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アナタの本当の姿は?  作者: kame
大学2年生
184/339

【第184話】文化祭準備

「鈴木くんであってるよね?」


 大学で今日の晩御飯何にする?と遥さんと話しながら構内を歩いていると、多分先輩に声をかけられた。


「自分が鈴木ですけど」

「君が鈴木くんか!! 赤崎が言った通りに全くの別人だな」


 先輩はスマホを片手に俺を見比べている。


「何ですか?」


 呼び止めて要件も言わずに別人と言うってどういうことなんだろうか。


「あっ、すまんすまん。俺文化祭の運営の山本って言います」

「鈴木です」「飯島です」


 そうか。もう文化祭準備しないといけない時期か。今年は何するんだろうな? 何も聞いてないけど。


「鈴木くんに聞きたいんだけど、今年の文化祭でライブしてくれる芸能人を探してるんだけど、何か伝手ない?」

「伝手ですか?」


 なくもないけど・・・それはリンか悠里としての関係であって俺として繋がっているのは姉さんと伊佐美さん後須藤くん、パロメロぐらいだろうか。

 ボイスリサーチャーは最初から除外する。何が嬉しくて自分の大学の文化祭でステージしないといけないのか。


「なんで佑樹に?」


 遥さんが疑問に思ったのか俺の代わりに聞いてくれた。


「だって、前パロメロのライブであさみんの弟って言ってただろ? 何か伝手もってるんじゃないかなーって」


 あー、夏休みの間にパロメロのライブに姉さんに引っ張り上げられたのがありましたね。


「先輩もパロメロのライブにいたんですか?」

「いたいた。なんか、あのイケメン大学で見覚えあるなーって思って、赤崎に写真見せて鈴木ってことにたどり着いたんだよ」


 赤崎の奴も鈴木のやつ何やってんだ。と言ってたぞ。と山本さんは言う。そういや赤崎にはその辺バレてなかったな。


「赤崎君、文化祭の運営の人にまで顔知られてるんだ」

「ホントだな・・・あいつどんだけ顔広いんだよ」


 赤崎の顔の広さは大学イチじゃねぇかな。


「それはそうと、伝手ってある? ボイスリサーチャーとして出てくれても良いんだけど」


 それは、俺が嫌。なんで自分の大学の文化祭にゲストとしてステージ立たないといけないのか。俺の横で遥さんも首を横に振ってるし。


「伝手はあるけど、個人的な付き合いなんで仕事の話はちょっと・・・」


 仕事の付き合いなのは声優陣だけですからねぇ・・・他は完全に友達付き合いです。

 多分呼んだら来てくれると思うけど、一部はリンか悠里として対応しないといけないから面倒なんですよね。


「そっか、じゃぁさ、事務所の連絡先って分かる?」

「ホームページになかったっけ?」


 俺もしっかりホームページを見ているわけじゃないけど、だって縁故採用だし。


「確かあったと思うよ。メールアドレスがあったと思うから、そこに連絡してみたらどうかな?」


 遥さんが知っていたみたいで、うちの事務所のホームページを開きながら山本さんに教える。

 よく事務所のホームページの内容覚えてるよなぁ・・・俺全然覚えてないぞ。



 *



「リンちゃんリンちゃん。リンちゃんの大学から文化祭の依頼来たんだけど、どうする?」


 事務を担当している人がアテレコしていたスタジオにやって来て聞いてきた。

 どうするとは? わたしに出ろって言ってます?


「だってあと空いてるのリンちゃん関係ぐらいだし・・・」


 この時期は文化祭の出演依頼が多くてもう出払ってるのよ・・・と言いながらわたしのほうをチラチラと見てくる。


「出ない。わたし自分の大学でステージ立つつもりはない」

「だよねー。他の人は文化祭とか他の仕事で空いてないし仕方ないから断るわ」


 流石に人がいないのはどうしようもないし、みんなが知らないような人が行ってもねぇ・・・と呟く。


「それに暗黙の了解にはなってるんだけど、今通学してる大学には営業しないっていうのもあるからね」


 何故に?


「だって普段の様子知ってる人の前でパフォーマンス出来る? 無理で・・・ごめん。リンちゃんは全然出来る人だったの忘れてた」


 まぁわたしは知っている人の前で別人によくなることもありますからね。


「まぁ今回は断るよ。他の事務所も教えてあげとこうかな。依頼受けてただ断るのは申し訳ないし」

「ん。了解」



 ✳


「鈴木くん鈴木くん!! ちょっと来て!!」


 文化祭運営の山本さんが俺を呼んだ。よくこの広い大学で見つけますよね。


「飯島さんもちょっと来て!!」

「なんですか?」

「すごいグループ紹介してくれたんだ!! しかもオッケー出た!! 当日まで秘密にするつもりだからちょっと来て!!」


 ここで話したら漏れそうだから!! と興奮ぎみに俺たちは文化祭の運営委員の部屋に連れ込まれた。


「で、誰を紹介されたんだ?」


 確かうちの事務所としては断ったはずなんだけど。うちの事務所ではないのは確かなはずなんだけど。


「鈴木君のところの事務所は人が居なくて無理だったみたいでこの事務所紹介されたんだよ」


 しかも紹介状付きで。と山本さんは興奮気味に話す。大盤振る舞いですね・・・


「それでKB18が来てくれるようになったんだよ!! すげぇだろ!!」


 へぇ。この時期にあのグループ開いてたんだな。


「なんか、いつもはしないらしいけど、今回は紹介だからだってさ」


 おかげで今年の文化祭のステージは盛り上がるぞ。と山本さんは楽しそうに言う。


「よかったな」

「おぅ。これ秘密だから文化祭まで秘密な!!」

「わかったわかった」


 わかったから詰め寄ってくるな。

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