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アナタの本当の姿は?  作者: kame
高校三年生
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【第106話】コラボ喫茶

「なぜわたしはメイドの格好をさせられている?」


 事務所に呼ばれて姉さんにあれよあれよと着替えさせられたところに、部屋に入ってきた社長に聞いた。いや、本当になんでですか。


「これなんだけどね」


 社長から一枚の紙を渡される。

 そこには、アニメとのコラボ喫茶店のアルバイト募集のチラシだった。

 うちのアニメとのコラボだからわたしがアテレコしているキャラもいる。


「今微妙にアルバイトが足りないらしくってお願いできないかなーって」


 今日に面接の子でもう採用を決めてるらしいから今日だけなんだけど。と頼まれる。面接する前から決めてるんですね。


「もう人手不足で、誰でもってことらしいよ。だから一日だけお願い!!」


 はぁ。まぁいいですけど。バイト代は貰えるんですよね。


「もちろん!!1.5倍で出してくれるって!!」

「普通でいいです」


 接客素人なんで多く貰えません。


「あっちなみにメイド喫茶じゃないからメイド服じゃないよ」

「え?」


 じゃぁなんで姉さんはわたしにメイド服を・・・?


「てへっ。見たかったの」


 ちょっ、着替える手間を考えて下さい!!



 *



 同じくヘルプ要員として派遣された須藤君と一緒に喫茶店に入ると、そこは戦場だった。

 座席は満席、裏口から入ったから見えなかったけど、店の入口のところには大勢の待ち客がいる。

 そして次々に頼まれるコラボドリンクやコラボメニュー。厨房もホールも慌ただしい。

 えっと、これコラボグッズ狙いの人たちですか・・・? いくらなんでも多すぎません?


「すご」

「何人ぐらい居るんでしょうか」


 さ、さぁ。ここから見えない座席もあるんでわからないですね。


「更衣室はこっちね。エプロンがあるから、それをつけてね」

「はい」


 さて、人が多く居ても仕事しないとね。

 女子更衣室に須藤君と二人で入る。えぇ、須藤君も女装していて須藤さんの姿です。言っておきますけど、誰も居ないのを確認してから入ってますからね。



 *



「ご注文はお決まりでしょうか?」

「コラボドリンクと・・・カルボナーラで」

「かしこまりました」


 この人、コラボドリンクしか見てなかったですね。言ってから飲み物だけなのもなぁと言う顔をしてからコラボメニューに気が付いた。

 えーと、確かコースターがランダムでついてくるんですよね。わたし事務所から欲しいキャラのを貰いましたけど。あとコラボメニューの方はラバーキーホルダーだったと思う。


 厨房の方には端末で入力したのが送信されるからわざわざ厨房に伝えに行く必要はない。

 でも、配膳にために取りに行く必要はあるんですよね。


 スタスタと手に入ったグッズやコラボメニューの写真を撮っている人の邪魔をしないように完成した料理が出るカウンターまで移動してお盆を手に取る。


「6番さん持っていく」

「あっリンちゃんよろしく。それ結構重いよ」

「ん。問題ない」


 一応わたし男なんでそれなりに力ありますよ。遥斗と同じぐらいは。えぇ遥さんと腕相撲したら互角でした。両方共顔真っ赤になってました。

 言っておきますけど、わたしの力が弱いんじゃなくて遥さんが強いんですからね。一応わたし身体測定では平均並みの筋力はありますから。


 よいしょっと。およ。本当に結構重い。石焼ビビンバだから仕方ないと言えば仕方ないですけどね。器が重いんですよ。



 *



「エドちゃーん。ホールお願いねー」

「はーい」


 客の空き皿を下げて、次の配膳のお盆を持とうとしているとそんな会話が聞こえてきた。

 ・・・んん?聞き覚えのある名前と声が聞こえたんですが。


「あーエドちゃんに先に言っておくけど、そこにいる子がリンちゃんで、あっちにいる子が未來(みく)ちゃん。今日ヘルプに入ってもらってるから」


 声が聞こえてきたから一応頭を下げておく。須藤君は容姿に合わせて須藤さんの名前を借りている。流石に女装姿で幸平という名前は違和感あるよなぁーで、偽名も直ぐに思いつかなかったからそのまま姉の名前を借りたらしい。偶に入れ替わっているお陰でそっちで呼ばれても反応できます。とも言ってた。


 ひょこっとわたしが見える位置に来た女の子・・・うん。なんでわたしこんなに遭遇率高いんですかね?

 そう。現れた女の子――エドちゃんはこの前の文化祭で女装コンテストでわたしと一緒にステージに立った。遠藤君だった。

 服装はあの時と同じようなゴシックロリータ。髪色が黒になっている以外は違いがない。



 *



「二人共ありがとう!!これ今日の分の給料ね!!」


 店長の女性から御礼の言葉と封筒を貰う。


「「ありがとうございます」」

「本当二人の働き凄くてこれからも働いてほしいぐらい!!二人共力あって一杯運んでくれるし!!」


 あはは。わたしと須藤君は乾いた笑いで返す。実は二人共男ですからね。


「うん。二人共今日はありがとう!!」

「「お疲れ様でした」」


 二人で店の裏口から出た。

 さてと・・・


「どっか食べに行く?」


 須藤君に聞いてみる。奢るよ? ちょっとは先輩ヅラさせてくださいな。


「え?本当ですか!?リンさんのお勧めでいいです!!」

「まずは家に連絡して」


 家で御飯作ってたら無駄になりますからね。

 わたしのおすすめですか・・・あー、声優仲間に連れて行かれる居酒屋ばかり浮かびますね。メニューが豊富で美味しいんですよ。


「お疲れ様でーす」


 店の裏口から出てすぐの所で話していたから他の人が出てきた。あっエドちゃんだ。あのゴシックロリータの服で通勤しているんですね。中々やりますね。同じようなのを悠里の時に着ますけどあれで通勤は無理です。あれはちょっと動きにくい。


「あれ?遠藤くん?」

「げっ須藤!?」


 あら、お二人知り合いなんですか?

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