【第173話】ライブ
「頼む高崎さんを紹介してくれ!!」
・・・赤崎はまだアニメ研の高崎会長に惚れてるの?
「また今度ね」
というかもう夏休み入って会うことないんですけど。特にわたしはサークルに入ってないので、大学以外では会わない・・・いや、イベント会場で会ってたわ。リンでだけど。
「というか赤崎君ってここに入ってこれるのに、高崎さんに話しかけられないの?」
ほらここ女子会状態じゃん。と登坂さんが赤崎に向かって言った。
まぁわたしが今、里奈の姿で遥さんと登坂さん、大崎さんでプリクラ撮りにゲーセンに来たところで赤崎とあったんですけどね。完全外から見たら女子会ですよね。
明日はこのままのグループでライブイベントに行く予定です。まぁ大崎さんが未だに追っかけをしているパロディメロディのライブなんですけどね。チケットは大崎さんがどこからか連番をゲットしてた。無理そうならこっちで手配しようと思ったけど、大崎さんも大崎さんでルートがあるみたい。CMもやったしね。
「どうにも緊張して全然話しかけれねぇんだ・・・」
初心ですか。あなたは。
「まぁ紹介ならできるから、また今度ね」
学校始まってからなら仲介するのは全然いいので。
*
「里奈さんと私交代ねー」
プリクラ機の中で4人で場所を入れ替わりながら何枚か撮っていく。もう完全に男女の距離じゃない気がするけど、まぁいいか。
「何書く?」
といいながら、わたしと遥さんをハートで囲みながら言う登坂さん。ちょっとノリノリで二人で手を合わせながら撮っていることもあって、完全に百合なんですけど。
「こりゃ百合だわ。ぶふっ」
なにかツボに入ったのか登坂さんがお腹を抑えながら笑っている。
「いやだってさ、ノーマルなのに百合に見えるって面白くない?」
そうですかね?
*
「パロメロライブ~」
大崎さんの運転でパロメロのライブ会場に付いた。大崎さんがわぁっ楽しみー!! とテンション高く目の前のライブ会場を見上げながら言った。
ほんと、あの二人がここまで大きなライブ会場でライブ出来るようになるとはねぇ・・・
チケットを手に会場に入る。本当に大きい会場ですねぇ。
「遥ちゃん遥ちゃん!!」
移動していると遥さんに声がかかった。わぁ・・・聞き覚えのある声だなぁ・・・
「麻美さん?」
「やほ? 見に来たの?」
「はい。麻美さんはどうしたんですか?」
「私はスペゲスかな?」
「スペゲスが何でここで油打ってるんですか・・・」
「いや、だってさ遥ちゃんが見えたからね!!」
姉さんと遥さんが二人で盛り上がっているのを登坂さんと大崎さんがぽかんと見ている。まぁ結構な有名人が急に現れて仲間と仲よさげに話し始めたら驚きますよねぇ・・・
「んー、あれ? そっちの娘って、もしかして?」
まぁ流石に姉さんにはバレますよねぇ。
「あたりー」
おろ? いつものキャラじゃないとばかりにこっちを見てくる。ここでいつもと違うと言い出さないだけ慣れてますよね。
「えっちょっと待って。待って? え? 飯島さんってあさみんと知り合いなの!? 里奈さんも!?」
里奈ってどういうこと? とばかりに姉さんが見てくるけど、一先ずおいておいてください。そういえば姉さんにはこの姿を教えたことはなかった気がする。
「そこの娘の姉でーす」
「「えっ!?」」
*
「ちょっ、ちょっと鈴木君のお姉さんがあさみんだなんて聞いてないんだけど!!」
「言ってないからね!!」
ビシッと登坂さんを指さしながら言う。姉さんの案内で楽屋の方に移動する。ライブ前のパロメロにあわせてあげると言って大崎さんが釣られた。
「教えてくれたら良かったのに」
「わざわざ教えるようなことでもないし?」
わざわざ自分の姉が有名人だなんて言うはずがないでしょう。
「ねぇねぇ。どれくらい知ってんのこの娘の事」
姉さんがわたしの肩をもみながら聞く。
「えっと、大学の同級生?」
別にわたし達以外いない通路だし言ってもいいのに。
「男なのは知ってるし、遥さんと一緒に住んでるのは知ってる」
リンというのは話さない。きっとこれで察してくれるはず。声優というのも教えてないし。
「おーけー了解。把握した。
そこの扉が楽屋だから・・・ちょっと待っててね」
まぁアカネちゃんがメイクしてなかったら少し問題ですからねぇ。
「楽しみなんだけど!! 直接会えるとは思ってなかったら色紙持ってきてないし!!」
うわっむっちゃ悲しい!! と大崎さんは嘆く。
色紙なら多分アカネちゃんが持ってるんじゃないかな。アカネちゃん何気にサービス精神あるし。前カバンに色紙入ってたの見たことあるからね。
「いいよー。入ってきてー」
遅れました・・・残業で時間とれませんでした・・・




