転生者との出会い1
(・ω・)ノ
ドサドサドサっ
タンっ
「はぁ、重かった。思わず放り投げちゃった。大丈夫かなー?」
世界渡りをして転生者リストに載っている人達のところに来たハリエル
パネルを開きつつ
「あーっと、この辺に一人目がいるはずなんだけどなー?」
周りをキョロキョロみて場所確認をする
「あぁ、この屋敷か。ここにいる10代の女の子だな。さて、早く行くとしよう。」
パネルで名前などの確認をしつつ堂々と屋敷に入って行く
屋敷の庭を歩きながら転生者リストの少女、“暁 琴子”を探していると
(あれは、 ただの犬ではないな。何が憑いているんだ?・・・?!あれは!!)
庭には暁 琴子と思わしき少女と痩せっぽちな子犬がいた
「はじめまして、暁 琴子さん?」
誰もいないと思っていたのに背後からいきなり声をかけられ慌てて振り返る少女
そこには先程まで自分が話しかけていた子犬を抱く女がいた
「あなたは誰ですか?それにいつの間にその子を」
訝しげに、警戒心満載で話しかけてくる少女
「あぁ、そうだね。私のことはハリーとでも呼んでくれ。暁 琴子。それとコレはどうしたのかな?」
なんてことないように話しつつ腕の中に抱いた子犬を指し聞いてくる女
「その子はあたしの祖父が蔵に閉じ込めてたのよ。祖父が言うには何百年も前から閉じ込めてきた守り神だそうだけどね!こんな酷いことしておいて守り神も何もないのに!!」
話すうちにヒートアップして行く少女
「なるほど、コレはあの座敷童か。力の大半を失い犬に取り憑いたか。しかも病気持ちで長く生きれぬ子犬とは、な。」
少女の言葉で理解したように頷き言い当てる女
「あ、あんた知ってるの?!なんでもっと早く助けてくれなかったのよ!!そうしたら!「甘いことを抜かすでない、小娘が。何故人間どものしたことにわしが出て行かねばならぬのじゃ。それにコレには近いうち迎えに来るとは伝えてあった。」・・・・え?そうなの?というか、人間どもってあんたは一体・・」
甘いことを抜かす少女に苛立ち言葉を遮り喋る女
その内容に怪訝そうな少女
「良いか小娘。わしはこやつをはるか昔より知っておる。しかし掟を掻い潜り会いに来るのは大変でな。わしが仕事のつでにここの近くに来た際に迎えに来るとは言っておいた。だと言うに忌々しいおぬしの先祖が蔵に更なる結界を施したおかげで蔵に入れんくなった。好機を狙っておるうちに仕事でこちらに来れなくなっていた所におぬしがコレを見つけた。そして助け出した。だがな小娘、コレはおぬしには感謝しておるようだがこの家そのものには恨みを持っている。それを今更なかった事にして過ごすことは出来ぬよ。」
淡々と、それでいて憎しみを押し込めて話す女
「そんな・・・・、そんなこと言われてもどうしたら・・・。それに確かにご先祖様たちがやってきたことは酷いし、あたしも許せないけど・・・、でも・・・。」
困惑したように涙目で俯く少女
「小娘、いや暁 琴子。家族が、血筋が憎いか?憎いのであればわしについて来い。ここではない世界でコレやわしと新しい人生を歩まんか?なに、向こうではわしを頼れば良い。どうだ?わしと来んか?」
囁くように、だが確実に転生したくなるように仕向ける女
「キューンクゥ〜ん…………」
腕の中で鳴く子犬
「あぁ、すまぬ。遅くなってしまったのぅ。約束通り迎えに来たよ、クロ。子犬での短い生が終わるまでわしと行動しような。子犬での生を終えたらおぬしもこことは違う世界に転生させてもらえるよう掛け合うからのぅ。」
それはそれは優しく子犬に話しかける女
それを見ていた少女は決心がついたのか顔を上げ
「あたし、あなたについて行きます。どうすればいいんですか?」
迷いのないまっすぐな目でこちらを見る少女
その様子に頷き女は
「おぬしの決意受け取ったよ。今日から1年後、おぬしは死ぬ。死した後はわしの知り合いが迎えに来よう。それまでに身辺整理を済ませてしまいなさい。その後のことはまた1年後に話すとしよう。」
それまでとは違った穏やかでいて威厳のある声で喋り出した
その声を聞き、少女は頷き一度子犬に視線をやったがすぐに真っ直ぐに女に向き直り頭を下げた
「あたしの代わりにその子のことお願いします。それと1年後はあたしのこともよろしくお願いします。」
その様子に頷き少女の頭を撫でてやる
「任せておれ。おぬしのコレもわしが面倒見てやろう。ではまた会おうぞ、暁 琴子」
少女に笑いかけ腕の中の子犬ごと一瞬のうちに姿を消した女に少女は
「1年後、か・・・・。よし、今からやらなきゃいけないことは山盛りだ!!頑張るぞ〜!!」
と、意気込んでいたが
「そういえば、どうやってあたしの名前知ったんだろう?只者じゃないのはわかったけど、どうやったんだろう?」
疑問が残り頭を傾げるのであった
ざぁぁっ
「ここまで来ればよかろう、クロや迎えに来るのが遅くなってしまってすまんかった。」
少女の家から遠く離れた森に移動してきたハリエルは腕の中の子犬に話しかけた
「クゥ〜んキューゥん」
その声に応えて鳴く子犬
「これからはずっと一緒だよクロ。とりあえず少女の姿になってしまうが器を用意してもらってくるよ。美味しいご飯食べながらわしの仕事に付き合っておくれ。」
腕の中の子犬ことクロに話しかけながら撫でる
「クゥ〜んクゥ〜んきゃんきゃん!!」
元気良く答えるクロ
「そうだのぅ。器が来るまではこの姿のままだが何か食べようか。クロはどんなものが好きかのぅ?」
犬と楽しそうに穏やかに話す女
傍からみれば気狂いである
「とりあえずではあるが色々作ってやるからあまり興奮するでない。」
美味しい食べ物と聞いて興奮したのか手足をバタつかせる子犬を宥めながら歩く
「きゃんきゃんキュゥ〜んきゃわんきゃわん!!」
「そうじゃのぅ、ここでの仕事が終わるまで時間はある。食べ歩きも良いのぅ。ゆっくり行くとしような。」
幸せそうな一人と一匹であった
どうでもいいけど仕事しろよ!!
くろわんこ様との出会いですよ〜
ちなみに少女は後のモモちゃんですww