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アナタの本当の姿は?  作者: kame
大学1年生
117/339

【第117話】相談

 ――ドンッ


 土曜日の朝、とりあえず先生の朝ごはんも一緒に作っていると遥さんの部屋からなにかが落ちる音がした。

 昨日は遥さんは俺と一緒のベッドで寝てたし、遥さんの部屋にいるのは先生だけだ。ちなみに遥さんはまだ寝てる。


 ――ガチャ


 遥さんの部屋の扉が開いて、ボサボサの髪の先生が出てきた。一応布団に付くからメイクだけは落とさせてもらったからすっぴんだ。まぁメイク講座のときに見慣れてるけど。


「おはよーここって鈴木君の家?」

「おはようございます。俺の家です。昨日の記憶はありますか?」

「えーあー、なんかお酒飲んで・・・車に乗せられたところまではある」


 なんだ。起きてたんじゃないか。だったら自分の足で歩いてほしかったな。


 ――ガチャ


「おはー」


 遥さんが俺の部屋から出てくる。俺が起きるときは気持ちよさそうに寝てたけど。


「えっ? 飯島さん!? あれっ? ここ鈴木君の家じゃ!?」

「私の家でもありますよー」

「えっ? え?」


 先生が混乱している。


「ルームシェアです」


 ちなみに先生が寝ていたのが私の部屋です。と遥さんが先生に説明する。

 同居とか同棲とかよりルームシェアの方が最近の言葉っぽい。


「ルームシェア・・・あれ? 私が飯島さんの部屋ってことはそこは鈴木君の部屋ってことよね?」

「?そうですね」


 何故聞かれるのかわからないが、確かに今遥さんが出てきたのは俺の部屋だ。


「鈴木君は昨日何処で寝た?」

「自分のベッドですけど?」


 その言葉で先生が一度固まる。なにか固まる要素あったかな?


「ってことは二人同じベッドで!?」

「そうなりますね」


 少し狭いぐらいで寝れないこともない。


「二人共もうそこまで・・・」

「あのー先生が考えてるようなこと一切ないですからね。普通に寝ただけなんで」


 遥さんは先生が考えることにたどり着いたようだけど、俺はイマイチ理解が及ばない。


「普通の若い男女で夜に同じベッドって考えたらなにか思いつかない?」


 んん・・・?


「あぁ」


 そういうことか。俺の感覚がずれているのは正直分かっているけど、全くそっち系の知識も出てこなかった。



 *



 先生と一緒に朝ごはんを食べながら朝のニュースを見ていると、LGBTのニュースがあった。アウティングによるいじめということらしい。別にその人の趣味嗜好に人が口をはさむ必要はないと思う。


「あっ、そうだった。忘れてた二人に相談に乗ってもらいたいことがあったんだ」


 このニュースを見て思い出すということはLGBT関連ですかね?


「イグザクトリー。今私が担任しているクラスでLGBTの子が居てね。新年度早々アウティングされてね。

 不登校にはなってないんだけど、いじめとか無いか今目を光らせている所でなにか対策ないかなーって」


 ふむ。


「それで私達に聞かれるのはわからないんですけど」

「女装男装してるし、分かるんじゃないかなーって」

「俺達LGBTじゃないので・・・知り合いにはいなくもないですけど、トランスさんですけど」

「その子もトランス希望だからなにか参考になる例ってないかな?」


 んー、少しだけ事務所の人と話したことはあるけど大学卒業までは男として擬態していたということぐらいしか聞いてない。

 あの頃に比べると今は恵まれていると言ってた。そういや保険適用になったんだっけ?


「少なくとも俺達からは何もありませんね」

「そっかぁーなにか知ってるんじゃないかなーって思ったんだけど」

「よく女装してるからって詳しいわけじゃないですよ」


 それこそネットの情報しかありません。



 *



 ――ブブッ


 先生も乗せて事務所の方へ車を走らせていると、わたしのスマホに着信があった。

 メッセージだから小休憩でコンビニに寄って見てみる。


『クラスメイトにアウティングされました』

「っ」


 メッセージの送り主はエドちゃん。

 先生が言ってたのはエドちゃんのことだったか。


「先生。アウティングされたの3年の遠藤?」

「え? リンちゃん知ってたの!?」

「まぁ・・・あのコンテストの後にコラボ喫茶で会ったから」

「なるほど」


 ――ブブッ


 また鳴った。今度は須藤君?


『放浪していたエドちゃん確保しました!!』


 放浪・・・?


「遠藤が放浪してたって」

「え゛!?」


 須藤君に電話かけてみよう。数回のコールで須藤君は出てくれた。


「エドちゃんが放浪ってどういうこと?」

『あっリンさん!!エドちゃんの幼馴染が姉さんの友達だったから聞いて、昨日の晩から家にも帰ってなくて携帯も繋がらないらしくて探してたんです。で、今朝国道をふらふらと歩いてたのを見つけて、危ないんで今事務所で保護してます。

 で、さっきリンさんに連絡したって言ってたんで連絡したんです』

「様子は?」

『心ここにあらずです』


 ふむ・・・


「とりあえず美馬(みま)さんのとこ連れて行って」


 美馬さんはうちの事務所でカミングアウトしている人だ。トランスさんで結構他の人のフォローや相談に乗るのがうまい。


『わかりました!!』


 さて、とりあえず事務所に行かないといけないですね。

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