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いつも月夜に血の宴  作者: 桂木 一砂
第二章:月夜の宴
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75.友人以上悪友未満でしょうか。


「……俺って、子守に就職したつもりはねえんだけど」


 フレッドが特に用もないのに、執務室にまで押し入って来るのはいつものことです。

 が、今夜はらしくなく、彼がひどく憔悴していることに気づいて、私は抱えていた頭を持ち上げて、椅子に座り直しました。


「……どうしました? 何だかものすごく疲れているように見えますが」

「見たまんま疲れてんだよ! おまえ俺を便利屋か何かと思ってんのか!?」


 がばっと向き直ったフレッドは、ご丁寧に人狼形態に変身して牙をむき出しています。

 漆黒の狼の顔は格好良いですし、いつも私がはやし立てるのですが、フレッドはそれが満更ではないらしく、たまにちょくちょく変身して見せることも多くなりました。

 人の国では人の目のある場所で、軽々しく変身なんて出来ませんからね。魔物として討伐されてしまうこともあるようですし。


 吸血鬼の天敵として、吸血鬼ハンターに身をやつしていることも多い人狼ですが、一般的な認識は、人を食う化け物ということから変わっていません。彼らが人肉を特に求めることがなくなり、人との共存路線を進むようになったのはごく最近ですからね。

 それでも、その進化を素晴らしいものだと、私は賞賛してはばからなかったわけですが……。


 私は自分なりに重々しい溜息をつきました。今は少しばかり、フレッドに構う余裕がないのです。

 フレッドも、私がいつもとすこし違うようすに気づいたのでしょう。ふと狼の耳を寝かせて、その首をかたむけます。


「……何だよ? あんたらしくもねえな。元気ねえけど、変なもんでも食ったのか?」

「吸血鬼ですので食べられません。というか、あなたじゃないのでそんなことで元気を失くしたりしません」

「うるせえな。……んじゃ、腐った血でも飲んだのか?」

「人体に腐った血が流れていたら、吸血鬼は号泣しますね。というかそれ、死体じゃないですか」

「……んじゃ、あのお嬢ちゃんにフラれちまったとか?」


 ぴくり、と眉が反応するのを防げませんでした。

 そしてフレッドはその些細な変化を見逃すような、甘い目は持っておりません。

 フレッドはやや心配そうな顔から一転、にやにやと不気味な笑みを浮かべています。狼の顔ですらわかるそれに、何だか腹まで立ってきます。


「へぇ~、ほぉ~? あんたもとうとうフラれたか。短い花の季節が終わっちまったな」

「フラれていませんし、終わっていません。フレッド、にやけた顔が不気味ですよ」

「さんざん人の恋路をはやしてくれた奴の不幸だからな、こんな顔にもなっちまう」

「……根性が悪いですよ」

「うるせえ。今までさんざんからかってくれやがって。たまには俺にもからかわせろ」


 フレッドが人狼形態を解いて、にやにやしたまま執務机までにじり寄って来ました。

 私はまたも頭を抱えます。正直、エリのことはもちろん、今はちょっと他にもいろいろと立て込んでおりまして、少々いっぱいいっぱいなのです。


 ……もちろん、目下一番の心配はエリのことなのですが……。

 彼女は数日前から、私に対する態度をすこしばかり硬化させてしまいました。


 それは、ほんのわずかの変化で、他からはわかりにくいものでしょう。

 話しかけてもいつもより一瞬返事が遅れますとか、笑いかけてもいつもの笑みよりすこし硬いですとか、ふと悩んでいる姿を見るようになりましたとか。

 もちろん心配だったので、彼女にたずねてみました。けれど、何でもないと首を横に振るばかりです。


 そう言われてしまえば、私からそれ以上何もできませんし、聞けません。さり気なく聞きやすい雰囲気を作ろうと、あれこれ小細工をしたのですが、エリはそれに見向きもしませんでした。

 物で釣っても駄目でした。甘いものやエリの好きなもの……、鹿狩りのための教師をつけようという話にも乗って来ませんでしたから、かなり難しい問題について思い悩んでいるようです。


 イザベラにも、思い当たる節はないのですか、とじっとりした目で見られてしまいましたが、私は情けなくも首を横に振るばかりです。

 数日前、寝る前にエリといちゃついていた時は、そうでもなかったはずですが……。

 一体、どうしてしまったのでしょう。

 エリに完全に嫌われてしまったわけでもなさそうですが、いつにない頑なな態度に、とても心配になるのです。




 頭を抱えた私がまたも重いため息を吐きますと、ふとフレッドの気配が変わりました。


「……何だよ。そこまで思い悩むこたあねえだろ? あれだあれ、倦怠期とかそういう奴。今までゲロ甘だったんだから、反動でそういうこともあるって! 気にすんな」


 私の悩みがそれなりに大きいものだと気づいてくれたようです。やっぱりいい奴ですよね、フレッド。

 ……でもゲロ甘とか、表現をもうちょっとこう、工夫していただきたいものですが。


 そして私が悩んでいるのは、エリのことだけではありません。

 むろん、エリのことだけに集中したい気持ちでいっぱいですが、いちおうこれでも領主なんて責任ある立場をやっているので、そうもいかないのです。


 ……まずひとつは、クリスたちの元へ謝罪に行くこと。

 これは決定事項です。クリスたちの吸血鬼ハンター狩りにおいて、私が足を引っ張ったのは事実ですし、結果としてクリスたちヘビの者は、不倶戴天の敵を完全に打ち倒すことが出来ませんでした。

 私の中では、クリスも、ハンター……ディートリンデも、どちらも敵対したくない相手です。甘い考えですが。

 これ以上、私は彼らの間に踏み入るような真似はしませんし、出来ません。許されないでしょうしね。

 ですがその前にひと言でも、例え門前払いを食らおうとも、クリスたちに謝罪をせねばならないのです。


 ……もうひとつは、フランチェスカ大公のこと。

 どうやら元老院として、クリスに私の監視を命令していたようですし、そこまでのご心配をかけてしまったことを謝罪せねばなりません。

 そもそも私の我儘で、際どいところまで行ってしまったのです。完全無欠に自業自得なので、こちらも謝罪する他ありません。

 ですが、こちらから大公閣下へお目通りするのは至極大変です。祭典や儀式以外で、ほとんど姿をお見せにならない方々ですし。私主催の夜会の時は、よほど特殊だったのです。

 ああ、その時も結果として大公閣下にわざわざご足労願ってしまったわけですから、そこも謝罪しましょう。

 何だか謝ってばかりですが、非がこちらにあるのと、相手が偉すぎるので仕方ありません。

 後になればなるほど怖いので、ディートリンデと別れて領地に戻ってすぐ、大公閣下あてに書状を出しておきましたが、さて、このまま問題なく謝罪の運びとなれば良いのですが……。


 ……そして、最後のひとつは、ビアンカのことです。

 吸血鬼ハンター狩りの時に居合わせた、ビアンカの姉妹ねいまい。もしかしたら母親か娘の可能性も無きにしも非ずですが、たぶん姉か妹のどちらかでしょう。

 フレイと名乗ったあの灰茶の人狼のことも、私は気がかりでした。

 何せ、一族から追放され、見限られたビアンカの血縁です。彼女が家族たちにどんな思いを抱いているかはわかりませんが、ビアンカの寂しそうな姿を目にする私としては、彼女がその繋がりを憎んでいるとは到底思えませんでした。

 だからこそ、フレイに便りを出して欲しいと伝えてしまったわけですが……早まったかもしれませんね。


 私は、ビアンカの事情をよく知りません。

 彼女が筆談で伝えてくれた断片から、前述のことは知っておりましたが、詳細までは彼女は語ってくれませんでした。

 なので、私がやったことは、余計なお節介……単なる善意だと思っていることの押し付けに他ならないでしょう。


 とはいえ、やってしまったものは仕方ないでしょう。吐き出した言葉の責任を取るだけです。

 それらしい手紙が来たら、何者にも目を触れさせずにまっすぐ私に届けるよう、双子たちにもお願いしてありますから、すぐビアンカの耳には入らないはずです。

 ……早く手紙が来て欲しいのか、はたまた来ないほうが良いのか。そして、そこに書かれる文字は何を訴えるのか。

 期待と不安、ビアンカへの心配と、気持ちの乱高下が激しいのですよね。

 どちらにしろじりじりと、私は何らかの報せを待っている最中なのです。




 ……それと私は、クリスのことは伏せて、吸血鬼ハンターと私が衝突したことを、フレッドに話しておきました。

 彼のハンターとしての交友関係は知りませんが、ディートリンデと共にいた人狼たちは、フレッドを知っているようすでしたし、親しい者もいたことでしょう。


 ……フレッドのかつての仲間たちを、私は死に追いやった。

 直接手は下さずとも、その手伝いをたしかにした。


 それを伝えることなく、今までどおりに彼と接することはできないと思ったのですが、フレッドはそれを聞いても、僅かに顔を暗くしただけで、ただ首を横に振るばかりでした。


「俺はもう、ハンター……いや、人間側からすりゃあ裏切り者で、吸血鬼側の立ち場だ。どのみちもう、どんな形でも関われない連中さ。あんたが何をしようが、どうこう言えるもんじゃねえ。それに、どうしてもあんたが気に食わないってなっても、あんたにゃ何もしねえよ。せいぜい、あの気に食わねえ吸血鬼だか大公閣下だか知らねえが、最後に殴り込みかけて、派手に散ってやる。だから、あんたが何を気にする必要もねえさ」


 そう嘯くフレッドの表情は、けれどどこか本気のものが潜んでおりました。

 そうなったら私は彼を止めねばなりませんし、フレッドもそれはわかっているでしょう。

 けれど、彼はどうやら、自分なりの決着を自分の中でつけているようです。

 そうであるならば、私からは何も言えません。ただ頭を下げるだけです。


 いつもどおりの態度でいてくれるフレッドに感謝して、私もいつもどおりに振る舞うのです。




 ……フレッドのことも心配でしたが、エリの他に、ビアンカを除いて出来れば避けたいこともふたつ。

 でもそのどれからも決して逃げられませんから、とっとと済ませた方が良いのはわかり切っているのです。

 ですが、なかなかやる気といいますか、気合が入らないのです……。


「……おい、本気で大丈夫か? 色恋沙汰は不治の病っつーけど、吸血鬼でもなんのかよ?」


 フレッドが心配した声で、つんつんと私の頭をつついてきます。

 いたって変わらない、いつもどおりの彼の態度に、私は何とも言えない胸のざわめきを覚えるのですが、それは表に出してはならない類のものでしょう。

 良い友なのです。ほんとうに、フレッドはいい奴です。

 ですから私もただ、いつもどおりの対応をするまでです。


 ……それにしても。

 私の髪を興味深そうにいじるフレッドですが、そんなしぐさが童顔と相まって、彼をより幼く見せるのですが、気づいていないのでしょうね。

 何だかその子どもっぽい動作が面憎く思えて、私は我ながら拗ねた声を出しました。


「……吸血鬼がかかる病もありますが、そこに(死に至る病)があるかは知りません。もしかしたら死んでしまうかもしれませんね」

「お、おう、そうなんか? まあ、元気出せよ」


 いつもと違う調子に、フレッドもいつになく焦っているようです。不思議ですね。

 でも気の置けない友人とこうしていると、やはり気が紛れるようです。


「……フレッドは元気ですよね。そういえば人狼って月夜のほうが変身しやすいと聞きますけど、極夜の国のほうが楽なのですか?」

「あからさまに話題を変えやがったな。……あー、でも、確かにそうかもな。こっちの月ってでっけえけど、あっちの国で見る月と何か違うのかよ?」

「天体自体が違います。人の国で見られる月は、いわゆる衛星で、大地と連動しています。こちらの月は“無月むげつ”と呼ばれるもので、ご真祖が作ったとされる人工的な星ですね。特殊な自転と公転をしていて、こちら側でしか見れません。あと、ふだんはあおいのですが、たまにあかく見えます。年に数回ですから、まだ見たことはありませんか? 祝祭日の月は紅くて綺麗ですよ」

「……て、テンタイ? エイセイ? ジテン? コウテン?」


 フレッドが疑問符をめいいっぱい浮かべておりますが、このくらい極夜の国ではヒューゴくらいの子どもでも知っています。

 と……。


「そういえば、フレッド。ユリウスがどうかしたのですか? 子守というか、しばらくの間の護衛と、アマデウス領の案内をお願いしていたでしょう?」


 子どもで思い出しましたが、ユリウスのことです。フレッド面倒を見てもらうよう、お願いしていたのでした。先ほども子守がどうとか言っておりましたし。

 ローラのお気に入りの彼は、ここアマデウス領に編入しました。ローラの後ろ盾もありますし、正確にはお客様の立場です。私が世話をしなければなりません。


 ふつう、領地に新しく編入される人間には、新しい戸籍と家が与えられ、給付金が支払われます。

 給付金で生活資金を賄え、全ての公共機関が無料で使える三年以内に、職なり、たつきを立てる道なりを見つけるものなのです。

 まあそこで問題があっても、それ以降も、収入のあてがなければ保護支度金が支払われるわけですが、今はさておき。


 自立のための制度に乗っ取って、人はそれぞれの道を見つけるのですが、それは成人した者に限り、保護者のいない未成年はまた違う手続きが取られます。

 ユリウスに近親者はおりませんでしたし、吸血鬼によって極夜の国に編入……ぶっちゃけ連れ浚われて来た立場です。

 血縁や保護者のいない孤児は、養護施設に入ることがふつうですが、ユリウスはそういった子どもたちと立場が違いますので、今現在は私の保護下、アマデウス城に住んでいます。


 ですが、さすがに私がずっと面倒を見ることは出来ません。いちおう領主の仕事もありますし。

 なので、生活の面倒はマリアたちに、そして護衛にフレッドをつけて、しっかりと守ってあげるよう、お願いしていたわけですが……。


 どうやらユリウスは、人狼のフレッドをげんなりさせるくらい、元気になってしまったようですね。

 まあ、エリもヒューゴも同じように、今はすっかり元気いっぱいで、かつては病弱であったことなど忘れるほどです。月下薬がよく効いて何よりです。


 ユリウスはまだ幼く、吸血鬼のこともよく知らないくらいです。

 好奇心旺盛で、なかなかにあのマリアの手を焼かせているようですから、しばらくの間は好きにさせようと思いました。アマデウス領のことを知るのには、どうやら城下にたびたび遊びに行き、ならばここにも詳しくなった元ハンターのフレッドに任せるのが一番良いと思ったのですが。


 あのふてぶてしいフレッドをこれほど疲労させるほど、ユリウスは難敵だったのでしょうか。


「……聞いてくれよ。あのガキ、何でもかんでも質問攻めにしやがる。なんでここの月は蒼いのかってところとか、夜しかないのは何でかとか、吸血鬼の国なのに吸血鬼があんまりいないのはどうしてかとか、変な魔法の道具があるけどあれはどういう仕組みだとか……。んなことまで知るかよ!? ヒューゴよりひでえぞあれは!」


 くわっと目を見開いて私に詰め寄るフレッドですが、子どもですから仕方ないのではとしか思えません。

 そういうものですしね、小さな子どもは。何でもかんでも知りたがるものです。


 ……ですが、ユリウスは特に興味というか、関心に対する行動力が半端ないと申しますか、やたらと思いきりと元気が良過ぎるようです。

 まあ、今まで病弱で動けなかった反動もあるのでしょう。

 エリだってなかなかアウトドアに拘っておりますし、ヒューゴだって学園の部活動で活躍しているそうですしね。そういう傾向が強いのはいた仕方ないのかもしれません。


 ……あ、エリのことを思い出したら、まだ気持ちが重くなってきました。

 ずーんと沈む私に、フレッドはなおもぶつぶつと文句をこぼしてゆきます。


「っつーか、ガキにはガキをあてるもんだろうがよ。ヒューゴはまあ……学校に行ってるから仕方ねえけど、他に働いてるやつの子どもとかをつけてやれよ」

「……この城にフレッド以外、暇をしている者はおりませんから。それにそんなことはさせられません」


 それはどう考えてもパワーハラスメントとなるでしょう。従業員に契約外の、しかも当人以外のそれも子どもに仕事をさせようだなんて、どんなブラック企業ですか。

 もし万が一従業員が許してくれたとしても、すくなくともアマデウス領では、子どもの就労は特例を除き認めておりませんから、まず不可能です。訴えられてしまいます。


 新しく人を雇っても良いのですが、ちょうど良い要員がいるのですから、それを活用しない手はないでしょう。

 ちゃんとフレッドには、護衛料として対価は払っておりますし……、もちろん、マリアに管理させておりますが。


「……フレッド。いい加減働きなさい」


 私がにっこり笑うと、フレッドはあからさまにぎくりとしたようでした。

 つつ、とその額に一筋の汗が流れるのに気づいて、私は意気揚々と机の引き出しを開けました。


「ちょっと前にも思ったのですよね。人狼も力持ちですし、フレッドも体を動かすほうが好きでしょう? 人狼の能力を発揮できる、良い職場がないか調べて、いくつか――」


 求人情報が記された紙束を手に顔を上げると、執務室には、もはや誰の姿もありませんでした。

 ……私が視線を引き出しに落とし、引き出しを引いて紙束を取り出すまで二、三秒でしょうか。そんなわずかな隙を突き、吸血鬼の気配察知と感覚を見事欺いてみせた、神技です。

 流石元ハンターですね。ですが私の口からは、感嘆の息など漏れません。


「……あの野郎」


 くしゃっと紙束を握り潰してしまいましたが、これは私が悪くないでしょう。

 ここアマデウス領では特例を除き、就労は義務です。……あまり厳しく守られていませんけれどね!

 けれどそれでも、人は生きがいや暇つぶしを求めて働いたり、何かに挑戦したり、趣味に没頭するものなのです。仕事にもいろいろあるのですから。


 フレッドだって真面目に……いや、それなり? に、ハンターとして働いていたのですから、働くこと自体が嫌いではないはずです。

 このままじゃ、ビアンカに会わせないようにしますよ、ほんとうに。


 ぶつぶつ呟きながら、私は自分で握り潰してしまった資料を、ていねいに執務机の上で伸ばしました。

 ちょうど執務室へやって来たルーナが、そんな私を見てきょとんとして心配されてしまったので、何でもないですよと表情筋をせいいっぱい働かせて答えました。


 ……ああ、ディートリンデ・ヘルシング。あなたからフレッド宛ての手紙はまだですか。

 フレッドに働けって手紙を出すよう、お願いしましたよね?


 よりにもよって、最も恐ろしい相手からの便りを心待ちにするという境地に陥りつつ、私は仕事に戻ったのでした。



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