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番外編『星(ほし)無時(なしどき)に頑張る子供』その1
本編で語られなかった設定の説明的な話。
本編よりコメディ色強し。
その国には、年に一度、か細き星の加護さえ失せる時がある。
王都の傍らに広がる森は、人の領域にあらず。
紅の竜が統べるその森は、主たる地神の領域。
その地に住まう魔物たちは、通常よりも遥かに強力な能力を有する。
本来ならば、決して森の外には現れぬそれらは、毎年ある一昼夜に凶暴性を増して森の外に溢れ出すのである。
魔を払うとされる太陽も月もなく、人々を導く星の加護さえ失われる一日。
それを、この国では、星無時と呼んでいる。
そして、星無時に絡み、いつのころからか囁かれる怪談があった。
曰く、星無時に頑張る子供が現れると。