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いつも月夜に血の宴  作者: 桂木 一砂
第一章:吸血鬼の夜
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10.新たな発見です。


 ほんとうに困りました。

 話は聞くだけ聞きましたし、試せることは試しました。これでは八方塞がりです。このぶんではどうやら、限界まで血を断つ方法も無意味でしょう。

 人になる方法を探すことも、戻る努力もしましたけれど、まったく結果が伴いません。


 努力だけはしたのですが、これだけでエリの元へ行くのも、すこしばかりはばかられました。

 果たして彼女は納得してくれるでしょうか。

 吸血鬼になってもいい、と言ってくれるでしょうか。


 ……限られたエリの時間を、せめて彼女の側にずっといることだけで、満足すべきなのでしょうか。 


 私が憂鬱そうなのを見て取ってか、クリスは小さく苦笑を浮かべました。


「……まあ、君の場合は、他の方向からアプローチすればいいんじゃないかな」


 クリスは再びゆったりとソファに座ると、今度は女性を膝の上に乗せました。

 ……さっきからずっと、目のやり場に困っているのですが、ちょっと何とかなりませんかね。

 気を取り直して、私は居住まいを正します。


「……ええと、他のアプローチと言いますと?」

「そのエリーゼって子は病気なんだろう? 長生きできないから、一緒にいられるのもわずかだ。だから彼女を吸血鬼にしたいけど、それは嫌がる。一緒にいるなら人になって欲しいっていうのが、彼女の望みなんだろう?」

「ええ、そうです」


 私がうなずくと、クリスは何か問題でもあるのか、というようににっこりと笑いました。


「彼女は吸血鬼になりたくないし、君は人に戻れない。それでもせめて、すこしでも長く側にいたいというのなら、彼女の病気を治すべきじゃないかな」

「それは、そうですが。彼女はちゃんとした医者にかかったことがあるようですけれど、どうやら生まれつきの持病らしくて、完治できないものだとかで……」

「君が治してやればいいんじゃないかな?」

「無理を言わないでください。私は医者ではありませんし、その知識もないですよ」

「君にはその血があるじゃないか」


 クリスの言葉に、私は首をかしげました。

 私が”真血”持ちなのは知ってはいますが、それが何だというのでしょう。

 彼は悪戯っぽく笑いながら言いました。


「君のその“真血”。吸血鬼に力を与えるって言ったけど、他にもあるんだ。それはね、人にとっては薬になるんだよ。何せ、生きた屍たる吸血鬼に力を与えるほどの血だ。それを薬にすれば、きっとその子の病気も治せるよ」

「ほ、ほんとうですか!?」


 私はまたも、ソファを蹴り飛ばしかねない勢いで立ち上がりました。

 クリスは微笑みながら、自信たっぷりにうなずいています。


「聞いた限り、遺伝的な病なんだろう? 血に係わることなら吸血鬼の得意分野じゃないか。だったら問題なく治せるはずだよ」


 真血にそんな作用があるだなんて初耳です。

 根本的な解決にはなりませんが、その話は非常に喜ばしいことでした。


 エリの病を治せれば、彼女の苦しみを取り除けますし、それだけ長く一緒にいられます。

 それが、私の血をどうにかするだけで、何とかなるというのです。

 私は勢い込んで、テーブルの上に両手を付き、身を乗り出しました。


「そ、その、私の血を薬にするというのは、どうやるのでしょうか」

「まあ、落ち着きなって。ちゃんと教えるよ」


 彼はまるで、やんちゃな弟を見守る歳の離れた兄のような、慈愛深い顔で私を見つめるのでした。




 クリスに聞いた、“真血”を用いた薬……“月下薬”の作り方は次のとおりです。


 まず、無色透明のガラス瓶を用意します。形はどんなものでも良いですが、しっかりとふたが出来て、光をよく通す透明度の高いものが良いそうです。

 その中に真血を一○○ccに聖水を四○○ccを入れます。そこへ銀をひと粒に、ホワイトビネガーを二、三滴加えます。そこへセージ、ローズマリー、ラベンダー、タイム、バジルなどの薬草ハーブを浸して、しっかりと蓋をします。

 そして満月の夜、その月光にまんべんなく晒して魔力を込めます。

 そのまま月齢が一巡するまで月の光に当て続ければ、月下薬は完成するそうです。


 満月までやや日数がありますが、私はさっそく取りかかろうと思いました。

 月下薬の材料には、吸血鬼が苦手とするものが多いですが、私には問題ありません。聖水と銀の粒を除けば、そう値の張るものもありませんしね。

 一番入手困難な“真血”は、自分の手首でも傷つければすぐ手に入ります。エリのことを思えばどうということもありません。


 吸血鬼から人になる方法を探し、実験したことは、残念ながら無駄骨を折る結果となりました。

 けれど、エリに思いもよらぬお土産ができたようです。私はそのことだけでも満足でした。


 それに、彼からはもうひとつ、重要な情報を得ることができました。


「その人が必ず吸血鬼になれるかどうか、ちゃんと調べる方法もあるよ。僕の血族でも、吸血鬼になれる素質がない人を吸血して放置すると、力のない吸血鬼や理性のない出来損ないになってしまうことが多いからね。仲間を増やす時にも慎重に調べるんだ」


 クリスが言う方法は、至極簡単なものでした。

 吸血鬼の血をコップ一杯用意します。どの血族でも構いません。その血の中に、吸血鬼としたい人の爪や髪の毛など、体の一部を加えるのです。

 それで血が変色したら、その人には素質がありません。血に何も変化がなければ、その人は吸血鬼となれるそうです。

 また、吸血鬼になる素質のないと判断した人でも、吸血鬼になる可能性は実はゼロではないそうです。ですが、たいてい半端であったり、ひどく弱々しくなってしまうのだそうです。なのでお勧めはできません。

 そんな方法は、ミラにもローラにも聞いた覚えがありませんでした。


「まあ、ふたりともそれなりに年寄……ごほん、長く生きているからね、うっかり忘れていたんだろう。寿命がない者は、案外仲間を増やす必要がないものなんだよ。たまに気まぐれでお気に入りの人間を吸血鬼に変えようとするだけで、素質のあるなしはあんまり気にしてないんじゃないかな。吸血鬼になれなかったらなれなかったで、残念だなあと思うだけさ」


 その言葉は恐ろしいものでした。ミラが私を吸血鬼にした時も、そんな気まぐれだったのでしょうか。

 幸い私は素質があったのか、特に大きな問題もなく吸血鬼となり、そして“真血”持ちとなりましたが、もしなり損ないとなったら、二度も死ななければならないところでした。


 エリはどうでしょうか。万が一、彼女が吸血鬼になってもいいと言ってくれたら嬉しいですが、それはまだわかりませんし、望み薄でしょう。

 けれど、もしかしたらそうなる可能性も考慮して、あらかじめ調べておいても良さそうです。


 私はすこしばかり気持ちが浮上して来たのを感じました。

 とにかく、またエリにご機嫌伺いに行けます。薬を準備もしなければなりません。

 私はいそいそと席を立ちました。


「クリス、ありがとうございました。では私はこれで」

「待った」


 さっと部屋を出ようとした私の肩を、吸血鬼の恐るべき怪力でクリスが引きとめました。

 ……ちょっとだけ、指が食い込んでいます。痛いです。


 私は恐る恐る、彼を振り返りました。クリスは文句のつけようがない麗しい笑みを浮かべています。

 にっこり笑ってごまかそうとしましたが、彼は無言のままでした。

 言いたいことはわかります。


「僕には血をくれないのかな? アベル」

「えーと……」

「僕は役に立ったよね? それに、僕たちは友達だろう?」

「……ソウデスネ」


 事実、彼の話はとても有意義でした。ですのでお礼をしなければなりません。

 血をあげること自体は全く構わないのですが、やはり彼も生き血にはこだわりがあるようです。クリスもまた類稀な美形ではありますが、私にそちらの趣味はありません。

 私は溜息をつきながら、それでも最後の足掻きをしました。


「……首元じゃなくて、腕でも良いでしょうか?」

「そっちはあんまり好きじゃないなあ。噛みつきづらいしね」


 壮絶な笑顔を向けられて、私は観念しました。溜息を小さくついて、ローラにした時のように襟元を緩めます。

 クリスの整った顔が近づくのを気まずく思いながら、ふと見ると、あの娘さんがややぼやけた視線を私に向けているのに気付きました。

 これはあれです。嫉妬的な表情です。乙女のいじらしい感情が、奔流のように私を打ちました。


 首元に冷たい息がかかり、肌に牙が食い込むのを意識しながら、私は必死に彼女から目を逸らします。

 そういう感情は、私は彼にいっさい抱いておりませんので、どうかそんな目で見ないでください……。




 首筋が痛んで、私はすこしばかり難儀しておりました。

 吸血鬼に噛まれても、人はそう痛みを感じません。吸血鬼の唾液や牙には、痛覚を鈍化させ、意識を朦朧とさせる作用があります。なので一度噛みついてしまえば、相手の抵抗はなくなるのです。

 ですがそれは、吸血鬼に対しては関係ないもののようです。多少、頭がぼんやりするくらいはありますけれど。


 ローラに噛まれた時は、見た目十歳程度の小さな女の子、その小さな口と牙でしたから、さほどではありませんでした。だいぶ血を吸われたので、貧血のほうが気になりましたし。

 一方クリスはそこそこがっしりした青年で、決してなよなよはしておりません。男性の吸血鬼に噛まれたのははじめてでしたが、これほど痛みが続くのであれば、出来れば二度と噛まれたくはありません。

 彼に頼るのはほどほどにしよう、と心に決めた私でした。


 それから慌ただしく、私は色々な準備を進めました。

 まずはローラの居城へ三度伺い、クリスの言っていた月下薬がほんとうかどうかの再確認を行います。彼を信じていない訳ではありませんが、勘違いや覚え違いもあるかもしれません。

 吸血鬼の血を使った薬をエリに飲ませる訳ですから、慎重に事を進めなければならないのです。


 今回は幸いにも、ローラは在宅ならぬ在城しておりました。吸血鬼、それも貴族がそう軽々しく訪問するのではないとか何とか、ぶつくさと文句を言われてしまいましたが、何だかんだで相手をしてくれます。

 私がクリスから聞いたことは伏せ、真血で作る薬のことを彼女に聞いてみますと、ローラはその可愛らしい小首を傾げて私を見ました。


「はて、そんな薬もあったような気はするが……しかしぬしは、ほんに変わり者じゃな。人にくれてやる薬などどうでもよかろうて。人の病など、吸血鬼になればすべて解決するのじゃからな」

「そうかもしれませんが、素質が無かったら吸血鬼になれないでしょう? 吸血鬼になりたくない人もいるでしょうし」

「その時はその時じゃ。吸血鬼になりたくないなどと言われても、力づくで吸血してしまえば良い。吸血鬼になれなかったらそこまでじゃ。……ぬしとて吸血鬼になりたいと望んだ訳ではあるまい?」

「そうかもしれませんが、そうしたくはないんですよ」


 彼女との会話で、微妙に話の趣旨がずれるのは仕方ありません。

 純血の吸血鬼と元人間の吸血鬼、それに吸血鬼として生きて来た年数が違い過ぎますから、こんなものです。元人間のクリスですらそうなのに、ローラほどの吸血鬼であれば、吸血鬼同士でもその溝は案外深いものなのです。


 とにかく、ローラからも裏取りが取れ、彼女の城にある巨大な図書室にあった文献にも、何とか記述が残されているものを発見できました。

 だいぶ古い本で、真血についてのわずかな記述の他に、それがいかに尊いものであるかがつらづらと記され、そのほんの片隅に、ついでのようにその血が人にとっての薬となると、最低限の情報が記されておりました。

 月下薬は、どうやら先天性のもの……生まれながらに持った病は完治させることのできる薬のようです。後天的な要因でかかった病なども、完治とまではいきませんが、かなりの効果があるようです。


 それにしても、人にとっては大層な情報であるのに、吸血鬼の文献だからか、非常にあっさりとしか記されていません。

 これでは、真血が薬となると知っているのは、よほどの知識人か変わり人か、それくらいしかいないでしょう。人であった頃も、真血とか吸血鬼の血が薬になるとは聞いた覚えがありません。ローラも忘れていたくらいですから、よほどでしょう。

 つくづく、クリスを訪ねて良かったと思います。持つべきものは友ですね。


 月下薬を調合するのは満月の夜が良いと書かれていたので、材料だけ先に手配しておきます。

 それから私は久しぶりに、エリに会いに行きました。 




「久しぶりって、まだ一週間も経ってないでしょうに」

「私にとってはそう思うくらい、長い間だったのです」


 久しぶりに見たエリは、いつものテラスの安楽椅子に腰かけてぼうっとしておりました。

 夜の闇の中、淡い月の光の中でも、その姿は遠目にもはっきりとわかりました。惚れた欲目という奴でしょうか。

 うきうきしながら私が声をかけますと、エリはまるで幽霊でも見たかのように目を丸くしていましたが、やがて困ったように微笑んでくれました。

 どうやら今夜は体調が良いようで、私はほっと胸を撫で下ろしました。


「もうしばらく会えないと思ったんだけど……何? もしかして、吸血鬼から人になる方法でも見つかったの?」

「いえ、それは見つかりませんでした。いろいろと試してはみたのですが」


 私は、エリと約束してからこれまでのことを、かいつまんで話しました。

 ローラから聞いた、吸血鬼の弱点に晒される苦行をすれば人になる、という話を実践してみたことを話すと、エリは盛大に呆れた顔をしました。


「そんな変な話聞いたことないわよ。担がれたんじゃないの?」

「いちおう、話自体はあったみたいですよ。限界まで陽の光に当たるとか、聖別されたものに囲まれるとか。悪魔祓いとごちゃ混ぜになっている可能性も無きにしも非ずですが」

「……そんな適当な話を聞いて、よくやろうと思ったわね。あなたそう強く見えないし、大変だったんじゃない?」

「いえ、それが」


 私がそれらの吸血鬼の弱点に強い耐性……むしろ弱点にすらならなかったことを話すと、エリはきょとんとした表情を浮かべ、それからそれが驚愕の色に染まりました。


「え? ……あ、あなた、デイウォーカーだったの? そんなに強いの? 若く見えるけど、アベルったら何歳なのよ?」

「人として死んだ時は十九歳でした。吸血鬼になって十年ほど経っていますから、合わせて二十九歳ですね。というか、吸血鬼に外見年齢はほぼ当てはまりませんよ」


 ローラなんて見た目は十歳くらいでも、正確には九百九十八歳だったはずです。

 寿命のない種族なのに、それを言うと彼女は機嫌を損ねてしまうので、あまり口にはいたしませんけれど。

 ミラも成人女性に見えましたが、実年齢はそれくらいだったはずです。クリスも二十歳前後に見えますが、ミラやローラほど生きてはおらずとも、百や二百では利かない歳を重ねているでしょう。

 はい、全員外見的にまったく実年齢が合いません

 吸血鬼の外見は、ふつうは吸血鬼となった年齢で固定されてしまいますし、そこから成長も若返りもしないのですから当然ですね。吸血鬼には永遠の寿命があるのですから、年齢は強さを測る基準にしかなりません。

 ローラは純正の吸血鬼ですから、もうすこし外見年齢がいっても良いのですが、これにも個人差があるのでしょうね。


 エリはきょとんとしてから、それから思わずといった風にうなずきました。


「あ、ああ、それもそうね……。でも、アベルは十九……足して二十九なんだ。思ったよりずっと若いのね。吸血鬼になって十年ってことは、吸血鬼としてもまだ若いわよね? なのに、そんな弱点がないの?」

「吸血鬼の血族的なもので、そもそも弱点に耐性があるほうだったのです。ついでに私はすこし特殊らしくて」


 弱点まみれの吸血鬼ですが、歳を経るごとにそれに強くなるのは周知の事実です。

 陽の下を歩ける吸血鬼(デイウォーカー)もいるにはいますが、陽の光はどの種族もかなりの弱みになり、克服しきった吸血鬼の数はそう多くありません。

 基本的に完全な夜行性ですしね、吸血鬼は。昼のない、極夜の国に本拠があるくらいですし。

 私は陽光がまったく平気だと知りましたけれど、それでも積極的に日中に動こうとはあまり思えません。


 とにかく、私はエリに、それらの苦行は意味を為さなかったこと、どうやら吸血鬼から人へ戻る方法はないらしいことを伝えました。


「千年近く生きている大吸血鬼や、だいぶ顔の広い友人たちにも聞いたのですが、どうもかんばしくなくて……もっと吸血鬼の知り合いが多ければ、実りのある話が聞けたかもしれません」

「……そう。まあ、ふつうはそうよね、わたしもわかってた。でも……」


 私が悔しげに呟きますと、エリは目を伏せ、どこかつらそうな表情をしておりました。それを見れば、彼女も吸血鬼になることを受け入れられずにいるのは見て取れます。

 それについては構いません。ずっと一緒にいられないのはつらいですが、エリが決めることですから、寂しいなんて思ってはいけません。

 それよりも、私は彼女に伝えなければならないことがあります。


「そんな顔をしないでください、エリ。私はあなただけに苦しい選択を押しつけるつもりはありません。それより、耳寄りな情報があるのです」

「……耳寄りな情報?」


 エリはまだどこか済まなそうな表情でしたが、私の話に興味を持ってくれたようでした。

 私は努めて明るく、クリスに聞いた月下薬の話を彼女に伝えました。


「その薬があれば、エリの病気が治せるはずです。調合と完成に、月齢が一巡するまで……一カ月近くかかってしまいますけれど」

「……ほんとうなの? それ……」


 エリは両手を胸に置いて、ぎゅっと握りしめました。その表情は、どうしたらいいかわからないと雄弁に語っています。


「聞いて調べた限りは。期待していてください」


 にっこりと笑って、彼女に安心するよう懸命に伝えました。

 エリはしばらく、何も言いませんでした。無表情のまま、何かを必死に考え込んでいるようでしたが、私はそれを妨げずにただ黙って側にいました。


 やがて唐突に、エリがぽろりと大粒の涙を零しました。前触れも何も無かったので、私はすこしばかりぎょっとしました。

 彼女を見守るうちにも、次から次へと涙が溢れているようです。私は躊躇いましたが、そっとその肩に手を触れ、優しく抱きしめました。

 エリはなおも泣いていましたが、抵抗することもなく、その赤毛の頭を私にこすりつけてきます。

 私はそのまま、エリの気が済むまで、そのか細い体を抱きしめておりました。



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