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アナタの本当の姿は?  作者: kame
大学2年生
182/339

【第182話】週刊誌

「鈴木くんこれ!!」


 登坂さんが週刊誌を手にうちにやってきた。

 こんな朝からどうしたんだよ。俺これから仕事で出かけないといけないんだけど。


 走ってきたのか汗だくの登坂さんに遥さんがお茶を出すと一気に飲み干して、週刊誌の表紙を俺の方に向けて指さした。


「これこれ!! ここ見て!!」


 なんだ?

 えぇーっと・・・


「「KB18リーダー熱愛発覚?」」


 遥さんと声が重なる。この記事がどうしたよ。週刊誌の大好きなゴシップ記事だろ?


「よく見て。このモザイクかかっている方の女性!!」


 そういわれて写真の方を見てみると・・・


「なんか見覚えあるね」

「だなぁ・・・」


 これ(リン)だよなぁ・・・

 見間違えでなければ、前の守山さんのドラマクランクアップ後に行った打ち上げの帰りに駐車場まで大藪さんが送ってくれたときのだと思う。

 窓を開けて話して、大藪さんは窓の方に近づいていたから角度によったらそう見えるかもしれない。


「というかここ文字被せてるけど、これ守山さんだよね?」


 遥さんが後部座席にちらりと見える守山さんを粗はっけーんとばかりに見つける。

 登坂さんもあっ、本当だ。と3人目が映っている写真を見て、


「じゃぁリンさんが浮気してたってわけじゃないんだよね?」

「浮気って・・・名前忘れてたような相手と浮気するはずないし。というか俺の性別をお忘れで?」


 忘れてないけどさぁ・・・と登坂さんは頭をポリポリとかいた。


「てか、名前忘れてたって」

「打ち上げで名前呼ばれるまで名前忘れてた」


 本当撮影ではそこまで同じ時間に撮ってないんですよ。ほとんど役名で呼ばれていたのもありますし。


「だよねー佑樹がそんな事するとは思えないし」


 遥さんが俺の後ろから抱きついてきた。


「おーおー、相変わらず仲が良いことで」



 *



「リンちゃん、リンちゃん」


 事務所に着くと社長に呼ばれて・・・社長の手にはあの週刊誌。


「販売停止と謝罪、あと賠償金を取ってきたから安心してね?」


 あそこ散々ガセネタ書くから警戒してたんだけど、まさかリンちゃんを一般人として掲載するとはねぇ・・・と社長はぼやく。

 そういや、わたし一般女性として掲載されてましたねぇ。盗撮な上に裏取りもしない、いい加減な記事でしたよね。


「一般人なら訴えられないと思ったんだろうけど、リンちゃんうちの所属だからね。徹底的に叩くよ」

「行動早い」

「そりゃね。うちの子が叩かれるような可能性は潰すよ」


 社長が黒い・・・いつもの温和な社長はどこ行きました? 久しぶりに見るんですけど。前は自分のSNSが炎上したときに見た気がしますが。


「あとネットでも叩かれかけてたから手を打っておいたから」

「何したの?」

「正しい情報を色々な方面から流してるのと、あの掲示板の住人を使って情報操作中」


 そろそろ、ニュースサイトのトップに謝罪文が乗るよ。全部出版社の金でね。と社長は黒い笑みを浮かべる。

 掲示板の人達のあの特定能力はすごいですからね。


「話題になってすぐにこっちから何も言ってないのに、後部座席の守山さんの存在を見つけてね。こっちから情報を流す前に守山さんのマネージャーのリンちゃんってところまでは突き止めていたから」


 流石だなぁ・・・


「あと、あそこの社長は失脚かな」


 色々黒い噂があったから裏取り済みの情報、別の週刊誌に流しちゃった。てへぺろ。と恐ろしいことを軽くいう社長。


「こわっ」

「くっくっく、あそこには昔散々苦汁を飲まされたからな。

 まぁリンちゃんは安心してくれていいよ。あーでもしばらく騒がれそうだから・・・」

「姿変えるから大丈夫」


 ウィッグが違う里奈の姿でいいですかね。


「そこで素じゃないのを持ってくるあたり隠れ慣れてるよね」

「慣れてない」


 隠れるためにわたし女装しているわけじゃないから。

 というか普通に仕事に素で来ても良いんですけどね。もう年単位でこっちで来てるからなんか声優の仕事に素で出社するって考えがあんまりないんですよね。



 *



 仕事が終わって事務所から出ると、パパラッチがすでにいた。ガセネタといっているのに未だに信じる人もいるんですね。

 仕事中も伊佐美さん達から大丈夫? と心配はされたけど、大丈夫。わたし今悠里用のウィッグとメイクで姿を変えているので、気が付かれないですよ。伊佐美さん達にも別人と言われましたし。現に今もスルーして駐車場の車に乗り込めましたからね。


 エンジンをかけて車内を冷やしていると遥斗もやってきた。今日は遥斗も一緒に出社してるから、一緒に帰る。


「おつかれー」

「おつ」


 遥斗が助手席でシートベルトを付けたところで駐車場から出る。本当にパパラッチの人たちは気が付きませんよね。


「そういや、今日いろんな人からリン守ってやれよ。とか言われまくったんだけど」


 こんなに自衛で姿変えてるのにな。と遥斗はわたしの姿を見て、こりゃ気づかねぇだろとつぶやく。


「遥斗は気がついた」


 変装するとは一切伝えてなかったんですけどね。


「そりゃ長いこと一緒にいるし、いろんな姿も知ってるからな」


 今回は組み合わせだし。と言われる。まぁ声は色々変えれても姿はそこまでレパートリーないですからねぇ・・・メイクで結構化けれるんですけど。やるとなったらコスメの量結構かかるんでやりたくないです。


「あと、いつもの車に乗ってて気が付かないとでも?」

「あー・・・」


 車で待ってたら気が付きますよねぇ・・・

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