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アナタの本当の姿は?  作者: kame
高校三年生
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【第107話】コラボ喫茶2

「・・・」

「・・・」


 重い。空気が重い。

 とりあえずあそこに居たままだと他の人の邪魔になるから移動した。移動先はわたしの行きつけのとある居酒屋。奥の個室を使わせてもらっている。ただ全員未成年だからお酒のメニューはそもそも下げてもらった。あらぬ疑いをかけられたくないからね。

 他の声優とイベント終わりに何度も寄らせて貰っているうちに覚えられてるからこのくらいの融通はきく。


「えっと、二人共知り合い?」


 と、とりあえずエドちゃんとの接点がないことになっているわたしが話しのきっかけになる。


「えっと、クラスメイトです」


 須藤君が答えてくれる。

 えっと・・・クラスメイトなんだ。だったらこの前の文化祭の姿は知ってるよね。


「へぇ。二人共クラスメイト。じゃぁ素の姿とか知ってる?」


 くっ。無口キャラのせいで微妙に言葉選びが難しい。


「えっと、リンさん?私の素の姿とは・・・?」

「男の子」


 というか須藤君の目の前で、違うと言い張るのは得策ではないですよ。

 こういった場合はバラしつつ、黙っていてもらえるように頼むもの。下手に隠すと色々勘ぐりと憶測が入りますからね。


「なぜ?」


 犯罪的な理由ならわたしは関わらないようにしますけどね。


 わたしの身近で異性装している人は・・・皆思ったより理由がバラバラですね。

 わたしと遥斗は身バレ防止、アカネちゃんはナギサさんからの押しつけ、ツバサちゃんは完全に趣味、近藤は文化祭で目覚めた。須藤君も趣味に入るんですかね?


「私は・・・」



 *



 えっと、エドちゃんの話を要約すると、


「普段の自分の姿に違和感を感じていて、やってみたらエドちゃんのほうが違和感がなかったと」

「はい」


 ・・・ふむ。何ていうんでしたっけ?性同一性障がいとか言うんでしたっけ? 地味にわたしの友達にはいないんですよね。ただカミングアウトしていないだけという可能性もありますけど。


「ふーん。なるほど」


 注文していて届いた焼き鳥をパクリ。須藤君もパクリ。


「えっ、あれっ?ソレだけですか!?」


 特に目立った反応をしなかったわたし達にあれっ?と声を上げるエドちゃん。


「ん。別に珍しくはない」


 最近はカミングアウトする人も多いですからね。

 わたしの知り合いには事務所に居ますけどあまり絡んだこと無いんですよね。遥斗の知り合いからは、それなりに情報は入ってきていますが。結局は趣味が違うだけで同じ人なんですよ。

 わたしだって女装(こういうこと)をしていて相手の性別はどっちでもいいと考えている人ですし。今は遥さんがいますけどね。


「親には?」

「あっ両親は知ってます。なので家ではもっぱらこっちです」


 理解のあるご両親で良かったですね。場合によっては家庭崩壊というのもありえるらしいですからね。事務所のとある人はほぼ勘当状態と聞いた覚えがあります。

 わたしが性別に違和感を感じていたらうちの両親はどうしたでしょうか・・・いや、変わらないですね。性別の違和感を感じていない息子に女装させて喜ぶぐらいなんですから。


「でも、やっぱり学校が苦痛で・・・」


 ふむ。学校だとわたしの素のようなもさい学生でしたよね。


「必要ならその道の先輩方ともアポ取れるから、なにか困ったことがあったら言ってくれたら良い」


 それなりに知り合いはいるから。とリン用の携帯のアドレスを渡しておく。まぁ両親と良好なら全然問題は無いと思うんだけどね。


「えっ」

「受け取っておいたらいいよ。リンさん本当に顔広いからね」


 須藤君の後押しもあって連絡先を受け取ってくれた。



 *



「あっ、遠藤君、ごめん。先に言っておけばよかったんだけど、私未來じゃなくて弟の方だから」

「えっ!?」


 エドちゃんが目を見開く。須藤君言っちゃうんだ。


「最初からクラスメイトって言ってるだろ? 遠藤君とクラスメイトは俺」


 姉さんとはクラス別だろ?と須藤君が地声に戻した。そうなんだ。てっきりエドちゃんは須藤さんのクラスメイトだと思ってた。


「いや、え?ほんと?」


 エドちゃんは須藤君をまじまじと見つめる。


「そ、そんな真剣に見られると・・・困ります・・・」

「いや、そんなんじゃなくて!!」


 須藤君もわざわざ声を変えて悪乗りしない。

 結局今ここの個室に居るメンバーだと全員見た目は女子ですけど、全員男なんですよね。本当に意味わからない。


「ん。ここに居るのは須藤君だから」


 わたしの正体は言いませんけどね。

 同じ学校の生徒がバイト先て女装していただなんてどんな確率なんですかね。



 *



「すみません。私まで奢ってもらっちゃって」

「ん。別にいい」


 3人で一万超えないんですから全然問題ないです。今日のバイト代ぐらいですかね。3人でぶらりと夜の街を歩く。

 近くのコインパーキングに車を停めてあるので須藤君は車で送り届けます。エドちゃんはこの近くとのことなのでこのままお別れになります。


「そういえばなんで私に良くしてくれるんですか?」


 初対面のはずのわたしが、連絡先を渡したり奢ったりしたのが不思議なんだろうか。エドちゃんが聞いてきた。


「ん。高校の後輩を可愛がるのは当然」

「「えっ」」

「一応同じ学校」


 あれ?須藤君に言ったことなかったっけ?


「ないですよ!!てことは3年生ですよね!?え?でもリンさんみたいな先輩見たことないんですけど・・・」

「私もリンさんみたいな人見たことないですっ!!」


 ふふ。


「見つけてみて」


 隠れはしないから、姿は変えてるけど。

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