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アナタの本当の姿は?  作者: kame
大学1年生
135/339

【第135話】夏季休暇4~夏の祭典~

 今年もこの季節がやってきた。3日間で50万人を動員する夏の祭典の時期がやってきた。

 開場前ながらも多くの人が会場準備をしている様子を見て、さらにわたしのテンションは上がる。


「有明よ!!わたしは帰ってきた!!」

「はいはい。リン、そっちのクロス持ってて」

「ん」


 はい。クロスの端持ちます。



 *



「お兄ちゃん。リンお姉ちゃん。来たよー」

「いらっしゃい」


 梨花ちゃんがやってきた。今日はわたし達は搬入の関係もあって車で来たけど、梨花ちゃんは来てみたいと言った友達を連れてくるからと別々に来ている。

 梨花ちゃんの隣には、梨花ちゃんよりも頭一つ分大きい女の子がいる。その子が来てみたいと行っていた友達なんだろう。そういえば今年梨花ちゃんは中学生になっている。中学校で出来た友達かな?


「私のお姉ちゃんの友達のリンお姉ちゃん。はぐれたらここに集合ね」


 こくこくと頷く女の子。キョロキョロと他のサークルにも珍しそうに目線が行っている。梨花ちゃんはスマホ持たせてもらってるし連絡は取れるけど、初めてここに来た人だと言葉じゃ伝わらないからね。集合場所を決めておくのは大事だと思う。ただここに戻ってこれるかな?


「ここが噂に聞く壁サー?」


 そう。遥斗のサークル『ブレンド』はいよいよ島から外れて壁サークルになった。今もわたしの横で遥斗は接客に忙しい。まだ列は出来てないけど、ひっきりなしに人が来る感じ。


「今回からな。冬の方には未参加だったのになんでか壁になったんだよな」


 ほんと何でだろう。と遥斗は頭を傾げる。


「『ブレンド』って有名サークルの仲間入りしてるんだけど?」


 あっ、早乙女さんお疲れ様。今日は朝から自分のところのサークルにいたはずだけど。


「あーうちって人数いるからちょっと任せてきた」


 あたしだって欲しいのがあるしーと、遥斗から新刊を受け取っている。そのまま他のところにも行くから。と雑踏の中に消えていった。


「ゆみちゃんの好きなアニメってあっちだったよね? いこ」

「うん」


 何回か来ている梨花ちゃんがリードしながら一緒に来ていた子を連れて行く。ゆみちゃんって言うのかな?

 ちゃんと梨花ちゃんが初めてきた人を案内していている。うん。あれが連れてきた人の正しい姿だと思う。


「ちょっと彩芽(あやめ)待ってよぉぉぉ!!」

「ここは戦場よぉぉぉ」


 あれは・・・うん。頑張れ大崎さん。



 *



「彩芽ってひどいんだよ!! 初め来た私をおいて早足でいっちゃうんだもん!!」


 何故か、わたし達を見つけてやってきた大崎さん。まぁ他に知り合いはいないっぽいですからね。


「有名なイベントだから行ってみたいって言ったのは私なんだけど、彩芽会場についた途端豹変するし!!」


 本当にこういったイベント以外だと登坂さんは常識人なんですけどね。


「あはは。新刊読んでおく?」

「読む!!」


 前のイベントで遥斗の本を真剣に読んでましたからね。

 うきうきと読み始めた大崎さんを見て、わたしと遥斗は目線を合わせてから軽く笑う。とりあえず楽しんだ者勝ちだからね。



 *



「ごめーん」


 買い物袋に大量の同人誌を手に『ブレンド』のサークルブースに登坂さんがやってきた。大崎さんから連絡は先にしておいてもらったからね。返事で一冊確保を頼まれてたけど。


「また置いていくなんて彩芽ひどいよ!!」

「ごめんって!! テンション上がっちゃって!!」

「ほんとテンションあがったら昔から周り見えなくなるんだから!!」


 そういえば二人ってどういう関係なんだろうか。聞いたこと無い。


「二人は幼馴染?」

「うん。そだよー」

「小学校から一緒なの」


 へぇ。だからこう置いていかれても仲がいいままなんですね。


「まぁ一時期は大喧嘩してたけどね」

「それは加奈がストーカーになってたからでしょ。私は止めたんだから」

「いいじゃん。可愛いし!!」

「パロメロの?」

「そうそう。リンさんは知ってるんでしたっけ? 加奈のストーカー事件」

「ん。そのときに出会った」


 懐かしいな。



 *



「あっリンちゃんいた!!」


 うげっ、アニメ研究会の高崎会長だ。


「リンちゃん何学部なの!? 全然大学で見つからないんだけど!!」

「秘密」


 わたしこの姿で通学しているわけじゃないですからね。


「あれ? うちの大学に居た子たちだよね?」


 まだ一緒に居た大崎さんと登坂さんを見つけた高崎会長が二人に声をかけた。


「えーと・・・あーアニ研の」


 登坂さんは見覚えがあったようだけど、大崎さんは頭を傾げている。


「そうアニメ研究会の高崎です」

「大崎です」「登坂です」

「二人共アニメに興味ない? うちのサークルに入って一緒に作らない?」

「人のサークルブースの前で勧誘しないでください」


 同じ大学の人を見つけてサークルに勧誘を始めたのを遥斗が止める。今まで他の接客で忙しかったようだが、一応こっちの話も聞いていたらしい。

 それにしてもなんでそんなに新規会員がほしいんですかね。


「声優が・・・声優が欲しいの。やっぱり鈴木君を引っ張り込むしか・・・」


 遠慮しまーす。

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