【第133話】夏季休暇2
今日は、高校の三年生のときのクラスメイトで集まることになっていて、集合場所の高校の校門前には早乙女さんと守山さんを含んだ数人の元クラスメイトが既に集まっている。集合時間の10分前なんだけどな。全員が来るわけじゃないけど、10人以上集まるとは聞いている。
「すずっち、さっきぶりー」
早乙女さんとはさっきまでリンとして事務所で一緒だったから、さっきぶりというのは正しい。
守山さんとは今日は会ってないし、さっきぶりと言われてもリンと遥斗だとは思われないだろう。
「さっきぶり」
*
「それではまだ卒業して半年ですが、同窓会? を祝して乾杯!!」
「「乾杯」」
予約していた店でジュースを片手に今回の発起人が乾杯の音頭を取った。ちなみに発起人はクラス委員だったやつだ。
皆が近況をガヤガヤと話し始める。
「大学どう?」
「サークル入って、バイトして、忙しいけど楽しい」
「お前何大学だっけ?」
「大阪の大学やで」
「方言うつっとるんじゃ」
「お前もな!!」
皆は大学を満喫しているようだ。俺も満喫はしているけど。
「ねぇねぇ二人ってどこまで進んだの?」
「どこまでって?」
俺の横でご飯を食べていた遥さんに守山さんが聞いてきた。
結構な頻度で事務所ではリンと遥斗として会うけど、俺達がリンと遥斗だとは知らないから同棲しているというのは知らないはずだ。リンと遥斗が同棲しているというのは知っているはずだけど。
「ほらキスとか、寝たかとか」
「んー、キスならそもそも高校時代からやってるし、私達のことよりも私は守山さんのほうがきになるなぁー」
相手出来たって風の噂で聞いたよーと遥さんが聞き返す。風の噂というよりも本人から直接事務所で聞いている。それにしても真横にその彼氏がいるというのによく聞けるよな。
「う゛っ、そ、それは・・・って高校時代からキスしてたって!?」
「え? うん。付き合い始めて数日で既に」
「はやっ!!」
確かに早かった。
遥さんが積極的なんだよなぁ・・・なんでだ?
*
「あっ先生、お疲れ様でーす」
「お疲れ様」
先生が学校の仕事を終わらせて合流した。先生も呼んでみたら? と誰かが言い出して呼んでみたらすぐに来た。何人かの元クラスメイトが連絡先を持っていた。
どうやら学校で仕事していて連絡を貰って早々抜けてきたらしい。学校は夏休みでも先生は仕事があるからな。ただSNSでのつぶやき回数は増えてたけど。先生仕事暇なんだろうか。
「とりあえず生で」
未成年の元生徒の前で堂々と飲むんだな・・・いや、まぁ俺と遥さんと早乙女さんは見慣れてるけど。それなりにイベントで一緒になったときはアフターで食べに行ったりしてるし。
「先生、そういえば先生のクラスにトランスジェンダーさんが居るって話聞いたんですけど」
一人の女子が聞く。
「んーどこから聞いたのか知らないけどいるわね」
エドちゃんのことですかね? そういえば前に少し手伝った後の話は聞いてないな。
「前までLGBTの授業してて実際いる場合どうなのかなーって」
「至って普通の子よ? 不良でもないし、大人しめの子で成績も良い方ね」
「えーと、そういうことじゃなくて男同士の恋愛とか・・・」
「ん? あの子最近彼氏出来て、爆発しろって言いたくなるぐらい学校でもベタベタね」
「それ相手知ってるんですよね?」
「もちろん。同じクラスなので」
エドちゃん彼氏出来たのか。
「その人って学校の制服って・・・」
「女子制服ね」
地毛が伸びるまではウィッグかぶってるけど、あれはもう言われないと男子だと気が付かないわね。と先生。確かにエドちゃんは分からない。
「カミングアウトして大丈夫だったんですか?」
「えぇ。そこで澄ました顔でジュース飲んでるもさい人が一肌脱いでくれたので」
ぶっ。急に俺に話を振るのを止めてくれませんかね。
あと手伝ったのは俺じゃなくてリンです。同一人物ですけど。
「鈴木君が!?」
「えぇ。生徒の中からじゃぁ俺もという感じで男子達が女装するのを手伝ってくれたの」
お陰で男でもいいやっていうバイが増えた気もするけど。と先生。きっと裏ではナマモノを見てにやにやしてるんだろうけど。最近の先生の同人誌ナマモノっぽいの多いし。
「元々素質があっただけだと思うけどな」
*
飯を食い終わって皆でカラオケに移動した。大部屋を二部屋借りている。リモコンを貰った先生が春アニメのキャラソンを入れた。
「先生キャラソン!?」
「いいでしょー別に」
ちょっとお酒が入って砕けた口調の先生だ。
「というわけで鈴木君どうぞっ!!」
「はい?」
なぜかこっちにマイクを向けられる。
「歌ってよー」
はいはい。声真似レベルでいいですよね。このキャラソン、俺がアテレコしてるキャラなんで少しだけずらしますよ。




