【第240話】マネ
「ついた」
守山さんを後部座席に乗せて、収録があるというテレビ局にやってきた。まだ大学は冬休みだし時間はある。あっ、そうそう。わたし用のコスメ福袋は遥さんが買っておいてくれました。助かります。あそこのコスメ福袋結構お得なんですよね。
「リンさんありがとう」
「ん」
守山さんと一緒に車から降りて、守山さんの楽屋へ向かいながら話をする。今回の収録は正月特番が終わってから流れる二時間ドラマの撮影とのこと。本当に守山さんって芸能界に入っちゃいましたよね。
「それはリンさんもだと思うんだけどー」
「わたしはまだ顔出ししてない」
してるのは悠里っていう男の娘声優だけですよ。えぇ、わたしと悠里は違うんです。
「それ知ってる人に言っても無駄だから・・・」
「他に人いるから」
一応聞こえない程度の声で話しているつもりではいるけど、やっぱり聞こえるものは聞こえるからね。
*
「あっリンちゃん。佳織ちゃんのメイクお願いしてもいい?」
へ? テレビ局にいるメイク担当の人にそういわれて、メイク道具を渡される。この人、結構昔に守山さんと須藤君がモデルをした時のメイクさんなんだけど、テレビ局に転職してから守山さんのメイクを何度もやっている。だからわたしも知っている人ではあるんだけど、テレビ局でメイクを任されるのは始めて。
「なぜ?」
わざわざわたしがしなくてもいいんじゃないですか。
「ちょっと突き指してね・・・ちょっと痛いのよ・・・私と同じレベルでメイクできるリンちゃんがいるんだから任せてもいいかなーって」
我慢すれば出来なくはないんだけどね。と言われたら、まぁ仕方ないかなとは思う。無理に動かして悪化っていうのが一番まずいし。
「わかった。守山さんもいい?」
わたしみたいな素人でという意味もあるけど、男にメイクされても大丈夫? という意味でも聞いてみる。
「全然だいじょーぶ。リンさんのメイクは信頼してるから!!」
伊達に高校自体からの付き合いじゃないでしょ? とぱちりとウインクしながら言われた。まぁそういうことならやりますが。
*
――コンコン
楽屋の扉がノックされる。
「はい。どうぞー」
メイクが終わった守山さんが最後の台本を読み込んでいた状態から顔を上げて、入り口のほうに声をかけた。あと、なぜかわたしのメイク、本職のひとからお墨付き貰ったんですけど。
「おはようございまーす!!」
入ってきたのは、派手でも地味でもない女子・・・ん? 絵里奈? なんでここにいる?
「あー絵里奈ちゃんいらっしゃい」
守山さんは慣れたように絵里奈を部屋に入れる。いや、本当になんで絵里奈がここにいるの?
「あっリンさんだ!!」
「あれ? 知り合い? 今日は私のマネージャーしてもらってるの」
「イトコの結婚式の時に見たことあるの。マネージャーって・・・そういえば、佳織ちゃん特定のマネージャーさんいないもんね」
「リンさんが空くのを待ってるんだよねー」
ちょっと守山さん!? わたしその話初耳なんですけど!?
「待ってても、わたしがマネージャーするとは限らない」
そもそも事務所に就職するかも決まってないんですが・・・
「冗談冗談。一応中途が付く予定らしいよ」
まだ、決まってないけど。と守山さんは言うけど、もうドラマに出るような女優にマネージャーを付けないのはどういうことなんだろう?
「人手不足なんじゃない?」
「アニメ部門には人いる」
少なくともアニメ部門だと人手不足感は感じないけど。
*
「絵里奈・・・さんはなんでここに?」
おっとアブナイ。帰省した時に言ってたように呼び捨てにしそうになった。最初自己紹介した時にイトコだし呼び捨てでいいよとは絵里奈から言われてるから、呼び捨てにしてた。名前を知ってるのはまぁ結婚式でも今さっき守山さんが名前を言ったからとでもどうにでもいえるけど、流石に帰省した時の言われたことのリカバリーはできないから注意しないと。
「私、読モしてるんだよね」
・・・え? 読モ? ごめん。全然イメージできない。見た目どこにでもいそうな女子大生ですし。
「リンさんと同じようにメイクで結構変わるのよ」
ぽつりと守山さんがわたしの耳元で教えてくれる。なるほど・・・言われてみれば体型はモデルでもいけそうな体型してますね。前は気が付きませんでしたが。
「あっリンさんに聞きたいことあったんだけど、いい?」
一応わたしと会うのは二回目? のはずなんですけど、結構フランクですね。いや、まぁいいんですけど。
「何?」
答えれることなら答えますよ。
「鈴木祐樹って知ってる?」
んんー・・・なんでそれ聞かれるんだろう・・・
すみません。最近色々忙しいので更新頻度落ちると思います。




