【第129話】コスプレイベント2
最初の説明以外仕事がないという姉さんを連れ立ってお寺の方にやってきた。そこには結構なコスプレをしている人達が既に居る。
流石に本堂の中に入るのはアウトだが、撮影はOKらしい。
「リン、撮って撮って!!」
姉さんテンション高いですね。
「だってこんなにコスプレしてる人いるんだよ!! テンション上がるでしょ!!」
そういえば、姉さんコスプレとか好きなんだった。わたしも結構コスプレ見るの好きだし。しませんけどね。わたしの一眼レフのカメラは姉さんのコスプレ好きの影響を受けて綺麗に撮りたいよね。ということから一眼になってる。
「おっリンちゃん達、ここでどうしたんだ?」
・・・社長が堂々とコスプレ参加してるなんて思わなかったけど。
「社長!?」
遥斗が急に現れた社長に驚く。なんで!? という表情だ。
「遥斗君。社長から名刺もらった時レイヤーの名刺もらわなかった?」
「えーと・・・あー、貰った覚えが・・・」
「あれまじのレイヤー名刺だから」
で、こんなわけと、今回の商店街が関係してくるコスプレではなくて、今回は執事コスをしている社長を姉さんが指差す。そのキャラ今季のアニメのキャラですよね。
*
「あの人が住職?」
袈裟を着た人が居たから近くに居た社長に聞いてみる。このコスプレイベントにお寺を開放してくれた人かもしれない。
「えーと・・・あの人は違うね。コスプレじゃないかな」
ほら。カメラで撮ってるし。と住職かと思った人は袈裟の中から取り出したデジカメでお寺の様子を撮りだしたのを見て社長は違うという。
じゃぁ誰なんだろう。
「・・・教えてほしい?」
「ネタになるなら」
何かしら漫画のネタか話のネタになるなら教えて下さい。
「あれがここの住職」
社長が指差す方向には、最近下火ではあるもののあの有名なボーカロイドのコスプレをした男性がいた。結構足も細くて肌も白い、普通に女性で通りそうだ。
え、いや、待って。住職?
「まぁレイヤー仲間なんだわ」
まじですか。
*
「なぁ、リン」
「ん?」
「あれ」
わたしが姉さんをモデルに写真を撮っていると遥斗に肩を叩かれた。で、遥斗が指差す方を見てみると、腋のあいた巫女服のレイヤーがいる。お寺じゃなくて神社ですよね。そのキャラクター。
ああいうのが好きなんでしたっけ? あと、遥斗もコスプレしてくれて良いんですよ? やるなら衣装代持ちますけど。わたしが見てみたいので。
「違う違う。あのレイヤーさん見覚えない?」
「ん?」
わたしはじっとその巫女服レイヤーさんを見てみる。あれは確実にウィッグで・・・あれ?
「登坂さん・・・?」
あの人コスプレするの?
「だよねー、ソロかな?」
「多分」
周りにはカメコはいるけど、知り合いっぽい人はいない。
「撮りに行く?」
どうせ、わたし達には気が付かないと思いますし。前のイベントで全然気が付かれなかったですしね。
「いいねー。魔法使いの方はいないのかな?」
「んー、いない」
いたら合わせをお願いしたんですけどね。
*
「あっ、遥斗さん!! リンさん!!」
登坂さんの方から声をかけてきた。前にイベントで会話しましたからね。初参加の人を置き去りは駄目ですよ。
「撮っても?」
「はい!! 大丈夫です!! えっ!? あさみん!?」
わたし達の後ろにいた姉さんに気がついた登坂さんが声を上げた。まぁ驚きますよね。自分の知り合いが有名人と一緒にいたら。
登坂さんは声優も分かる人なんですね。
「リンの友達?」
「ん」
リンとしても話したこともありますし、大学ではたまに昼食を一緒に食べる仲です。
「リンの仕事仲間の鈴木麻美です。よろしくー」
「よ、よろしくおねがいしますっ!!」
そして一拍して・・・
「仕事仲間!? ってことはリンさん声優なんですか!?」
「あっ、オフレコでお願いね。この子あまり表に出たくないらしいから」
最近は出てますけどね。
「ちなみに名前は・・・?」
「秘密」
教えませんよ。




