【第101話】夏休み7
「あーあついー」
夏のあつい日差しを受けながら登校して、エアコンの風であたるポイントで遥さんがパタパタと制服の下から俺が渡した扇子で扇いでいる。チラチラと見えるお腹はインドアらしく白い。クラスメイトの男子からチラチラと視線がいっている。
今日は受験対策の夏期講習だ。ありがたいことに学校でやってくれる。先生も大変だよな・・・
――ブブッ
SNSのDMの着信だ。えーと、これはリン用のアカウントだな。
『夏風邪のため本日の夏期講習は自習で』
・・・先生、SNSのDMで一生徒に伝えないで下さい。
後、多分自習じゃなくて他の教師が担当すると思います。あと、俺と先生がSNSでつながっていること皆知らないんですから。
『学校に連絡入れて下さい』っと。
*
「えぇーと、華岡先生が夏風邪で休みとのことですので、代わりに私が講習をします」
華岡先生の変わり教壇に立ったのは教頭先生だ。前のイベントで華岡先生のサークルに買いに来たらしいけど、本当なんだろうか。
今もキラリと蛍光灯の光の反射する後頭部を生徒側に向けながら黒板に書いている。
あーその範囲前にやったけど・・・誰も言わないな。まぁいいか。適当に例題でも解いていくか。
*
気が付いたら落書きしてた。あれ?さっきまで例題解く気分だったよな。本当に気が付いたらルーズリーフの一枚に今見ている別々のアニメの主要キャラクターが一同に会したイラストが出来上がっていた。結構いい出来だ。あとでスキャンしてSNSにあげておこう。
「では、ここまでで質問のある人は?」
ちょうど教頭の意図しない復習の範囲が終わったらしい。誰も手を上げない。
「じゃぁ次の範囲いきます」
淡々と進められる内容に眠気が襲ってくる。
今日は確か昼までだったよなぁ・・・昼飯どうしようか。確か素麺がまだ残ってたし軽くそれで終わらせようか。
――ブブッ
スマホが震えたけど、今は見れません。
*
『つらい』
夏期講習が終わり、スマホを見るとそんなDMが来ていた。差出人は華岡先生。いや、だからなんで俺に送ってくるのか分からない。
『寝てて下さい』っと。風邪は寝て治す。
ふと先生のアカウントのページが目に入る。
『原稿やばい!!』
『仕事風邪で休んで原稿仕上げる!!』
『誰か手伝って』
・・・あの腐教師。この『つらい』は原稿終わらなくてつらいのほうか!!心配して損した!!
多分この原稿というのは夏休み明けたら直ぐにあるイベントに出す本のことだろう。スペースが取れたとは言ってたし。ちなみに遥斗は受験のため夏の祭典を最後に一時サークル参加は休止している。まぁイベントには行くんですけどね。わたし達成績的にはあまり問題ないですし。
「あはは、先生も困ったもんだね・・・手伝ってあげようか?」
遥さんが俺と同じ様にスマホを見ながら話しかけてきた。同じ様に華岡先生のSNSを見ているんだろう。
「絵のタッチが全然違うんだが」
「それもそっか。じゃぁ頑張れーとだけツイートしておこうか」
まぁ揃えることは出来るけどな。アニメ原画やってたら揃えないといけないから、これぐらいの違いなら真似出来る。
「あっ、これ描き足していい?」
「どうぞ」
遥さんが俺の描いた落書きを見つけて聞いてきた。全然描き足してもらっちゃってOK。
*
「どやぁ」
遥さんが俺の落書きに描き足してどやぁと見せてきた。これは・・・たしかに凄いわ。
俺の描いていたのは主要キャラクターだけだったが、その他のサブキャラクターも書き足されて物凄い人数となっている。
しかもそれぞれが別のキャラクターに絡むように描かれているのも得点が高い。
あと、これだけのキャラクターを追加するのにかかった時間は15分。速筆過ぎませんかねぇ。
「これSNSあげよ」
「おけ」
スマホカメラで撮って、位置情報消してっと。遥斗のSNSのリンク貼ってと・・・ちゃんとリン用のSNSだな。ツイートと。
――ブブッ
『描いてるなら手伝って!!』
先生・・・SNSしてる暇があるなら原稿してください。




