【第168話】結婚式2
「ということで、新婦の同僚からのメッセージです」
さて行きますか。遥斗の分もあるから、遥斗も行きますよ。
「えー、俺前出たくないんだけど」
「いつかはステージに連れ出される」
「えぇー」
わたしだって最初はステージ出るつもり無かったんですけどね。
*
「~~最後に!! 抜け駆けしたな!!」
ちょっと伊佐美さん? それ私念混じってますよね!! あと伊佐美さんアカネちゃんと付き合ってるんじゃないんでしたっけ?
地味にパロメロの二人も結婚式には来てるんですけどね。どうやら姉さんは知り合いに声かけて回ったらしい。今まで突っ込まなかったけど藤堂夫婦ま
でいるし。
「はい!! ありがとうございました。 声優の皆様でしたー」
本当にわたしの喋る内容結構あったんですけど、しかも声設定込みだったんですけど。もともとわたしを出すつもりでしたね?
「なんのことかしらんなー」
白々しい。
まぁ姉さんの晴れ舞台ですし言いませんけど。
「二人共こっちこっち」
声優組の席に戻ろうとしたら、遥斗と一緒に姉さんに呼ばれた。
「次の結婚式は二人かもねぇー」
姉さんがわたし達の全身を眺めつつ言った。
わたしは一応この結婚式のためにフォーマルスーツ買いましたからね。姉さんに買ってもらったのはブラックスーツだから結婚式には硬すぎるからちょっと新しく買いました。遥斗のはわたしの予備のメンズスーツだけど・・・いやね。わたしの素よりも着こなしてるのはどういうことなんですかね。いや、分かってます。分かってます。わたしが似合ってなさすぎるんですよね。
「するとしてもあと二年はしない」
同棲はしてますけど、結婚はまだ考えてないです。わたしは。
「えー、同棲までしてんのに? 別に俺は大学生でも結婚はいけるよ?」
遥斗。それはまじで言ってます? わたし達の実際の性別思い出してくださいよ?
「リンさえ良かったら婚姻届出すのは全然オッケー」
そうなんですか。まぁ嫌じゃないですけど。大学生の間は待ってください。
*
「それではブーケトスを行いたいと思います」
お集まりください。と言われる。行かないけどな。伊佐美さんから惜しまれつつリンからは着替えた。いやね。一応俺親族なわけで、親戚も結構いるわけですよ。その状態で長時間リンのままというのはちょっと厳しいものがある。遥斗も遥さんに戻っている。俺だけこっちなのも虚しいしと言ってた。
「二人共行かないんです?」
アカネちゃんだ。新婦よりも派手にならない程度に結構おしゃれしてる。
「行かない。アカネちゃんは?」
というか俺たちが行く必要ないじゃん。相手いるんだし。
「私もまぁいいかなって」
知っているとおりです。とアカネちゃんは肩を竦める。伊佐美さんと付き合ってるんですよね? 確か。
というかブーケトス行く人声優陣に多いな。
「あー、意外と出会い無いからねぇ」
声優の男性陣って思ったよりいないし、リンが男声を一手に引き受けてるから余計にうちの事務所は少ないし。と遥さんは俺にうちの女性声優陣の出会いの少なさの原因があるとか言うけど、関係ないんじゃないかなぁ。
*
――カシャ
幸せそうな姉さんと杉本さんの立ち姿をカメラにおさめる。後でアルバムにして渡す予定だ。式が始まったときから時々写真は撮っているから多分手頃なサイズのアルバムだったら十分な枚数は取れてると思う。
姉さんのウェディングドレス姿を見て、姉さんが結婚するんだなと実感が湧いてくる。普通に喜ばしいことだし、姉さんのウェディングドレスはキレイだ。
「私達結婚式は洋がいい? 和がいい?」
「んー、洋?」
「まぁ結婚式っていったらそうだよねー」
ウェディングドレス可愛いもん。と遥さんはテンション高めで俺の隣で言った。
「ところで、俺と結婚って本気で言ってた?」
「え? 本気だよ?」
まじですか。




