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アナタの本当の姿は?  作者: kame
大学1年生
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【第146話】文化祭4

「えーもう着替えちゃったの?」


 メイド服を脱いでメイクも落としてから遥さん達に合流したら、大崎さんに言われた。

 俺、着替えてから合流するって言ったよな? 


「メイド服以外ないし」


 さすがにメイド服で文化祭を回るつもりはない。メイド服以外の女物の服は家に帰らないとない。


「女装に抵抗ないのね」

「そんなもの中学生の時になくなったな」

「中学生の時からしてるんだ・・・で、あのクオリティか。納得だわ」


 まぁ長年のケアの賜物ではあるとは思いますがね。


「そういや何処行くんだっけ?」

「演劇サークルかなぁー、メイク頼まれてるし」


 結局演劇サークルに女子会員は入らずメイクも形にならなかったから頼まれている。

 そのためにメイド喫茶の方のシフトを調整してある。


「うちの大学の演劇サークルって確か男子のみだったよね?」

「えぇ、女子会員の勧誘に失敗したみたいよ」


 ヤリサーと思われてるってのも問題かな。と大崎さんと登坂さんが話している。

 まぁ分からなくもないけど。あそこまで男所帯だとなぁ・・・


「まぁとりあえず演劇サークルのところ行くけど3人はどうする?」

「面白そうだし付いてく」「同じくー」「行く行く」


 りょーかい。確か部屋は結構広かったはずだから3人増えても大丈夫なはず。



 *



「おー鈴木君に飯島さん。来てくれてありがとう」


 演劇サークルの会長さんが出迎えてくれた。登坂さんと大崎さんは会長さんに知られてないですからね。


「メイド喫茶の方は大丈夫か?」

「はい。一応人数はいるんで」


 というか人が多いとメイド服が足りないというのもあるし。

 一応女子が着たメイド服は女子で使い回す感じだったけど、俺の脱いだメイド服多分女子が着てるんだよなぁ・・・戻しに行ったら女子に普通に持っていかれた。まぁどっちでもいいけど。


「で、木村君は?」


 メイクしないといけないのは木村君だけじゃないけど、一番時間がかかるのは木村君だ。それでも10分はかからないけど。


「それなら・・・」


 あそこ。と会長さんは部屋の隅を指差す。そこには小物が置かれた台があるだけで木村君の姿は見えない。


「台の下にいるんだよ。急に恥ずかしくなってきたってよ」


 机の下を覗き込むと既にドレス姿に着替えた木村君がスカートの中で足を抱えてうずくまっていた。


「大丈夫?」

「大丈夫じゃない・・・はずい・・・」


 さらに小さくなろうとする。多分もう無理じゃないかな。


「とりあえず出てこい」


 引きずり出す。恥ずかしいのは、多分メイクせずにドレス姿だからじゃないかな。前はメイクなしでウィッグ被ってて構内歩いてたし。


「ステージの上で女装なんて・・・」

「まぁ一回メイクしてみるか」


 多分メイクしたら気分も変わると思うし。女装でステージなんて俺は慣れたけどな。



 *




 今回はライトのよく当たるステージということで少しだけ濃い目のメイクをしてみた。最後に茶色のロングウィッグをかぶってもらってと。


「はい」

「うわっ、別人じゃん」


 登坂さんがメイクの終わった木村君を見て声をあげた。ちなみに俺のメイクの様子をずっと見てた。


「ちょっと今回はステージだから濃いめだけど、こんな感じになったけどどう?」


 これでもまだ女装してステージ立ってるって思われると思う? と木村君に部屋にあった姿見を見てもらう。

 鏡に映った自分を見て顔を赤くする木村君。この赤面は恥ずかしいと言った感じじゃないな。多分見とれてるんじゃないかな。


 真剣に姿見を見ている木村君は置いておいて、他の女性役の男子をメイクしていく。

 女性一人しか出ない演劇というわけでもないから、他にも女性役をする男子はいる。そっちのメイクも頼まれてる。


「さて、後20分だしさっさとやりますか」



 *



「やっぱこえぇぇぇ」


 舞台袖に立った途端また木村君が緊張し始めた。観客席は満席、立ち見まで出ている感じだから相当人数がこの演劇を見に来ているということになる。

 メイクで気分を一新出来たと思ったけど、やっぱり怖いよなぁ。しかも初舞台っていうね。俺は最後までメイクの調整の為に舞台袖まで付いてきた。


「頑張れ!!頑張れ!!やれば出来る!! 」

「ちょっ!!」


 ちょっとあの熱いの代名詞の人の声で励ましてみたら木村君が吹き出した。

 ちょっとは緊張がほぐれたかな?


「声真似すごっ!!」

「俺の十八番だからな」


「それじゃぁ幕開けんぞー配置につけよ」


 会長さんが木村君達を呼んでいる。


「さぁ行って来い」

「おぅ」


 木村君を送り出して、俺は遥さん達が確保してくれている観客席の方へ移動する。


「どうだった?」

「まぁいけるんじゃない?」



 *



「あのヒロイン役男子だった? 女子にしか見えないんだけど」

「サークルに男子しかいないって言ってたけど、本当は女子もいるのかな?」


 演劇が終わりそんな会話が聞こえて俺はほくそ笑む。

 正直自分のメイクした人が狙い通りそう思われるのは気分が良い。


「大成功かな」


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