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魔王はリストラして勇者になる!!  作者: 白猫
第1章 俺は元魔王!!
8/20

魔王/ダンジョン攻略!!

僕がダンジョンを作り、ボスになって400年。

その間、僕は1人だった。

ダンジョンに入る者は少ない。

ましてやこの部屋に来る人間なんて…。


いくら待っても…人なんて来ない。

話し相手が欲しかった。遊んでくれる友達が欲しかった。『仲間』が欲しかった。


僕がダンジョンの外に出れば…だがそんな事は無理だ。

ダンジョンを僕は何度も抜け出そうとした。

だが、僕がいなくなるのをダンジョンが『拒絶』した。


僕の魔法で造られたダンジョンだ。

僕がいなくなれば、このダンジョンはなくなる。

ダンジョンは、それを恐れ迷路のように『深緑の森』を作り変えた。

それにより、僕の所まで人間が来る確率はほぼ0%になった。


そんな時、2人の勇者が現れた。

2人とも、すごい魔力だった。今まででは見たこともない強さ。

この2人が力を合わせれば、僕のダンジョンを攻略してくれるかもしれない。

…そして僕は自由になる。


外の世界の勝手は分からないけど…それでも僕は自由に。



2人のオーラが、僕から離れていく。

このままでは、森の外に…。


僕は勇者の一人を人質にした。

そうすれば、もう一人が助けに来ると思ったから…。


…僕を助けてくれ。

…僕を外へ出してくれ。



……何だったのだろう、今のは?

今のはフォレスの気持ち…テレパシーか。


神殿崩壊まで9分。


時間がない、でも幸いケイトはいない。

『力』を解放しても、大丈夫だろう。


「…お前を助けてやる。ただしここで見たことは、ケイトには内緒だ」


力の解放により、俺の姿は『魔王』に戻る。

髪の色が黒から赤になり頭には2本の角、腰からは長く黒い尻尾が生え、八重歯が牙に変わる。

体つきも一回り大きくなる。


「お前…人間じゃあないのか?」

フォレスは明らかに動揺していた。

まあ、それも仕方のないことなのだが。

「ああ、見ての通り俺は人間じゃあない。この前まで魔王をやってたんだ。

 …まあ、今はリストラされて勇者をやってけどな。」


森のダンジョン

ボス戦 フォレスLv50vs元魔王Lv70


フォレスの力で大木の数々が、こちらに迫ってくる。

俺は魔剣バルムンクを使い、それらを薙ぎ払う。


刀を一振りしただけで、辺り一帯が吹き飛ぶ。

これが、元魔王である俺の力なのだ。


フォレスまでの障害物は何もない。

地面を強く蹴り上げ、フォレスに接近。

そして、ボス戦は俺の勝利で終結した。



ケイトは崩れる神殿を眺めていた。

神殿の崩壊まで秒読みに入っているだろう。


中からフォレスを担いだマオが出てきた。

フォレスは気絶しているようだが、2人ともケガはないようだ。



30分後、フォレスが目を覚ました。

「…終わったんだね」

フォレスは安堵の表情を浮かべ、その顔はどこか不安げな表情だった。

フォレスは生まれてから一度も外に出たことがないのだ。

ここ以外で生きていく術を知らないのだ。不安なのも当然だろう。


「なあフォレス、もしよければ俺たちと一緒に旅しないか?」

フォレスは驚いたといったような顔をする。

「俺たちの最終目的は大魔王を倒す事なんだ。そのためには多くの手練れが必要なんだ」


「…いいの?…僕が一緒に居て、迷惑じゃない?」

フォレスの目からは大粒の涙があふれている。

「な、なんだよ。そんなに嫌なら無理にとは言ってないぞ」


「ううん、違う。うれしいんだ…ありがとう」


本当に…『ありがとう』。


「そのかわり、戦ってる時見たことは内緒だぞ」

「うん、これからもよろしく」

「ああ、よろしくだ」

こうして、仲間にフォレスが加わった。


現在のパーティ内人数3人。


ケイトは顔をゆがめていた。

「感動のところ悪いんだけど…。マオ、あんたちょっと臭くない?」


そう言われてフォレスも鼻を近づける。

「う!!…本当だ。ものすごく臭う。」


その原因は明らかにあの『木の実』。


それからの3日間。

俺は臭いが消えるまで2人から距離をあけられ、『孤独』を味わった。


孤独って…辛いな。

そう思う、3日間だった。







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