お仕事開始3
「ふむ、なるほど。こうすると・・・・。うん、わかりました。商談成立ですね。これからよろしく頼みます。」
一人でブツブツ呟いて考え事していたバリーだが、納得したのか笑顔で握手を求めてくる
「ええ、こちらこそよろしくお願いしますね。バリーさん。」
笑顔で握手に応じるハリエル
「はい、ハリエルさん。ところで今後はどうやって連絡を取り合いましょうか?伝書鷹でも使いますか?」
ハリエルの笑顔にドギマギしつつ連絡手段を考えるバリー
「あぁ、心配には及びませんよ。私のこの子を使いますから。」
そう言いつつ懐から小さなリスを出す
「リス?ですか?」
リスをどうするんだという視線をよこすバリー
「この子は私の従獣でしてね、どんなに離れていても私に念話を飛ばして会話することが可能なんです。」
そんな視線もどこ吹く風で笑って話すハリエル
「ほぅ、すごいですね。念話ですかー。………………ん?ということはこのリスは幻獣の一種ですか…………?」
ハリエルの言葉を理解してから一瞬間を開けてとんでもないことに気がつく
「そうなりますね。あぁ、この子は話すことも出来ますから困ることは少ないと思いますよ。」
淡々と話すハリエル
「はぁ・・・・?いや、そういう問題じゃぁないような・・・?」
理解が追いつかないバリー
「大丈夫ですよ。この子、リリーは頭のいい子ですし主人の命令以外は聞かないですし、それに許可した者以外には触ることはおろか声すら聞こえませんから。」
バリーの様子に気が付いていながら気にせず話を続ける
「そうなんですか・・・・。えっと、話せるって・・・?」
理解が追いついてないせいで呆然と返すバリー
『主殿、この者は大丈夫なのですか?何やら抜けておるように見えますが?』
突然リスが喋り出す
「リリー、人とはこんなものさ。理解が及ばないことにはこの様な反応だよ。」
サラリと酷い言いようである
『なるほど、理解いたしました』
可愛らしい仕草で頷くリス
「ところでリリー?相も変わらず見た目に似合わぬいい声だね〜。」
くすくす笑いながらとんでもないことを言う
『仕方がありません。人型も取れなくはないですがこの姿の方が何かと楽ですので。』
些かむっすりとした声で答えるリスことリリー
「ふふふ、艶麗な男性の声で喋るリス。この光景はいつ見ても面白いよ。しかも口調も堅苦しいしね。」
堪えようともせず笑うハリエル
『主殿も人が悪い。私は騎士らしくしているだけです。主殿が望んだ通りに。』
憮然と答えるリリー
「そうだったかな?ふふふ。・・・・・・ん?」
笑っていたと思ったら突然黙り込んだ
『主殿?如何致しました?』
突然の様子に声をかけるリリーだったが、すぐに理解した
『なるほど、主殿、急いで向かった方がよろしいかと・・・』
「うん、そのようだね。バリーさんそろそろしっかりして下さい。私はこの後予定が入ってるのでもう行きますよ?」
バリーの顔の目の前で手をヒラヒラと振る
「・・・へ?あ、はい。ええっと確かにお預かりします・・・。」
些か呆然としているが、ちゃんと答えたバリー
「ええ。では何かありましたらリリーを通じて連絡下さいね。それではまた。」
頷きリリーに目配せをしてからその場から踵を返し歩き出す
『主殿、お気をつけて』
「あ、えっと。はい、また。」
歩き出したハリエルの背に返事を返した
『では改めて、リリーと申します。これから主殿との連絡役を担うことになりました。よろしく頼みます。』
堅苦しい喋り方でバリーに挨拶をしたリリー
「ぅえ?!しゃべった?!・・・あ、そうか。えぇっとよろしくお願いしますねリリーさん」
我に返ったと思っていたがまだ返ってなかったようで驚くバリーだったが、今度こそちゃんと返り返事をした
『うむ、私のことはリリーと呼び捨てで構いません。主殿の命でもあります故。』
頷きやはり堅苦しい喋り方のリリー
「あ、はい。わかりました。ところでリリーは声からして男性…………ですか?」
恐る恐ると言った感じで聞いてくるバリー
『私達幻獣にとって雌雄の区別は基本的にあまりありませんよ。ですがそうですね、私の種族には雌雄の区別があります。そして私は雄ですよ。』
なんてことないように淡々と話すリリー
「そうですかぁー。見た目が可愛いので違和感がちょっと・・・・。」
汗をかきながらどうしたものかと手の中のリスを見る
『あぁ、声を変えることも出来なくはないですが、主殿がそばにいないと少し難しいですね。』
バリーの言う違和感が声だと思ったリリーはそう答えた
「あ、いえ。大丈夫ですから。これから一緒に旅する仲間ですから何かあったら言ってください。」
バリーは(声だけじゃなく喋り方もなんだけど・・・)とは声に出さず心で思ったがあえて別なことを口にした
『はい、かしこまりました。』
そんなことは知らずに慇懃に答えるリリーだった
(くふふふふふ、あやつらは面白いのぅ。)
人目の付かない所に着いてからは、あり得ないスピードで移動しているハリエルだったが、遠視の魔法を使って二人の様子を盗み見していた
(さて、ここら辺でどうかのぅ?)
移動を続けながら周りの様子を確認して行く
そこは人はおろか魔物ですらいないのではないかという程、森の奥深くだった
(ふむ、ここでよかろうぅ。)
そう判断し立ち止まる
《主神、呼びました?てか呼びましたよね?何の用ですか。くだらない用事だったら今すぐシメますよ?》
大きめな鏡をどこからともなく出し、呼び出した人物に話しかける
〔ハリュー!いきなり物騒なこと言わないでよ!!呼んだのはね?ハリューが寄越したリストについてなんだけどー。〕
鏡の向こうに主神が現れ泣きそうな顔をしながら話し始める
《うるさいですよ。ハリュー言うなし。んで?リストがなんです?》
面倒臭そうに話すハリエル
〔酷いよハリュー!うぅ、えっとね?リストに載ってる何人かはちょっと難しい状況にいるんだよね。それで僕は転生準備で忙しいから、ハリューに行って解決してきてほしいんだよね。〕
泣いたふりしたかと思えば直ぐに普通に本題を切り出してきた
《はぁ?俺も忙しいんですけど?寧ろあんたのせいで自分の時間もない位いろいろやってる最中なんですけど?》
眉間にシワを寄せ嫌がるハリエル
〔だって僕が行くわけに行かないし、ハリューの方が適任なんだもん。世界渡りの許可は出しとくから、頼むよー。〕
言い逃げしようとした主神
《仕方ないですね。ただしこれは貸し一つですから。これで俺に対する貸しは3桁に入りますね〜。》
心底仕方なさそうにしつつ、貸しを作れると意気揚々と準備を始めるハリエル
〔ゔぇ?!嘘でしょ?!もうそんなになる?!あ、やっぱり《ではいってきます。あ、リストは秘書の方から頂きましたから。じゃァ。》イィーーーーヤァーーーーーー!!?〕
あまりの借りの多さにやめようとした主神だったが言葉を遮られ、世界を渡ってしまったハリエルに思わず絶叫してしまっていた