魔王/火炎のダンジョン攻略②
巨大ゴリラが突進してきた。
ゴリラは拳を振り回し、俺に殴りかかる。
俺はその猛襲を難なく避け、空中を回転しながらゴリラの背後に着地。
うーん…やっぱりこの体は動きづらいな。
全く全力が出せない。
ゴリラの拳はそのまま通路に直撃、凄まじい衝撃とともに広範囲を破壊した。
「ッハハ…スゲえパワーだ。でも動きが単調…それにそんな大振り当たんねえよ!!」
俺はゴリラの懐に向けて跳躍した。
「くらえでかぶつ!!」
「ゴァアアアアア」
「何っ!!」
巨大ゴリラは身軽く後転し俺の一撃を避けた。
避けられた!?
この間合いだぞ。
懐に入るタイミングも完璧だった。
完璧に決まったと思ったのに。
なんで………
「…………」
標的といったん距離をとった。
ああそうか…この体のせいか。
やっぱり人間の体じゃ全然ダメだな。
でも…それでもあの間合いで避けられたのはショックだな。
「あのガタイに似合わず素早い身のこなし」
こいつは強い……
俺はそう直感した。
「ふぅーーーッ」
大きく息を吐く。
「なるべく魔力を温存しようと思ったけど…やっぱ性に合わねえわ」
「ゴルァアアアアア!!」
巨大ゴリラが再び突進してきた。
だがその猛襲を…俺は避けない。
避けるなんてことはしない。
全力で捻り潰す!!
「“魔力解放”!!」
力を解放するのは、フォレスと戦って以来だな。
体が熱い…
奥底から魔力が、エネルギーが、満ち満ちてくる。
気持ちいい…
最高の気分だ!!
俺の身にゴリラの拳が迫りくる。
俺はそれを…全力で捻り潰す。
「ゴァアアアアア!!」
「オオオオオオアアアアァァ!!」
拳と拳がぶつかり合った瞬間…
衝撃で辺り一帯が砕け散る。
そのコンマ数秒後、ゴリラの巨腕が弾け飛ぶ。
「ゴルァアアアアア!!」
呻き声をあげながらヨロヨロと後ろへ後退する。
その一瞬の隙を俺は見逃さない。
「久々に楽しませてもらったぜ…サンキューゴリラ」
足場を離陸し、グリンッと体を捻り空中三回転、後ろ回し蹴りで仕留める。
ズドオオオォォォォォン!!
その一撃の威力は、ゴリラの巨体をぶっ飛ばし壁にめり込ませる。
「チェックメイトだ!!」
ゴリラの命はそこで潰えた。
ふう疲れた。
さて次へ急ごうか。
この調子じゃダンジョン攻略まで三日はかかっちまう。
そんなの嫌だ。
何より体がもたん。
力の解放状態そのままに、俺は先を急ぐ。
俺はこの時、まだ気づいていなかった。
ダンジョンに入ってすぐの時点で、俺をつけまわす謎の人影の存在に。
それがブルーコング以上の実力者であることも……
俺は気づいていなかった。
(ふーん…ブルーコングよりは強いみたいね。今回はなかなか骨のあるやつみたいだし、楽しめそうね)




