【第136話】夏季休暇5~夏祭り~
「近くで夏祭りやってるみたいなんだけど行かない?」
大学の方の家に二人で帰ってきて、昼ご飯の素麺を二人で食べていると遥さんから提案を受けた。
「行くのは良いけど、どっちで?」
俺達姿が性別両方あるんですが。
「んー性別そのままの両方浴衣でーと思ったけど、佑樹って男性物の浴衣持ってたっけ?」
「一応ある。父さんのだけど」
なんか帰ってくる時に持っていけと渡されたんだが、早速役に立つとは・・・俺が買った事あるのはリン用の浴衣だけだが。
「じゃーそれで」
「おけ」
確か前の夏祭りは両方共女子の装いだったな。そっちの方が可愛いって感じで。
*
父さんから渡された男物の浴衣を着てみて、部屋にある姿見で確認してみたが・・・
「なんか微妙・・・」
似合わない。もさい素のままで男物の浴衣を着てみるとここまで似合わないとは思わなかった。多分髪が問題だろうなぁとは思うけど、いまさら切るつもりは無いし・・・
「佑樹ー着替えれたらゴメン手伝ってー」
「あ、うん」
遥さんが一人で浴衣を着れないのかヘルプを要請してきた。
一応俺は着替えたし手伝いますよーっと。
*
「なんか似合わない」
「ですよねー」
手伝いに行った遥さんの部屋で下着姿の遥さんにそう言われた。
リンだった場合は結構似合ってる気もするんだけどなぁ。ほら着物とか浴衣はストンとした体型の方が似合うって言うし。
とりあえず遥さんの着付けをしながら・・・
「やっぱりリンで行こうかな・・・」
「私としてはどっちでもいいんだけど」
「じゃぁ似合う方で行く」
やっぱりリンで行こう。似合わないより似合っていたほうがこっちとしても楽しいし。
はい。遥さんの着付け終わりっ!! 着替えてくる。
*
「やっぱりソッチのほうが似合うね」
「まぁ。うん」
分かってる。自分にメイクしないと普通の男物の服が似合わないことぐらい・・・
「男状態でメイクしたらしたで、私が落ち着かないんだけどね」
「んー、あっちもわたしなんだけど」
「まぁそうなんだけどねぇ・・・」
分かってるでしょ? と顔を覗き込まれる。はい。分かってます。別人レベルで違うからですよね。
*
夏祭りの会場についたら、まだ花火には時間があるにもかかわらず結構な人がいた。大学が近いこともあって大学の構内で見たことがある人も居たりする。あのピンクと緑の髪の人は間違いなくうちの大学にいる人だろう。
「何食べる?」
「まずはかき氷かなぁー」
定番ですね。とりあえずかき氷でも買ってどこかで食べますか。
やっぱり暑い夏にはかき氷ですよね。ちょうど目の前にかき氷屋がありますし注文しますか。
「私いちごー」
「ブルーハワイ」
「あいよ」
シャリシャリとかき氷機から出る雪のような氷はおいしそうだ。
お金を払って受け取り、道から外れて食べる。
「んんーっ!!」
パクパクと勢いよくかき氷を食べて頭を抑える遥さん。風物詩ですね。
「ブルーハワイ一口ちょーだい」
「ん」
わたしの持っていたスプーンにかき氷を乗せて遥さんの口に。
「んまー、私のもはい」
わたしも遥さんからいちごのかき氷を食べさせてもらう。うん。おいしい。
*
「あれ? 飯島さんとリンさん?」
かき氷の後に晩御飯代わりのたこ焼きと豚串を食べた後に、わたしが食べたいから買ったわたあめを遥さんと一緒に食べていると大崎さんと登坂さんが現れた。二人共紺の生地に椿の柄のついた浴衣でおそろいだ。
「ばんわ」
「ばんわー」
わたしと遥さんが挨拶を返す。
「二人って知り合いだったんだ」
「ん」「そだよー」
二人は知らないけど、よく一緒に御飯食べたり講義受けたりしている佑樹と、わたしは同一人物ですからね。
「一緒に花火見ても良い?」
「リンは大丈夫?」
遥さんは一応聞いてくれる。
「おけ」
大丈夫。二人にはばれない自信があるから。
*
「たーまやー」
「かーぎやー」
お約束の言葉を言いながら花火を見上げる。
夜空に広がる大輪の花火を見て、その色とりどりの光が遥さんを光らせる。
うん。やっぱりキレイだ。ふと、遥さんを見て思うことがある。なんで遥さんはわたしの・・・俺の彼女なんかやってるんだろう。
「まーた、俺は釣り合わないとか考えてたなー」
大崎さんと登坂さんが花火に見入っているのを良いことに少し後ろに居たわたしのほうに遥さんが来て二人に聞こえないように小さな声で言ってきた。本当にネガティブなことを考えているとよく気が付かれる。たまに超能力者なんじゃないかってレベルで感づいてくる。これが女の勘ってやつなんだろうか? わたしは実際女じゃないからそんな勘は働きませんが。
「一緒に居て楽しいほうが良いでしょ? あと素でいられるのが楽なのもあるけど・・・やっぱり私が佑樹を好きだからかな」
頬に温かい感触を感じた。




