表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アナタの本当の姿は?  作者: kame
高校三年生
100/339

【第100話】夏休み6~BBQ3~

「リンー」


 母さんが抱きついてきた。この人酔うと抱き癖があるんですよね。まぁその時に本名を言われないのは完全にリンという存在が母さんの中で確立されているからだとは思いますけど。


「ん。飲み過ぎ」


 何本飲んだんですか。今日はロッジに泊まってくださいね。父さんも泊まりますから。わたしは高校生組を連れて帰ります。


「既に酔いつぶれた人はロッジに放り込んでー」


 社長が色んな人に言って回っている。あの人社長なのによく働きますよね。まぁ今日は無礼講というのもありますけど。あれ?会社でも雑用していたような気がする・・・

 ところでまだ午後2時なんですけど、皆さんこんな時間から酔いつぶれて良いんですか? 


「リン。あっちに川があったから行ってみない?」


 遥斗が呼びに来た。ちょっと待ってて下さい。母さんをロッジに放り込んできますので。



 *



「おぉ」


 遥斗に連れられて川辺にやってきた。水量はそこまでなくて穏やかな流れ。川底が見えるほど透き通った水の流れる川を見てわたしはつい感嘆の声を漏らした。久しぶりにこんな綺麗な川を見た気がする。


 数人の子どもたちが親に見守られながら川に入って遊んでいる。あの子供たちはうちの社員の子供だ。


「わぁっ!!行こ!!」


 柊さんが近藤を連れて川の中に入っていく。二人共いつの間にサンダルに履き替えたんですかね? 確か事務所で見た時はスニーカーでしたよね。あと水着じゃないので奥まで行かないようにしてくださいね。濡れた服で車に乗せたくないです。


「リンはどうする?」

「んー足つけるだけ」


 水着なんて持ってきてないから足つけるだけ。入る前に靴と靴下を脱いで絶対に濡れない場所においておく。わたしはサンダルは持ってきてない。

 大きな岩の上に座りつつ水面に足を入れたり出したりチャプチャプと音を立てながら動かす。夏の暑い日差しで温もっているかと思ったら意外と水は冷たい。さっきまで焚き火の前にいて熱くなった体が冷やされていく。


 ――カシャカシャ


 ・・・遥斗と早乙女さんはなんでわたしの写真を撮るんですかね。


「水と戯れる美少女でどう?」


 早乙女さんがスマホの画面を見せてくれる。そこにはわたしが写っている。わたし美少女とは思ってないんですけど。


「でも平均値より上なのは自覚してるでしょ?」

「まぁそれなりに」


 バレない様に素から離れるように作っていったら平均より上あたりの顔になっているのは自覚してる。それなりに研究したし。



 *



「リン!!着替えなさい!!」


 遊んでいたわたしのもとに姉さんが現れて、ばんっと水色生地に白と青のラインで模様の付いたビキニを取り出してきた。

 えぇっと・・・なぜわたしに?姉さんが自分で着ればいいじゃないですか。


「前送ったスク水は全然写真送ってくれないし、だったらここで見てやろうと!!」


 だから着替えなさい!!とわたしにビキニを押し付けてくる。

 スク水は送るわけないじゃないですか。あんな高校生が来たらマニアックすぎる水着なんか。無駄に似合ってたんで余計に送りたくない。


「だから今度は普通の水着よ!!」


 だからさぁっ!!とビキニを押し付けられる。

 着るのはいいですけど、せめてパレオかスカート下さい!!


「着るのはいいんだ・・・」


 えぇ、なんとかなりますからね。後別に減るものじゃないですし。姉さんがカバンからパレオを取り出す。パレオあるじゃないですか。



 *



 ロッジの個室を使ってぱぱっと着替えてきた。上はなぜか母さんが持っていたわたしのパーカータイプのラッシュガードを羽織っている。どこにいったんだろうとは思ってたけど、母さんが持ってるとは思ってなかった。でも前にジムに行ってくるから借りると言われたような気がしなくもない。


 日焼け止めも塗らないといけないですね。


「じゃぁ俺が塗るよ」

「ん。お願い」


 遥斗に背中を塗ってもらう。もうね。世間一般とは逆というツッコミはしない。



 *


「リンおかー・・・あれっ!?胸ある!?」


 川に戻ってくると姉さんから言われた。まぁわたしは男ですからね。胸は普通ありませんが、今わたしの胸はささやかですが膨らみがあります。


「胸は作れる」


 周りに近藤達が居ないのを確認してからサムズアップ。


「寄せてあげるブラと同じ。他から集める」


 普段はパッドなんでこんな事しないんですけどね。違和感ありますし。


「下ってどうなってんの?」


 えーと、なんで姉さんはそんなにわたしの水着に興味津々なんでしょうか。密かに遥斗も目をキラキラさせていますし。


「そりゃぁ、男の娘がビキニ着た時どうなるかって興味ない?」

「三次は惨事」


「まぁまぁ見せて見せて」


 ちょっと剥ぎ取ろうとしないで下さい!!

 ってあっ!!


「・・・もっこりしてない」


 隠すに決まってるでしょうに。念の為パレオかスカートは欲しいですけど、隠す方法はあるんです。


「本当に男よね?」


 姉さんが不安にならないで下さい。生まれてからわたしずっと男です。隠してるだけでちゃんとありますから。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ