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アナタの本当の姿は?  作者: kame
大学3年生
241/339

【第241話】マネ2

「鈴木祐樹って知ってる?」


 んんー・・・なんでそれ聞かれるんだろう・・・

 いや、本当になんで? わたしは守山さんと顔を見合わせる。ここで絵里奈の口からその名前が出てくるとは思わなかった。


「同じ名前の人は知ってる」


 ここで知らないと言ってもいいんだけど、祐樹として知っていることとリンとして知っていることが混じったときの保険に知り合いであるということにしておく。特に祐樹としても付き合いのある人の場合は多分知り合いで通しておいたほうが混じっちゃったときに言い訳がしやすいから知り合いで通す。


「えーと・・・黒メガネのもさい男なんだけど」


 絵里奈が手振りでわたしの素の説明をしようとしてるけど、まぁそれ全然知らない人が見たら伝わらないんじゃないかな。わたしと守山さんは知ってるから、想像できちゃうけど。


「これ?」


 わたしは結構昔に用意しておいた佑樹とリンの合成写真を絵里奈に見せる。一応疑われた時用に用意しておいたものだ。まぁ数年前の写真で、しかも合成写真なんだけど・・・


「そうそう!! こいつ。写真一緒に写ってるってことは知ってるのね」

「まぁ長い付き合い」


 そりゃもう生まれた時からの付き合いですからね。・・・同一人物ですからね。


「えっ!? 同一人物じゃなかったの!?」


 へっ!? と守山さんがわたしのスマホの画面に映る合成写真を見ながら驚く。え?・・・守山さんは真実を知ってますよね? というか話しましたよね!?


「佳織ちゃんも祐樹のこと知ってるの?」

「元々クラスメイトだからね。私もリンさんが鈴木君じゃないかなーとは思ってたんだけど、違ったか」

「やっぱり別人だよね? リンさんと祐樹が同一人物なはずないし」


 私の気のせいだよね。ごめん。と絵里奈に謝られる。まぁいいけどさ、間違いじゃないし。守山さんから軽く目線がわたしに向けられる。なるほど。守山さんの驚いたのって演技だったんですね。だってわたし前、同一人物だって教えましたし。


「ん。別人」


 出来るだけ親戚にはばれたくないですからねぇ・・・けん叔父さんには母さんがばらしましたけど。



 *



 絵里奈が次の撮影のために楽屋からいなくなって一息つく。まさかテレビ局に絵里奈がいるとは思ってなかったから驚いたけど、いつも通りにしていたらばれない自信あったわ。ちょっとお茶飲みます。


「絵里奈ちゃんとはどういう知り合いなの?」


 わたしと同じように一息つくようにお茶を飲んでいた守山さんが聞いてくる。わたしと絵里奈の関係は、先に絵里奈が軽く説明してたと思うんだけど・・・


「イトコ」

「なるほど。モデルしてるって聞いてなかったの?」

「聞いてない。正月に会って疑われたから絵里奈の身の上話はしてない」


 本当に言ったら悪いけどどこにでもいるような女子大生がモデルしてるなんて思わないって。



 *



 守山さんについて撮影現場に入る。まぁメイク直し要員としてだけど。普通に任せられましたけど、本職のメイクさんはその適当さでいいんですかね?


「仕事放棄していませんか?」

「まぁマネージャーさんがメイクしてる場合もあるから大丈夫だよ」


 それにも他にもメイクしないといけない人がいるからねー。と守山さんのメイク予定だったメイクさんが答えてくれる。正月特番明けのドラマの撮影といってももう殆ど撮り終わっていてラストのシーンだけらしいから、そんなに人もいない。


「リンちゃん久しぶりー」

「久しぶりです」


 声をかけてきたのは、今回の2時間ドラマの監督をしている人だ。結構前にも話したことがある人だから気軽にいける。


「そういえばリンちゃん、今度映画企画しようと思うんだけど、出演オファーするかも?」

「声だけなら」


 わたし声優なんですよ。悠里としてステージには立ちますけど、素とリンとしてはステージに立つつもりは一切ないので。まぁこの監督はわたしが悠里だとは知ってますけど。


「うん。いいよいいよ。アナウンサーをやってもらいたいだけだから」


 それ、わたしじゃなくて本職使ってもいいのでは? フリーアナウンサーとか出演してもらえると思うんですけど。


「複数人使うより、リンちゃん一人だけのほうが安いでしょ?」

「んー、多分」

「あと、人が多くなると支払いが面倒になるから、一つのところで済ませたいってのもあるかな」


 リンちゃんのところ何度もやってもらってるから色々手続きが楽なんだよ。と完全に裏事情を教えてもらった。局アナ使えばある程度費用抑えられると思いますけどね。まぁお仕事もらえるならやりますよ。大学が優先ですけどね。まぁ声だけなら時間作れるとは思いますからね。


「事務所に連絡しておいたほうがいいかな?」

「ん」


 多分事務所で色々してくれると思います。



 *



「おつかれさまでーす」

「お疲れ様」


 守山さんと一緒に挨拶しながらスタジオから出る。編集して3日後ぐらいに放送とのこと。なんでこんなにギリギリになって撮影なのか知らないけど、なにか都合があったんだと思う。


「リンさん今からケーキ食べに行かない?」

「いいけど」


 急にどうした? 今まで守山さんに誘われたことは・・・なくもないか。


「正月に太れないから色々食べるの押さえてたんだけどもう無理!!」


 餅よりケーキのほうが太らないよね!! と守山さんはわたしの手を掴んで引いていく。いつもはこんな事言わないのにどうした?


「クランクアップしたからちょっと太っても大丈夫だからね!!」


 あぁ、なるほど。ドラマ中には体型変えられないですからね。まぁそういうことなら付き合いますよ。

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