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アナタの本当の姿は?  作者: kame
大学3年生
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【第248話】ホワイトデー

「なぁホワイトデーって何返せばいいんだ?」


 講義が終わり、隣で講義を受けていた赤崎が聞いてきた。そろそろホワイトデーがあるから、バレンタインのお返しを考えているんだろう。俺も少し考えてはいるが、遥さんが喜びそうなものはあんまり思いつかない。いや、あるにはあるけどバレンタインのお返しとしてはどうだろうかっていうものだ。流石にバレンタインのお返しにブルーレイボックスとか同人誌を送るつもりはない。それはいつでも渡せる。


「よくあるのは飴とかお菓子だな」


 義理ならお菓子を返しておけばいいだろう。おいしいのはもちろんだけど、カロリーも少なめがいいと思う。遥さんみたいにバレンタインチョコの試作品を食べすぎて少し太ったっていう女性はいると思うし。ちなみに遥さんは運動と普段の食事のバランスを調整して無事元の体重に戻している。まぁ食事は俺が調整して食卓に出してたから、一緒に俺の体重も落ちたけど。


「鈴木は前何を渡した?」

「あー・・・なんだっけか。大体お菓子返してるかな」


 高校の時はネックレスとか渡したけど、最近はお菓子かな。


「どうせお前のことだから手作りなんだろ?」


 まぁお菓子も作れなくはないし、たまに作ってるけど。


「手作りのお菓子は時々作ってるから、少し高めのお菓子かな」


 いつも手作りな分、珍しく購入というのも特別感がある。まぁ結局は遥さんが一緒に食べようと言ってくるから、一緒に食べるし、遥さんはどっちも好きと言ってくれるんだけど。少なくとも一緒に暮らし始めてからは、そんなに高すぎるものとか手の込んだものは渡してない。


「そうか。鈴木んとこはそうだったな」


 生活一緒にしてるんじゃ手作りなんて特別でもなんでもないよな。と赤崎に言われる。俺が作る分にはいつも通りだけど、遥さんが作るとなると物凄く珍しいっていえるんだけどな。


「ホワイトデーの話してるが、バレンタインもらったのか?」


 そもそも貰ってなかったら返す必要はないと思うんだけど。


「もらってるぜ。あれはバレンタイン当日の晩の10時」


 よくぞ聞いてくれましたとばりに赤崎がしゃべり始める。何? それ長い?



 赤崎の話を要約すると、うちの事務所に入った元アニメ研の高崎さんが夜中に一人暮らししている赤崎の部屋に来て渡しに来たということらしい。夜中に女性一人で男性一人の部屋に行くっていうのはどうかと思うが・・・


「お前そこまで進んでいたのか?」


 確かに赤崎と高嶋さんを引き合わせたことはあるが、そこから進んでいるとは思わなかった。たまに事務所でリンとして会う高崎さんからもそういった話は聞かないし。まぁ基本的に俺は土日で、向こうはまだ一年目だから滅多に土日に事務所にいることはないんだけど。


「おぅ。頑張った」


 俺超頑張った。と赤崎は遠い目をする。きっと大変だったんだろう。あの人も結構趣味に突っ走る人だからな。


「でだ、何返せばいいと思う?」


 んー・・・



 *



「これとかどうだ?」


 赤崎の車でモールに大学終わりにやってきた。赤崎が選ぶのはアクセサリーだ。えーと、赤崎と高崎さんがどこまで行っているか知らないから、何とも言えないんだけど。その程度によって残るものを選んでいいのかどうなのかって変わると思う。


「鈴木としてはこういうの好きか?」

「は?」


 なんで俺に聞くんだ? 特にアクセサリーなんて個人の趣味が大きいだろうに。ドクロのキーホルダーがかっこいいとかかわいいとかいう人いるし、アクセサリーの趣味なんて人次第なんだよ。ちなみに俺はドクロは見るのはいいけど付けたくはないって感じだ。


「いや、お前こういうの詳しいかなーって」

「そもそも俺アクセはあんまりつけない」


 精々遥さんとペアのネックレスぐらい? イヤリングならするときもあるけど、そんなに持ってないというか姉さんからプレゼントとしてもらったのしか持ってないし、遥さんもアクセサリーつけるほうじゃないから詳しくはない。


「そうか・・・」

「彼女さんへのお返しですか?」

「えっ、いや、えっと」


 おおっと・・・店員が割り込んできた。物を持っていた赤崎に話かけているから、俺は俺で見てみるか。ただ俺も遥さんもあんまりアクセには興味ないんだよなぁ。



 *



「はい。バレンタインのお返し」


 隣で一緒に座ってテレビを見ていた遥さんに俺は箱を手渡す。あと手作りでケーキとか作ってみた。作ってる様子は普通に遥さんに見られてたけど。


「ありがとう。あれ? お菓子じゃないの? 開けてもいい?」


 珍しいと遥さんは開けてもいいか聞いてくる。もちろん開けても大丈夫。というか開けてください。

 遥さんが包装紙を綺麗に剥がして、箱の蓋をあける。


「ん? ペアネックレス? 持ってるよね?」


 そういいながら取り出したのは、リングのペアネックレス。組み合わさるものじゃないけど、色違いだ。


「あれも結構前に買ったから新しいのをな」


 別にくたびれてるわけじゃないんだけど、気分で変えるにはもう一種類ぐらいペアネックレスがあってもいいと思って。


「なるほどね」


 ふんふんと上機嫌で遥さんはそのネックレスを首につける。主張しすぎず、でも埋没しないデザインでどこにでもつけていける感じのネックレスだ。


「はい。こっちは祐樹のでしょ?」


 さっと俺の後ろに回り込んだ遥さんが俺の首にネックレスを付けた。そしてそのまま俺の背中に抱き着く。なぜ急に抱き着かれたんだろうか。


「よし。抱き着いても痛くない」


 えっ、そんな理由だったのか。

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