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アナタの本当の姿は?  作者: kame
大学1年生
130/339

【第130話】サークル3

 講義終わり、夕飯何食べたい? と、遥さんと話していると、アニメ研究会の高崎会長に連れられてアニメ研究会の部屋に来た。逃げさせてくれなかった。


「鈴木君と飯島さんが多声類と聞いたんだけど、本当?」

「誰から聞きました?」


 俺達、大学だとまだ何もしてないんですが。


「二人の高校時代の同級生から聞いたの」


 あー、確かに、この大学に何人かいますね。うちの高校からの入学者。


「文化祭の演劇で停電で代わりに声を出したとか!!」


 しかも、役者それぞれの声を!! と目をキラキラとさせながら詰め寄られた。

 誰だよ。人の過去勝手に教えたの・・・


「やりましたけど・・・」


 遥さんがその圧力に押されて答える。

 確か2年の文化祭だっけか。突然停電でマイクは使用不可になって、ライトもバッテリー積んでたプロジェクターの光で演劇続けたんだよな。主役の二人にマイク前提で声を仕込んでいて、大声は出せなかったから遥さんの起点で俺達がアテレコしながら演劇を無事成功させたんだよな。本当にあの停電は驚いた。


「でさ、その声を使って、アニメのアテレコしてみない??」


 ぐいっとマイクを片手に更に詰め寄ってきた。遥さんと一緒に後ろにさがる。


「お願いっ!! 今後の参考にっ!!」



 *



「は?」


 用意されていたセリフを遥さんと喋ると高崎会長とその他のサークルメンバーの口がぽかんと開いていた。

 今回用意されたセリフは男女だったから、遥さんと性別通りのアテレコをした。


「声は変えられてもあんまり演技は出来ませんね」


 遥さんが肩を竦めながら言った。先に俺が吹き込んだから俺が手を抜いたのを見て遥さんも手を抜いていた。声は変えられるのがバレてるようだから、演技の質を落としてみた。


「いやいやいや!! 待って待って!! 二人共本物の声優みたい!! あれで演技出来てないって言ったらうちの二人なんて、棒読みなんだけど!!」


 えーと、すみません。これでも手抜きしてるんですけど。

 露骨に下手くそにはしていませんけど、うちの事務所の基準だったらリテイク食らうレベルなんですが。


 あと、高崎会長の棒読み宣言には、声担当の人は何か言っていいと思うが。


「私達今まで何してたんだろう・・・」

「あれと比べたら私達のアテレコなんて棒読みよ・・・」


 認めちゃうのか・・・


「二人共もしかして女声と男声が出来たり・・・?」

「さぁ? どうでしょうか」


 高校の文化祭で声を当てたというのは聞いていたらしいけど別の性別の声を当てていたというのは聞いてないんだな。


「その言い方は出来るんだ!!」


 まぁ出来ないとは言いませんよ。


「二人共ぜひアニ研に!!」

「「ごめんなさい」」




 *



 二人でアニメ研究会の勧誘から逃げ出して、大学の構内を歩く。放課後は思ったよりバイトで忙しいんですよ。


「うわっあっ、やばっ」


 ――ドンッ


「うぉっ」

「すみません!!」


 後ろから何か声が聞こえた後に俺にぶつかってきた。どちらさん? 俺がぶつかってきた人に視線を向ける。そこにいたのは西洋風のドレスを着て、赤のピンヒールに茶色のロングウィッグをかぶった男が転んでいた。そういえばさっきの声も普通に男の声だった。


「怪我してない?」


 なんでドレスなのか、ピンヒールなのかといった疑問はあるけど、まずは転んでいるから怪我してないかだな。履き慣れてないヒールで転んだとしたら足を捻ってないか確認しておかないと。ピンヒールは俺も履いたこと有るけど少しの距離ならともかくあれで歩き回る自信はない。


「大丈夫ですか?」


 遥さんも声をかけた。


「だ、大丈夫です。すみません。転ぶとときにぶつかっちゃったんですけど、怪我してませんか?」

「俺は大丈夫」


 ほら。と手を貸して立ち上がらせる。そんなに身長は無いみたいだな。ヒール分考えても俺より高いけど。


「どうしてピンヒールなんですか?」


 遥さんが転んだ男が履いている無駄に主張する赤のピンヒールを見ながら聞いた。


「えーと、文化祭の演劇の役で・・・女役を押し付けられたんです」


 演劇サークルなのかな? 確かうちの大学の文化祭は秋だから、まだ夏休み前の今の段階から準備するのは早すぎません? そんなものですかね?


「で、今日衣装合わせで折角だからヒールの歩く練習してこいと言われて・・・」


 それでサポートも付けずに構内を歩かせるのはどうかと思いますがね。

 あと、気になる点がもう一点。


「ヒールの練習ならドレスの必要なかったのでは?」

「あっ!? 確かに!! 先輩にそのまま行けって言われてそのままでした!!」



 *



「気付くのおせぇよ」


 なんとなく危なっかしい歩き方だったからサークル部屋まで一緒について来た。そこで先輩に聞いて先輩が突っ込んだ。ヒールの練習で放り出すなら服まではする必要ないというのに気がつくと思ったが、そのまま出ていったらしい。


「えーと、そちらのお二人さんは?」

「転んだところを助けてくれた二人です。あとヒールの歩き方のポイントとか教えてもらいました」


 本当に見ていてハラハラする歩き方だったから少しだけアドバイスさせてもらった。ヒールでかかとから着地はバランス崩しやすいから、つま先とかかとを同時に付けるようにだけアドバイスさせてもらった。


「おぉ、それはありがたい。女子会員が去年で全員卒業してしまってな・・・教えれる人がいなかったんだ」

「ということは今、演劇サークルは全員男子ということですか?」

「あぁ。今は全員男子だ」


 それは・・・大変ですね。メイクとか出来る人いるんですかね? 

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