表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アナタの本当の姿は?  作者: kame
大学2年生
203/339

【第203話】3月

 大学から帰ってくると、遥さんがリビングの机の上で大量のレシート、領収書と格闘していた。横にはノートパソコンが置かれている。


「何してんの?」

「あっおかえりー確定申告の準備だよ」


 あー、そうか。そんな時期か。同人誌で一定額以上の収入があるし、しておかないといけないんだろう。


「佑樹はしなくてもいいの?」


 今年も結構儲けてなかったっけ? と遥さんに聞かれる。


「俺、アルバイトだから、先に給料から引かれてる」

「あっそっか」


 佑樹は企業勤めだもんね。楽でいいねーと遥さんは呟いてから経費の計算に戻る。同人誌作家ってよほど冊数がでないと儲からないと聞くけど実際のところどうなんだろうか? 遥さんがお金に困ったっていうのは聞いたことないけど。


「一応色々計算した結果で値段決めてるから赤字じゃないよ」

「へー」


 今回はこの値段で行こって感じで適当に決めてるイメージあったんだけど。


「昔は印刷代とかのほうがお金かかってたけど、最近はだいたい全部なくなるからね」


 やっぱりこういうのコツコツやるべきだったなぁーと遥さんは印刷代の領収書を手にとってパソコンに打ち込んでいく。


 遥さん忙しそうだし、俺は晩御飯でも作ろうかな。



 *



「遥斗くんってもう確定申告した?」


 事務所でお昼ご飯を食べていると、経理の人から遥斗が声をかけられた。


「まだです。もう少し整理中です」

「そっか。なら、ちょうどいいかも。午後から社内の同人活動している人にむけての確定申告講座あるんだけど参加しない?」


 教えてくれる人も社内の人だからタダだよー。と遥斗が誘われている。そういえば毎年そんな感じの講座してるって聞いたことがある。わたしはあんまり関係ないと思って聞き流してたけど。医療費とかローンとかない会社勤めは会社がやってくれてますからね。わたしは今年も病院には行ってないし、もちろんローンもない。大学の健康診断も男子としてはちょっと軽いかなーって言われた程度で終わりでした。


「お願いします」

「分かった。14時からあるから第二会議室来てね」

「了解です」


 わたしは14時からアテレコあるんでいきませんけどね。



 ===>



 リンはアテレコに行って、俺は14時になったから第二会議室に入る。事務所は大きい会議室の順序で番号が付いてるから、第二はこのビルの中で二番目に大きい会議室ということになる。俺が入るとそこには結構な人数がいる。ほとんどが原画や動画を担当している人で所々に他の事務をしている人が混じっている感じだ。あっあのイベントで時々挨拶する人、うちの事務所の人だったんだ。


「遥斗君はこっちねー」

「どういう順なんですか?」

「んー若い子順?」


 あー、確かに俺が連れてこられたところには若い人達がいる。


「若い子ほどしっかり覚えておいてもらったほうがいいからねー」


 いつかは漫画家として独り立ちするにしてもあって困らない知識だと思うから。と言われる。確かに漫画家として生活できるようになった場合には必要だよな。


「あっはるさん」

「おっす」


 早乙女さんも入ってきた。そうか。早乙女さんもボカロPの方で結構出てるって言ってたっけ。


「じゃぁ人も集まったことだし。始めようと思います。

 まず確定申告とは何ってことから話そうかと思います。もう知ってる人は自分の仕事してくれてていいんで」


 と講師役の経理のある人が説明を始める。あんまり関わり合いのある人じゃないけど、裏ボスっていうのは時々聞く。色々話は続く。少し小話をはさみながらだから意外と仕事をせずに聞いている人のほうが多数だ。俺も結構楽しく話を聞かせてもらっている。


「そこで、皆さんあんまり税金って払いたくないですよね。ここで僕からはどこまで経費として出して良いのかというギリギリを教えようと思います。

 経費の扱いって結構個人だとあやふやな部分がありますけど、やっぱり基準というものがありますので、その説明が今回の主な内容になります」


 説明が続く。時々わからないことはあるか確認をしてくれて、何人かが手をあげて聞いている。早乙女さんも確認でパソコンにヘッドホンとかも経費に入るか確認している。俺としては今使ってるペンタブも事務所でやったイベントの景品だし、パソコンに至っては高校の時から使ってるやつだ。結構まだ現役で動くから絵を描くぐらいなら全然問題ない。一応バックアップはクラウドにあげてるけど。


「では一度概算でいいので計算してみましょう」


 ふむ・・・一応俺の途中のデータはクラウドに上げてあるからタブレットで見れるし、これでやってみるか。



 *



「は、遥斗くんって遥ちゃんだったの!?」


 さっきまで講師をしていた人が俺のタブレットで色々書いてあったのを見て声をあげた。一応見せたかったのはその下の経費として申請できるかどうかってやつだったんですが。

 というか、わたしと繋がる点って何かあったっけ? 名前は書いてないんですけど。


「どこ見たんですか?」

「ここ!!」


 この金額はVoiceReseachersの遥ちゃんに振り込んだ記憶がある!! と言われた。えっ、この人振り込んだ額覚えてるんですか。

 ただ遥名義の口座には他にも原画とかの給料も入ってきてるんですけど。


「アニメ部門とは経理担当者別なんだよね」


 俺が知ってるのは音楽部門だけ。といってるけど、飛び抜けて高ければならともかく、そこまで高いとは言えないとは思うのですが。初めの頃は爆発的に売れましたけど、最近はコンスタンスに売れてる感じですしあまり見栄えする金額じゃないかと・・・


「僕音楽部門なら全員の給料覚えてるから」


 まじですか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ