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アナタの本当の姿は?  作者: kame
大学2年生
196/339

【第196話】冬の祭典2

「よし。準備完了」


 遥斗と早乙女さんがブースの設置を終えて、わたしの横に座った。わたし? わたしはダンボールを机にしてノベルティの袋詰作業中をしている。


「どれくらいできた?」

「半分」


 今回のノベルティは名刺サイズのランダムイラストカード。それを袋詰していく。結構な数を作っているからただの単純作業でも時間がかかる。


「ブレンドって結構シンプルなブースだよな」


 黒のウィッグをかぶった早乙女さんが言った。確かにブレンドのブースは遥斗の趣味で落ち着いた感じのブースになっている。ポスターも特に用意してないしね。わたしも派手派手しいのは苦手だからちょうどいい。


「俺の趣味もあるし、金ないときからやってるから、このスタイルに落ち着いたってのもあるかな」


 と遥斗は早乙女さんに説明する。あー、まぁお金ないと派手にも出来ないですからね。



 *



「お兄ちゃん。リンお姉ちゃん。来たよー」


 遥斗の妹の梨花ちゃんがやってきた。今日は友だちは連れてきてないのかな?


「今日はなんか忙しいんだって」


 だから私一人。と梨花ちゃんは教えてくれる。

 そういえば、


「今中学2年生?」

「そだよー」


 わたし達が大学入った時に中学校にあがったんだもんね。


「今更どうして?」

「んーちょっと気になっただけ」


 本当に聞いた意味はないですよ? 時間が経つのがはやいなーってだけで。出会ったときは小学生だった梨花ちゃんも中学生なんですよねぇ・・・


「で、梨花は何かお母さんに頼まれたんじゃ?」

「よく分かったね」


 これ。お母さんから頼まれたんだけど、どこにあるの? と梨花ちゃんはメモ用紙を取り出して渡してくれる。えーと・・・どこだっけ。このサークル。


「あたしと一緒に行く?」


 早乙女さんが立ち上がる。なんか昔も早乙女さんと梨花ちゃんが回っていた記憶がありますね。


「早乙女さんお願いできる?」

「りょーかい。行こっか?」

「うん。ありがとうございます!!」


 早乙女さんと梨花ちゃんが雑踏の中に消えていく。


「早乙女さんいて助かるなぁー」

「ん」


 なかなか遥斗はブースから動けませんからね。



 *



「二人共げんきー?」


 ・・・なんか疲れ切ってる華岡先生がやってきた。なんでそんなに疲れてるんですか?


「昨日の晩に呼び出しくらってね・・・」


 あんの不良共。と先生が頭をかきながらやってきた。目の下のくま消せてませんよ。


「不良がいるんですか?」

「いるいる。退学にすりゃいいのに・・・」


 ここまで先生が言うのは珍しい気がする。


「よりによってこの時期に呼び出さないでほしいわ」


 あー、そういうことですか。楽しんでいるイベント中に呼び出されたくないですよね。


「そうそう。別に何もない日だったらいいのよ!! 放送日とイベントと、締め切り前じゃなければ!!」


 今日は携帯の電源切ってるけど!! と先生はサムズアップしながら言った。良いんですか。それ。


「いいの。いいの。

 教師にだって休暇は必要なのよ」


 帰省中で電池切れてるの気が付かなかったとでもいっときゃいいのよ。と先生。まぁうん。いいんじゃないでしょうか。先生の後ろにわたしも知っている高校の男性教師が居なければですけど。


「華岡先生?」

「ひ、平島先生!?」


 ほら。ばれた。先生面倒だったのか今日はしっかりメイクで化けてないんですから。


「華岡先生はどうしてここに? 私は見回りですが」

「へ、わ、私も、み、見回りですよ。あはは」


 ちらちらとわたし達の方を見てきますけど・・・先生の口が動く。た す け て ですか。面倒です。


「携帯の電源切ってると聞こえたのですが」

「き、気のせいじゃないですかねぇー」


 あはは。と華岡先生が乾いた笑いをしている。


「あれ? 先生?」


 買い物が終わったのか梨花ちゃんを連れて帰ってきた早乙女さんが華岡先生に声をかけた。平岡先生に見えないように華岡先生に早乙女さんはウィンクした。


「早乙女さん。お久しぶりですね。髪黒にしたんですね」

「まぁ大学でギャル仲間いなくなったんで」


 その黒髪ウイッグですけどね。その他にも色々話し始める。女同士の話に入れなかったのか平岡先生は見回りに行った。ところで高校の先生が冬の祭典の見回りってどうなんですかね。


「ふぅ・・・早乙女さん助かったわ」

「いえ、先生も大変なんですね」

「見回りなんてないはずなんだけどねー」


 本当になんで平岡先生いるんだろ? と華岡先生が頭をひねっているまぁ、アラフィフの教頭も来ているぐらいなんですから、ほかの教師が来ていてもおかしくはないですよね。


「お兄ちゃん。これ買えなかったの」


 梨花ちゃんがメモを遥斗に見せる。早乙女さんも目をそらす。


「あんのクズ親が」


 何書いてあったのさ・・・

 これみて。とわたしにメモ用紙を渡してくれて内容を確認する。

 上から見る感じだと、問題はな・・・さ・・・は!?


 R18Gとか中学生に買わせるんじゃないですよ!! 飯島家の誰が好きなんですか!!

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