【第131話】演劇サークル
「これが・・・俺・・・」
ドレス姿の男性。木村君(同学年だった)に演劇サークルにあったメイク道具で簡単にメイクを施してみた。
メイクとかもさっぱり分からないということで、一緒に居た遥さんが目を付けられて、頼み込まれて少しだけメイク講座をした。結局は女装メイクについては一日の長がある俺が教えたけど。
で、俺がメイクをしたら、定番の言葉が木村君からポツリと言葉がこぼれた。
そんなに身長もないし、ガタイが良いわけでもない。普通に去年卒業した女性の衣装がそのまま入るぐらいには華奢だ。後はメイクを施してやったら、ドレスを着た女性の出来上がりだ。
「すげっ」
会長さんが、女性に見える木村君を見て声をあげた。
「まぁ、女性が入ればこれぐらい出来ると思いますよ」
「二人に入ってもらいたいぐらいなんだが」
「すみませんが、アルバイトとかが忙しいので・・・」
「そうか。残念だ」
すみませんね。
*
「どうだった?」
折角だからと練習中の演劇を見せてもらった。慣れてないからか動きがぎこちないのは仕方ないにしても・・・
「女役の声が野太いですね」
「だよなぁ・・・木村裏声とか出来ないか?」
「これでどうでしょうか?」
うん。全然女声に聞こえない。
「ボツだな」
確かにそれで舞台に立つのはちょっとだめかな。
「誰か女声出来るやついねぇかな・・・」
「さぁ」
では、俺達は失礼しますね。
*
「はい。それでは今週の質問を悠里ちゃんよろしくー」
「はい。では、最初の質問からいきます」
今、わたしは姉さんのしている動画サイトのチャンネル生放送に出演している。大学生ということもあって二週間に一回ぐらいの頻度での出演だけども、結構聞いている人がいる。コメント欄では流れすぎて拾えないから、アンケートのサイトを利用している。
「えーと木村さん。男性からの質問です」
本名ですかね? 木村さん。まぁよくある名前はそのままハンドルネームとして使っている場合もありますからね。
「悠里さんに質問です。わたしですか?」
なぜ姉さんの放送で、わたしに質問があるんだろう。
「悠里へのだったら変わりに私が読むわ」
そうですか。はい。お願いします。
「今、演劇サークルに所属しているのですが、女性がいないので自分が女性の役をすることになりました」
「はい」
「そこで、女声で演技する必要が出てきたのですが、どのように声を出せば悠里さんのように声を出せるようになりますか? だってさ」
なるほど、演劇での女声ですか。
「んーまずは裏声を安定させることですかね」
そこから声を落とし込んでいくんです。と声を変えつつ・・・
「あれ? ボク元々どんな裏声だったんでしたっけ?」
「知らないわよ」
もう昔過ぎてどんな裏声だったかすら忘れました。
ただ、何か引っかかるんですよね。男性しかいない演劇サークル。ハンドルネームが木村・・・もしかしてうちの大学の?
*
「そしてなんで俺らはまたここにいるんだろうか」
講義が終わった後、アニ研の高崎会長に連れられてまた演劇サークルの方にやってきた。いやなんで、高崎会長に演劇サークルに連れてこられたのか分からない。
「私の幼馴染なのよ」
「へぇ。で、なぜ俺達を連れてきたんでしょうか?」
高崎会長と演劇サークルの関係はわかったが、俺達を連れてきた意味が分からない。
「女声出来るんでしょー? どうにも悩んでるらしいから手伝ってもらえないかなーって」
毎度のことなんですけど、連れてきてから要件いうのやめません? ほぼ無理矢理連行されているんですけど。
「メイクの腕は前のときに見たが、声まで行けるのか!?」
演劇サークルの会長が驚く。
「え? タク知り合いだったの?」
演劇サークルの会長さんはタクって呼ばれてるんだ。
「あぁ、前に木村がヒールの歩き方とメイクを教えてもらったんだ」
「へぇっ!!」
そして、高崎会長にじーと見られる。
「なんですか」
「女装とかやってみない?」
なぜそこに行き着いたんでしょうか。
「見てみたら鈴木くん肌もきれいだし、華奢だし、似合いそう!!」
まぁ似合うようにスキンケアとかしてますからね。
「嫌です」
大学では女装するつもり無いんですよ。
*
「女声ならこのサイト見たら良いよ」
木村君には、近藤が作った女声講座というサイトというかブロマガを教えておく。一応方法を公開してもいいかと聞かれたからOKと言っておいた。それを3日かけて書き上げたらしい。といっても既存の方法のカスタマイズなんだけどな。
「初めて見るサイトだ」
まぁ投稿して一週間も立ってないブロマガだしな。公開してもいいか聞かれたのもこの前だし。
「前に声優の悠里さんに聞いてみたんだけど、中々俺だけじゃうまく行かなくって・・・」
ほう。やっぱりあの生放送の質問は木村君だったのか。もう少し詳しく教えるべきだったかな。
「これで駄目なら教えるわ」
最初から教えるのは面倒だし。
「ちなみにこんな声」
と里奈として使っていた遥さんに寄せた声を出してみる。おぉっと色んな人の視線が集まる。
「今の鈴木君の声!?」
「そうですよー」
この声は俺の女声として公開している声だし全然出してもいい。
「木村君もこれが出来るようになるはず!!」
個人差はありますがね。一応特定の声になら出来ると思う。俺みたいに声をコロコロ変えれるようになるかは個人差があるようだし。




