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アナタの本当の姿は?  作者: kame
高校一年生
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【第21話】バレンタイン1

「誰かバレンタインに俺をチョコを!!」


なんかクラスの一人の男子が壇上で言っている。バレンタインが近づいてきて焦っているんだろうか。

別に俺はチョコなんて去年も貰ってないし、今年も・・・あっ遥さんからもらえるかも。

ちらっと、隣の遥さんを見ると小さくサムズアップしていた。これはくれるっぽい。


「だれも山崎になんか上げないわよ!!」

「んだと!!誰かはくれるかもしれないだろ!!」

「あ、あんたにあげる人はいないわ!!」


あの二人よく喧嘩してんなぁ・・・

確か男子が山崎(やまざき)で、女子が早乙女(さおとめ)さんだったと思う。


山崎くんはサッカー部でこんがりと焼けた肌にスポーツ刈りで顔も整っているが言動からモテない。

早乙女さんはギャルが入っている茶髪の女子だが、根は善良だし、俺たち男子にも親しみやすい感じの女子だ。


それにしてもバレンタインかぁ。この時期チョコ買いにくいんだよなぁ・・・リンで買いに行くか?





「製菓用だらけ・・・」


なんでスーパーの売り場って極端なんだろう。

バレンタイン前最後の日曜日の朝にリンで女子だらけのチョコ売り場に入っていったところにあったのは、ワゴンに山積みにされている製菓用のチョコだった。

ワゴンではない棚にも少し高めの製菓用のチョコが並べられている。

いつものラインナップは・・・横の方に押しやられてる。


はぁ、と息をはいてからよく買うアーモンドをチョコでコーティングしているお菓子をカゴに突っ込む。

折角だから、製菓用のチョコもカゴに入れておく。

さてと、昼は残ってるご飯を使った焼き飯は決まってるし、晩御飯は何にしようかなぁー。

野菜高いから鍋もしにくいし、魚食べようにも魚より肉の方がやす・・・くない。今日は肉も高い。

でも、ミンチは安い。ミンチ増しの麻婆豆腐にしようか。


「あれ?リン?」


声をかけられたので振り向くとカゴに製菓用のチョコを入れた遥さんが・・・はっ!?


「もしかして作るつもり?」

「えっ?駄目?」


駄目というわけじゃないけど・・・


「本当にする?怪我しない?」


チョコって意外と固いから刻む時に怪我するかも。

フードプロセッサーを使えば包丁は使う必要は無いけど、かけ方にも工夫がいるんだけど。


「うっ」

「怪我されるくらいなら、既製品でもいいから」


なんなら無くてもいい。

別にわたし達の関係はバレンタインなんてイベントしなくても崩れたりしないし、その手に怪我をされる方が困る。

彼女に怪我してほしくないし、同人作家としてもその手は大事だ。その手から生み出される漫画を待っている読者が結構な数いる。


「り、梨花に教えてもらうしっ!!」


う、うーん。梨花ちゃんだけなら全然不安は無いんだけど、わたし血の入ったチョコなんて食べたくないからね。

作るなら必ず梨花ちゃんに聞きながらでね!!


「あれ?飯島じゃん」


そういって遥さんの後ろから声をかけてきたのは、早乙女さんだ。手に持つカゴには製菓用のチョコとデコレーション用のチョコペン、あとラッピングの素材が入っている。

わたしのカゴとは大違いだ。わたしの方は明らかに晩御飯の材料がゴロゴロ入ってる。


「あれ早乙女さんも買い物?」

「そそ。飯島も?」

「まぁねー、一応イベント事には乗っかろうと思ってるし」

「あたしもー」


で、早乙女さんに誰?という目で見られる。


「遥さんの友達の鈴木凛です」


鈴木だけだと繋げられそうだから、ここではフルネームで名乗っておく。


「どもー飯島のクラスメイトの早乙女(さおとめ) 明里(あかり)っていいます」


こっちがフルネームで名乗ったからか、早乙女さんもフルネームで教えてくれた。明里って名前だったんだ。


「ちょうど良かった。飯島って手作りチョコってやったことあるか?」

「えっ、あ、あるよ」


遥さんの目が泳いでいる。見栄張ったね。

遥さんが台所に立ったら梨花ちゃんか両親が止めてそうだ。


「頼むっ!!教えてくれ!!」

「えっ、えぇっと・・・はい」


ちょっ!?遥さん!?

早乙女さんの剣幕に押し負けて出来もしないことを頷かないで!!





――ピンポーン


気になって荷物を置いてから遥さんの家に来た。

午後から仕事で両親のいない遥さんの家で教えてもらうということは聞いていたからだ。


少し待っていると玄関の扉が開いて梨花ちゃんが飛び出してきた。


「リンお姉ちゃん助けて!!」


は?何が起こってる!?

わたしが梨花ちゃんと一緒にキッチンに行くと・・・


「チョコ溶かすなら、火にかけたらいっか。

あっ焦げ付いた。とりあえず削って・・・」

「湯煎ってお湯で温めるのか。一緒にぶち込んだらいいか。

固まらねぇーなんでだ」


とチョコの甘い匂いが漂うキッチンにいくと刻まれたチョコはまだいい。

フードプロセッサーがあるってことはそれでやったんだと思う。

でも、その火にかかっている鍋にあるチョコと、ポットから直接お湯をぶち込まれているチョコのボウルは許容できない!!


なんで、この情報化社会で調べもせずにやるのか!!あと、調べたのになんで詳細を見ない!!

見事に失敗例をやっているのか!!


「怖くて言い出せなくて・・・」


とわたしの後ろからキッチンを覗き込む梨花ちゃんが早乙女さんを見ながらボソリとわたしにだけ聞こえるように伝えてきた。

確かに早乙女さんは一見さんだと怖く感じるかもしれないけど、根はいい人だから怖くないんだけど。

それはわたし達クラスメイトの中では共通認識だ。

でも初見の梨花ちゃんだと仕方ない。



「二人ともストップ!!」



実際のバレンタイン時期に書こうとは思ってましたが、待てませんでした。

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