちの娘はどうかね?」
「本日初めてお会いしましたが、知的な方ですね」
娘ってことは華岡先生のことで良いと思うんだが・・・先生が・・・知的・・・? いや、教師だから知識はあるんだろうけど・・・ほら、俺たち最近教師と生徒じゃなくてサークル参加者としてしか会ってないから煩悩まみれのイメージが強すぎるんだよなぁ。
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「わぁっ!!」
「ほぉ!!」
私と伊佐美さんは一緒に露天風呂にやってきた。私達より先にお風呂に行った佑樹達もこの景色を見ていると思う。多分今いる女子風呂の隣が男子風呂だと思うから佑樹達も同じような景色が見えてるんだと思う。すごい綺麗な景色だ。
「キレイやね!!」
「そうですねー」
結構山の方に来てるってのもあると思う。あと、私山道運転するのは教習以外だと初めてだった。事務所のバーベキューで山に行くときはリンが運転してくれるから私が運転することはないから経験ない。
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私と伊佐美さんは体を洗ってから湯船に入る。
私の横でだらけている伊佐美さんを見てふと思う、元々私って伊佐美さんのファンだったんだよね。今もファンだけど、昔みたいに会えるだけでテンション高くなるようなことはなくなった。それに事務所でバイトしてることもあって、有名人に時々会うこともあるから有名人に慣れちゃったなぁ・・・雲の上の存在とか勝手に思ってたけど、話してみると関西弁の普通の女性だって思ったのもある。アテレコ中には別人じゃないかって思うぐらい雰囲気変わるんだけど。
そんなことを思いながら伊佐美さんに視線を向けると、伊佐美さんも私の方を見ていた。え? 何?
「遥ちゃんって肌キレイよな?」
「そうですか?」
そう言われても、私の肌より佑樹のほうが肌綺麗だったりする。ほとんど同じ感じのスキンケアをしてるんだけど、佑樹のほうがきれいになっているのはなんでだろう? 遺伝子?
「佑樹に教えてもらったんですけど」
「あー・・・リンちゃんからかぁー、ならそうなるのもわかるわー。麻美もリンちゃんに教えてもらったって言ってたし」
麻美さんも佑樹に教えてもらってるんだ。佑樹ってそういう知識多いんだよね。
*
「宏さんはどうなの?」
「だから私は結婚するつもりはないんだって、今回のお見合いだって聞いてない!!」
「そんなこと言って!! 結婚して、私達に孫を見せなさい」
「仕事を続けたいから無理」
なんか聞き覚えのある声が聞こえてきた。女性二人が私達の入っている露天風呂の方に移動してくる。
「あれ? 飯島さん!?」
入ってきた華岡先生が私に気がついたのか声を上げた。・・・ん? 違和感がちょっとあったけど、そうか。私、最近華岡先生と遥斗でしか会ってないから名字で呼ばれるの久しぶりで違和感あったんだ。
「先生お久しぶりです」
遥斗じゃない状態だったら・・・半年は会ってないんじゃないかな? まぁ全く久しぶりって気はしないけど。先生がうちの大学の文化祭に来ていて少し会ったからね。
「あら? 生徒さん?」
「元ね。飯島さんがいるってことは、鈴木君も?」
「いますよー、男子の方にですけど」
それを聞いて先生が頭を押さえる。思い出したような感じだったじ、多分佑樹が男だったことが一瞬抜けてたんじゃないかと思うけど・・・
「鈴木さんって昔あなたが連れてきた殿方よね?」
「・・・同じ名前ってだけで別人」
あー、そういや昔先生の恋人役を佑樹がやったんだっけ?
出張で全く書く時間取れませんでした。
温泉回ですが、細かく書く技量がないです…




